go!go!vanillas/日本武道館

go!go!vanillas/日本武道館 - Photo by ハタサトシPhoto by ハタサトシ
●セットリスト
01.オリエント
02.アメイジングレース
03.マジック
04.デッドマンズチェイス
05.チェンジユアワールド
06.ヒンキーディンキーパーティークルー
07.バームクーヘン
08.JETT ROCK SCHOOL
09.バイバイカラー
10.イノセンス
11.パラノーマルワンダーワールド
12.TTNoW
13.鏡
14.カウンターアクション
15.No.999
16.エマ
17.平成ペイン
18.おはようカルチャー
19.人間讃歌
(アンコール)
EN1.アクロス ザ ユニバーシティ
EN2.ギフト


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「今日朝起きてここに来るまで、そしてこのステージに立つまでは『本当に武道館? 武道館に立つんだろうか?』って思ってました……夢じゃなかった!」……あふれ返る情熱そのままの牧達弥(Vo・G)の言葉が、日本武道館の広大な空間に響き渡る。そして、「みんながすげえ近い! みんなの気持ちが全部、俺らにぶつかってきてます。だから安心して、みんなもこの後も楽しんで。俺たちも思いっきりぶつけていくから!」と呼びかける牧に応えて、満場の拍手が熱く巻き起こっていく――。

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ライブハウスから自身初のホールツアー、さらには初の日本武道館ワンマンライブへと至るgo!go!vanillasの全国ツアー「ROAD TO AMAZING BUDOKAN TOUR 2020」。6月のライブハウス日程こそ新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年1月へ延期となったが、客席のソーシャルディスタンスなど感染対策を施した上で11月のホール公演からは開催が実現。
その11月公演のファイナルを飾った武道館公演=「ROAD TO AMAZING BUDOKAN TOUR 2020 -FINAL-」はまさに、ロックの聖地=武道館への憧憬と、困難な時代になおも奮い立つロックバンドとしての使命感、そして「その先」への新たな闘志が渾然一体となって燃え盛る、どこまでもエモーショナルで晴れやかなロックンロールアクトだった。

go!go!vanillas/日本武道館 - Photo by 西槇太一Photo by 西槇太一
360度どの角度の客席からもメンバーへの視界が確保されたアリーナの中央には、「69」の数字が象られた広いステージ。そして、“We are go!”の開演SEとともに意気揚々と舞台に登場した牧達弥/長谷川プリティ敬祐(B)/ジェットセイヤ(Dr)/柳沢進太郎(G)が最初に響かせたのは、インディーズ時代からの想いが凝縮された“オリエント”。《僕の心にある夢の倫敦》、《オリエンタルな風に包まれ明日はどこへ行く/日ノ本ここにあり》と不滅のUKロック愛を掲げ《僕を駆り立てるここは東京》の部分を「ここは、日本武道館!」と叫び上げる牧。さらに「今日は思いっきり生音、楽しんでくれ!」とダイナミックな開放感を描き出した“アメイジングレース”、セイヤの荒馬ロデオ感炸裂のビートが弾ける“マジック”……とオープニングからフルスロットルな4人の佇まいは、会場のみならず生配信・WOWOW生中継越しのオーディエンスもロックンロールの渦へと巻き込んでいくだけのバイタリティに満ちている。

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感染防止対策のため客席に歓声はないが、プリティがリードしてのクラップのコール&レスポンスなど、観客と舞台との一体感は刻一刻と強度と密度を増していく。「武道館! やっぱバンドは最高やろ! バンドのおもろさとか、カッコいいとこも全部、今日は思う存分味わってくれ!」というプリティのシャウトとともに流れ込んだ“デッドマンズチェイス”では、ボーカルパートもソロパートも4人でリレーしながら、ロックンロールの高揚感を無限増幅してみせる。
「今日はとびっきりの、特別な日なんでね……これだけじゃねえぞ! Let's go, ドラム!」の牧の合図とともに、「69」ステージ中央のドラム台が回転し、まさに360度最前列状態に。「さあ日本武道館! 俺たちのライブに来たんだろ? 心も体も、もっとハネちまえよ!」と“チェンジユアワールド”、“ヒンキーディンキーパーティークルー”と畳み掛けながら、牧/プリティ/柳沢が舞台狭しと自由闊達に駆け回り、ルール無用の祝祭空間を体現していく。

