エレファントカシマシ @ 日本武道館

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すごいもんだった。「いいライブ」とか「盛り上がったライブ」とかいうよりは、壮絶なライブ。実に8年ぶりに武道館に還ってきたエレカシのロックンロールは徹頭徹尾、空気がびりびりと震えるような宮本の気迫に満ちていた。足がふらつくほど体中の力の最後の一滴まで振り絞って、渾身のメロディを放射していく図は、まさにロック・アクトとしか言いようのないものだった。

18:10、場内暗転とともに満員のオーディエンスの大声援! 次々にオン・ステージする宮本、石くん、成ちゃん、トミ、そしてサポート・キーボード=蔦谷好位置、サポート・ギター=ヒラマミキオ……に加え、舞台後方には14人のストリングス・チームがスタンバイ! 後の紹介で、この14人は金原千恵子ストリングスの方々だと判明するのだが、楽器編成の面でも気合い入りまくりのステージングに、場内から驚きのどよめきが湧き起こる。そして、「エブリバディ、ようこそ!」という絶叫とともに、1曲目の“新しい季節へキミと”へ。エモーションの塊のような宮本のメロディと流麗なストリングスが絡み合って、8年ぶりのエレカシ武道館は荘厳な幕開けを迎えた。

ここで一旦ストリングス陣が退場。「待ちに待ったぜエブリバディ! 最高の1日にしようぜ!」と呼びかける声とともに、続いて、ちょうど15年前のシングル曲“この世は最高!”、そして『STARTING OVER』から“今はここが真ん中さ!”、さらに21年前のデビュー曲“デーデ”……と、新旧の楽曲を織り交ぜるようにして序盤戦は展開されていく。「張り切って練習してきたんで、いっぱい曲用意してきました!」と宮本。「いつもさよならの曲ばっかり作ってきたけど、“さらば青春”とかさ。でも、そうやってさよならがあるたびに、太陽は昇ってくるもんで……今度は『昇れる太陽』を作れてさぁ! 何度だって太陽は昇るんだよ!」。まさに4月29日の発売を待つばかりとなった新作アルバム『昇れる太陽』だが、驚いたのはこの日の本編で『昇れる太陽』全11曲のうち実6曲をフィーチャーしていること、そして何より、そのことによってこの日のアクトが実に豊かでアグレッシヴなものになっていることだ。

“リッスントゥザミュージック”の前には「昔は女人禁制と言われた俺たちのステージに!」と言って、金原千恵子(バイオリン)&笠原あやの(チェロ)の2人をステージ前方に迎え入れる宮本。絶頂感めがけて徐々に昇り詰めていくバンド・アンサンブルと競い合うかのように、金原千恵子もバイオリンの弓の毛が何本も切れるほどの熱演を見せる。そして、再びストリングス全員が登場して、“昔の侍”“シャララ”といった曲がゴージャスかつ勇壮な響きをもって武道館の隅々まで届けていく。

そして終盤戦。「すごく明るくて、でも俺たちが歌ってきたことが全部詰まった、いちばん新しい俺たち6人の自信作、聴いてよ!」という宮本の声とともに鳴らしたのは、軽く弾むようなリズムと、エレカシ高純度結晶のような狂おしく切ないメロディ……すでにCMで大量オンエアされている新曲“ハナウタ〜遠い昔からの物語〜”だ。そして、「俺たちの男心みたいなものを、真っ直ぐ堂々と歌った歌です」と言って、これまた現在映画主題歌として流れている“絆(きづな)”の朗々たるメロを武道館狭しと響かせる宮本。喉も裂けよとばかりの絶唱続きで、すでにこの頃には声もかすれ気味だったが、それでも“桜の花、舞い上がる道を”のようなキーの高い楽曲も、全身の力の最後の一滴まで振り絞るようにして命懸けのメロディをオーディエンスに届けていく。「今日はみんなのおかげで最高の1日になりました! レッツゴー・エブリバディ!」と、残った力を大放出するかのように披露した本編ラスト曲は“俺たちの明日”。白シャツのボタンを飛ばす勢いで前をはだけてみせる宮本。終始、魔法にかけられたか圧倒されていたようなオーディエンスは、ここでようやく一丸となってステージに向け拳を振っている。壮観!

アンコールでは黒シャツで現れた宮本。すでに体力を使い果たしたはずの彼は、ステージ狭しと右へ左へ動き回ってフロアを煽りまくる。そして、“今宵の月のように”に始まって、「石くん、ドーンといこうよ、ドーンと!」というコールから“ファイティングマン”まで立て続けに4曲を披露。「最高のコンサートになりました!」という宮本の感謝の言葉を残してアクトが終了したのが20:47。一瞬ダブル・アンコールがあるかな?という雰囲気でいったん照明が落ちたが、すぐに照明がついて「以上をもちまして……」のアナウンス。全身のすべての力を出し尽くして、今頃バックステージで倒れ込んでいるかもしれない、と思わせるほど、この日のアクトの気合いは驚愕もの。ロックとは、表現者とはいかにあるべきか、ということを身をもって体現したような、あまりに潔い約2時間半のステージだった。(高橋智樹)

セットリスト
1.新しい季節へキミと
2.この世は最高!
3.今はここが真ん中さ!
4.デーデ
5.未来の生命体
6.風に吹かれて
7.さらば青春
8.甘き絶望
9.悲しみの果て
10.男は行く
11.リッスントゥザミュージック
12.昔の侍
13.シャララ
14.珍奇男
15.It's my life
16.ハナウタ〜遠い昔からの物語〜
17.to you
18.絆(きづな)
19.笑顔の未来へ
20.桜の花、舞い上がる道を
21.FLYER
22.俺たちの明日
 
アンコール 
23.今宵の月のように
24.風
25.流れ星のやうな人生
26.ファイティングマン
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