昨年10月にリリースしたメジャーデビュー・ダウンロードシングル「花になれ」がいきなり大ヒット、続くデビュー・観にアルバム『Unreal』も大ヒット、「2008年に成功した新人バンド1位」になったflumpool、初のツアー、仙台・広島・福岡・名古屋・大阪・東京2デイズのファイナル。渋谷クラブクアトロ。メンバー4人とサポート・キーボードの5人編成でのステージ。
本編ラストの「未来」をやる前に、ヴォーカル山村隆太が「最後の曲です」と言ったらフロアから「えーっ!」って返ってきて、「曲ないねんもん! しゃあないやん、まだミニ・アルバム1枚しか出してないし」と言い返していたが、確かにそうなわけで、よってアンコールまで合わせて全13曲、あとアンコールの頭でギター阪井一生がひとりで出てきてワンコーラス弾き語ったインディーズ時代の曲「君色」をカウントしても全14曲、という短いライブ。長めにしっかり語るMCを3回入れたり、コール&レスポンスをやったりしていたのも、あんまり尺が短くならないようバランスをとっていたのだと思います。
とにかく、終始「大熱演!」なステージだった。デビューしていきなりブレイクしたのもあって、じっくり自分たちを見せることができるライブはこのツアーが初めてだったことに対する気合い、そしてこうして待ちわびたファンたちから熱狂的に迎えられていることの喜び、その両者が頭っから最後までスパークしている感じ。ほんとに、バンドもフロアもうれしそうだった。
にしても。7曲目で披露され、アンコールのラストでも「もう一回やってもいいですか!」(山村隆太)とプレイされた「星に願いを」を聴いて、それから「花になれ」を生で聴いて、そしてそれら以外の曲たちも含めて、メロディとコードと声、この三者が組み合わさった時に立ち昇る「何か」の絶妙さ、それがflumpoolなんだなあ、と改めて感じた。
どう説明すればいいかな。えーと、かなり大雑把な言い方ですが、例えば2つのコードをくり返している曲構成よりも、コードがたくさんあってどんどん変わっていく曲構成のほうが、ポップできれいなメロディになることが多いんだけど、その「ポップできれいなメロディになることが多い」というのは「ポップできれいなメロディをつけやすい」とイコールではない。その、たくさんのコードに、違和感なく自然にのっかっていかなきゃいけないんだから、むしろ「つけにくい」とも言える。
このサビのコード進行、最強なんだけど、惜しい、その最強さに見合うメロディがのっかっていない。と思うことは、実はよくある。あと声。その切ないコード進行と流麗なメロディに合う声であるか否かも、とても重要。で、まさにそこが圧倒的なのだ、flumpoolの場合。曲を提供している元GIRAFFE百田留衣の才能もとても抜きん出ているが、一緒に曲を作っているギター阪井一生の力と、あの「声を発した段階ですでに切ない」山村隆太の歌の力も大きい。と、この日のライブで改めて思い知った。
という意味で、超強い曲がすでにいっぱいあるけど、この先まだまだ出てきそうな予感もある。7月〜9月で全19本のホールツアーを行うことを、MCで発表していた。今回のツアーは、今のこの人気に比べると明らかにキャパ小さすぎなので、次はそれに見合うキャパを、ということでホールにしたんだろうけど、夏頃にはまたキャパが見合わなくなっている可能性も、大ありだと思う。(兵庫慎司)
SET LIST
1.新曲
2.388859
3.回転木馬(メリーゴーランド)
4.LOST
5.春風
6.Over the rain〜ひかりの橋〜
7.星に願いを
8.新曲
9.Hello
10.labo
11.未来
アンコール
12.花になれ
13.星に願いを
flumpool @ 渋谷クラブクアトロ
2009.03.07