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「日本武道館! 辿り着いたぞ! ここで一番最初にロックを鳴らしたビートルズがそうやったようにさ、俺らも4人それぞれ曲作って、4人それぞれ歌うぞ!」のプリティの宣言をきっかけに、ライブ中盤では日本武道館公演記念EP『鏡 e.p.』からメンバーそれぞれが作曲したナンバーを披露。
「俺の30年、聴いてください!」とプリティが熱唱した火の玉ロックンロール“バームクーヘン”。4人がパートチェンジ、ギターを構えたセイヤが「俺の中学の時のリアルライフ、リアルソング!」とぶち上げた激走パンクナンバー“JETT ROCK SCHOOL”。打って変わってクール&ダンサブルなポップ感の“バイバイカラー”を挟んで、柳沢によるメロディアス&ソウルフルなスロウナンバー“イノセンス”へ……という色彩豊かな展開は、go!go!vanillasというバンドの全方位的なクリエイティビティを何より明快に証明するものだった。

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その一方で、MCではザ・ビートルズへの想いを牧がまっすぐに伝え、「自分たちがここに立つ! 立てる!と自信を持って言えるまでは立ちたくないなと思ったし、なるべくこの会場に足を運ばずにいました。でも今日ようやく――」と「この日」への覚悟を語っていた。
「こういう時だからこそ、みんなにもっともっと力を――『もっと勇気付けれるように』と、ライブがなかなかできない中でも曲を作っていって、できた新曲があります。みんなにどうか、届きますように!」と演奏したのは、『鏡 e.p.』表題曲の“鏡”。ミラーボールきらめく多幸感と《世界が化粧を落とした時/よく見て 思い切って 型にはめないで》としなやかに脈打つ批評性と闘争心が、オーディエンスをさらなる高揚の果てへと誘っていく。

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「今日は声が出せないけど、みんなのパワーをくれるか!」と叫ぶ柳沢のワイルド&ソリッドなギタープレイが光る“カウンターアクション”から、ライブは終盤に向けてさらに加速! 舞台を彩る火の玉の特効以上にハイエナジーな躍動感に満ちた“No.999”から“エマ”、そして「この時代の暗さに目が慣れてるのは、俺たちだろ? さあ、俺たちのすげえとこ見せてやろうぜ!」と繰り出した“平成ペイン”が、雄大な歌とロックの地平を編み上げていく。

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「13年前に東京に出てきて。片田舎の大分から出てきた時に、家にはCDコンポとギターしかなくて。何もないところから、でも漠然と『絶対にロックスターになってやる』って……」と語る牧が、メンバーとの出会いを涙交じりで振り返っていく。
「ここに立つまで、順風満帆とか、幸せなことがずっと続いてきたわけじゃないよ。一昨年のプリティの事故もそうだし、メンバーチェンジもしてます。そういう土台の果てに今日のライブがあるから。日本武道館が通過点だとか、そんなクソみてえなこと言わねえで、ちゃんとここで全部、自分の想いを曝け出して――またここから進むための今日です!」
そんな決意の言葉とともに放たれた“おはようカルチャー”のコーラスワークが、困難な時代に壮大な音楽のユートピアを切り開くように力強く鳴り渡っていく。会場一面に広がったクラップとともに本編の最後を飾ったのは、バンドの原点とも言うべき楽曲“人間讃歌”。快活に弾ける歌とアンサンブルが、go!go!vanillasとロックンロールと僕らの連帯感そのもののように眩しく胸に響いた。

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アンコールでは「『プリティ、お試しでベースを弾いてくれない?』って言われてから、正式に『お前とやる!』って言われてないんだよね、まだ(笑)」と明かしたプリティの言葉をきっかけに、牧とメンバーがそれぞれ握手を交わす一幕も。「まだまだ続くよ! この武道館を経て、もっともっとでっかくなるから。もっともっと強くなるから」という牧の宣誓とともに“アクロス ザ ユニバーシティ”、さらに《どうかまた会える日まで さよならは言わないよ/笑顔でいてほしいから》の弾き語りから“ギフト”を響かせて大団円。2020年という時代におけるロックンロールの必然性を、武道館という舞台でどこまでも伸びやかに、そしてリアルに立ち昇らせてみせた、最高のステージだった。(高橋智樹)

※「ROAD TO AMAZING BUDOKAN TOUR 2020 -FINAL-」は11月29日(日)23:59までアーカイブ配信中です

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JAPAN最新号 表紙はback number!別冊宮本浩次。ONE OK ROCK/[Alexandros]/ゆず/LiSA/ヒゲダン/WANIMA/sumika/北村匠海など
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