SUPER BEAVER/無観客ライブ「15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~」

SUPER BEAVER/無観客ライブ「15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~」 - 撮影:Taka"nekoze_photo"撮影:Taka"nekoze_photo"

●セットリスト
1.歓びの明日に
2.青い春
3.正攻法
4.予感
5.ひとりで生きていたならば
6.嬉しい涙
7.ハイライト


「目の前に人がいたからできてたことなのに、人がいない状態で、『はい。やってください』っていうのは、絶対に無理なんです。だから、健全な形でできることは何かないか、日々考えてます」――5月にオンライン取材をした際、従来のような形でのライブが行えなくなっている状況下での選択肢のひとつ「配信ライブ」について訊いたところ、渋谷龍太(Vo)はこのように語っていた。それから約2ヶ月後、ついに迎えた初の無観客ライブ「SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダSP 〜LIVE document〜」の配信日。上記の渋谷の発言に含まれる想いをメンバーとスタッフが共有し、熟考した末に導き出されたひとつのやり方が、そこには力強く示されていた。

SUPER BEAVER/無観客ライブ「15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~」 - 撮影:Taka"nekoze_photo"撮影:Taka"nekoze_photo"
スタートした配信の序盤で流れたのは、ドキュメンタリー映像。ライブの収録を終えた直後の4人の姿が少し流れた後、本番前の舞台裏の模様が映し出された。会場となった新木場STUDIO COASTに到着した直後は若干緊張気味であったものの、着々と設営が進んでいくステージを目の当たりにする内に、急速に興奮を露わにし始めたメンバーたち。未体験の表現に取り組めることに対する無邪気な喜びが、生々しく伝わってくる。画面を見つめているこちら側も、自ずとウキウキせずにはいられなかった。

SUPER BEAVER/無観客ライブ「15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~」 - 撮影:Taka"nekoze_photo"撮影:Taka"nekoze_photo"
ドキュメンタリー映像は十数分程で終了して、本編のライブがスタート。普段ならば観客で埋め尽くされるフロアをステージとして、メンバーたちが互いに向き合い、円を描いたフォーメーションが目を引いた。柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“32才”広明(Dr)が音を交わし合い、みるみる内に構築された黄金のアンサンブル。そして、渋谷がゆっくりと歩きながら3人の輪に加わり、歌い始めた1曲目“歓びの明日に”。歌声、演奏が完全に融け合いながら躍動する様は、臨場感と生命力に溢れていた。メンバーたちも、とにかく楽しくて仕方がなかったのだろう。頻繁にアイコンタクトを交わし、音を重ね合わせる内に、自然とこぼれ落ちていた表情は、「バンドって、やっぱ楽しい!」という、素朴な胸の高鳴りを伝えてくれた。

SUPER BEAVER/無観客ライブ「15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~」 - 撮影:Taka"nekoze_photo"撮影:Taka"nekoze_photo"
“青い春”や“正攻法”が届けられた頃には、最早、配信ライブであることを半ば忘れていた視聴者が、たくさんいたのでは? リアルタイムで視聴している人々によるチャット欄が、歌詞の一節で一斉に埋め尽くされる瞬間が度々あったのが、とても印象深い。「画面の向こうで油断してるなよ。しっかり届けてください」と渋谷が言ってからスタートした“予感”では、たくさんの《感動に》、《感情に》という言葉が、まるで大合唱のようにチャット欄で力強く躍っていた。「オンラインシンガロング」とでも称すべき観客側からの新しい表現方法は、配信で届けられている映像を、ますます血の通ったものにしていた。

SUPER BEAVER/無観客ライブ「15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~」 - 撮影:Taka"nekoze_photo"撮影:Taka"nekoze_photo"
「素直に今、めちゃくちゃ楽しい!」(柳沢)。「ちゃんと最前線でバンドをやれてる感じがしてます」(上杉)。「楽しいですよね。この楽しさ、届いてるといいなと思います」(藤原)――中盤のMCタイムで、約4ヶ月ぶりのライブに対する感想を語り合っていたメンバーたち。そして、渋谷は、胸の中にある想いをじっくりと言葉にした。「自分たちが音楽をやってる姿勢が、画面を通して、プラスの活力にだけなればいいと思う。自分たちができること、4人で表せる姿勢、スタンス、この先を見据えての動き、全てがあなたを前に転がす原動力でありますようにと思って、今日、この機会を設けさせていただきました」。この言葉を噛み締めつつ耳を傾けた“ひとりで生きていたならば”は、SUPER BEAVERの軌跡と実像が、まっすぐに迫ってくる曲だった。《原動力はずっとひとりで生きていないこと》という一節が、特に忘れられない。奏でる音楽だけでなく、活動自体もメッセージとしながら歩んでいる彼らの姿を再確認させられるひと時であった。

SUPER BEAVER/無観客ライブ「15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~」 - 撮影:Taka"nekoze_photo"撮影:Taka"nekoze_photo"
“嬉しい涙”を披露した後、改めて想いを語った渋谷。「今後も上手くいかない時とか、上手くできない時があると思います。でも、それは上手くいった時よりも、その後でもっと上手くいく可能性があるということだと思いながら、俺たちは音楽をやってます。変わらない部分を芯に持ちながら、変えられるところを少しずつ変えて、この先も4人で、そして、あなたと音楽を作っていこうと思ってますので」。このような言葉を添えつつ披露されたラストの曲“ハイライト”。直面するあらゆる出来事を前向きな何かへと転じることを諦めない意志が刻まれているこの曲は、とても美しく響き渡っていた。

SUPER BEAVER/無観客ライブ「15th Anniversary 都会のラクダSP ~LIVE document~」 - 撮影:Taka"nekoze_photo"撮影:Taka"nekoze_photo"
汗を拭いつつ、晴れやかな表情で楽屋へと戻っていくメンバーたちの様子が映し出されて、配信ライブは終了した。「この先、どういう風になっていくのかは、わからないですけど、とりあえず今、自分たちが思った正解は、1個できたんじゃないのかなって思ってます」と言っていた渋谷が頼もしかった。このテキストの冒頭で引用した彼の言葉にあった通り、目の前に観客がいるからこそ成立するのがSUPER BEAVERのライブだ。しかし、この日に届けられた配信ライブは「成立」していたのはもちろん、「最高!」であった。そのことに異論を挟む人は、おそらくいないだろう。あのステージから届けられた音は、様々な感情を彼らと深く共有させてくれた。会場に集まった一人ひとりに向かって歌い、演奏するライブの尊さは、他のいかなる方法によっても置き換えられるものではない。そのことを誰よりもよく知っているSUPER BEAVERが、「ライブの代替物」ではなく「新しい音楽の届け方」を提示してくれたのが、今回の配信であった。彼らが感じたはずの手応えは、今後の素敵な何かへと繋がっていくに違いない。(田中大)
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