the telephonesのメジャー・デビュー・アルバム『DANCE FLOOR MONSTERS』を携えてのツアー・ファイナル@赤坂BLITZ。「19曲もやるの初めてなんだよ」と石毛が言っていたけど、the telephonesはこれまでにワンマンライブというものを2度しかやったことがない。ワンマンなら19曲くらいやるのは普通だけど、(「普通と思うなよ」って石毛は言ってたけど)彼らはこれまでずっと対バン形式でいろんなバンドと切磋琢磨しながらこの日本のライブハウスシーンを渡ってきたバンドだ。しかし、今回のツアーはゲストを迎えつつも、すべてワンマン並のフルセット! ということで、そんなツアーを最後までやりきろうとしているthe telephonesを祝福するためYOUR SONG IS GOODとNorthern19の2組がゲストで登場し、ファイナルを大いに盛り上げてくれた。
とにかく、バンドによって、お客さんがまるっきり入れ替わったんじゃないかと思うくらい、盛り上がり方の種類が全く違って本当に面白かった。トップを飾ったYOUR SONG IS GOODは盛り上がらないわけがないスカのグルーヴで初っ端からはち切れんばかりの熱気で押しまくる。思い思いにステップを踏みながら踊り狂うオーディエンスをさらに煽るように、JxJxは猿のようにアンプによじ登って高いところから煽動する。ミドルチューンの“THE PLANETにて”で穏やかな空気にしたかと思えば、南国風のリズムに乗ったアッパーな新曲を披露! 新曲といえど乗せ上手なJxJxはオーディエンスをぐいぐい引っ張っていき、声を出したりハンドクラップを鳴らしたり、決して棒立ちにさせることはない。the telephonesに捧げますと“THE CATCHER IN THE MUSIC”を演って、恒例のみんなをしゃがませてのジャンプで「性別、国籍、年齢、音楽の趣味、恋愛の方向性いろいろ壁はありますけど、今日一つのバンドが無事ツアーファイナルを迎えるということで盛大に祝いたいと思います!」と言って全員で大ジャンプ! 大揺れのフロアを熱狂の渦に巻き込んだ。
続いて、the telephonesとは3年くらいの付き合いになるというNorthern19。ユアソンともthe telephonesともジャンルは異なれど、オーディエンスの勢いは半端ない。シンプルな3ピース編成でエネルギッシュな高速メロディック・パンクを次々とぶつけていく3人。たちまちフロアは数え切れないほどのダイバーたちで沸き返った。笠原&井村が織り成す絶妙なコーラスワークが生み出すキャッチーでポップなメロディーが力強く美しい。「俺達、結構早いメロディック・パンクばっかりと思われてるかもしれないけど、そんな擦り切れたリズムだろうがなんだろうが、みなさんで一緒に動いてロックンロールでダンスしていきましょう!」とその言葉どおりに“Moratorium”“STAY YOUTH FOREVER”とラストまで突っ走り、Northern19なりのロックンロールを叩きつけて颯爽と駆け抜けていった。
そして、いよいよthe telephonesが登場! いつものテーマソングに乗って勢いよく現れた4人。石毛の「アー・ユー・ディスコーー!?」の大絶叫からライブは“D.A.N.C.E to the telephones!!!”で幕を開けた。石毛は何度も「踊れー!!」と叫ぶと、「D.A.N.C.E」コールでフロアは一気に沸点を超える。ノブのカウベルが弾けるアッパーなディスコ・ナンバー“baby,baby,baby”も、「ここはディスコだろー!」という煽りで始まった“Urban Disco”も、オーディエンスは身体を揺らしてひたすら踊り狂う。まだ3曲目だというのにノブはフロアの柵に足をかけ、そしてついにダイブ! テンション上がりまくり、大暴走しまくりだ。
“Catastrophe”のようなギター・フレーズが牽引していくようなナンバーも、重厚なグルーヴが炸裂する“Jabberwocky”も、the telephonesがすべての音楽欲求をぶちまけた今作からのナンバーは、間違いなく踊れるものでもあるのだけど、それと同時に確かな説得力を兼ね備えている。最早、スピードとハイテンションだけで引っ張っていくバンドではない、ということを確実に証明できる強靭なバンドアンサンブルが繰り出される。そして、涼平の歌うようなベースラインとノブのキュートなシンセが弾ける“Hopping Shower”のような思いっきりポップに弾けたナンバーで狂騒のライブ空間をハッピーに塗り替えるなどバリエーションの豊かさも良い。
「ツアーファイナルだっていうのにユルイな。東京ってそんなもんだったっけ? 地方はもっとすごかったぞ。じゃあさ、ミラーボールそこにあるじゃん、ぶっ壊せー!!!!」という石毛の挑発から“clashed mirror ball”で後半に突入! そこからは、もう止まらないthe telephonesの超爆音ハード・ロック・モードで攻めまくる。特に石毛が唸るようなギターとともに高らかとメロディを歌い上げる“Perfect World”や、誠治の高速ビートが冴え渡る“Dead Men”のずっしりくる重みが最高だ。ライブでお馴染みの“RIOT!!!”や“HABANERO”に至ってはもう石毛とノブでお立ち台を取り合うように交互に登ってはオーディエンスを挑発していき、フロアを壮絶なカオス状態へと導いていく。
そして、いよいよクライマックスへ。石毛:「ウィーアー?」会場:「ディスコ!」のコール&レスポンス。しかし、まだまだ小さかった会場の声に「TBSに負けるぞ!」とノブが一喝。気を取り直して「ウィーアー?」「ディスコ!」のかけ声で“Monkey Discooooooo”“Love&DISCO”の2連チャン! ぶっ倒れるほどの勢いで力の限りを振り絞りあっという間に本編が終了してしまった。
1回目のアンコールで2曲やり、2回目のアンコールで演奏したのはアルバムの最後を飾る曲でもある“Yesterday,Today,Tomorrow(My Life is Beautiful)”だった。「いいイベントとか、いいクラブとか、いいライブとか、音楽って別に非現実的なものじゃないから、現実的なものにしていい人生を送ってください! 最後1曲に全部をこめます」と言って始まったこの曲は本当に壮大な楽曲で、石毛の音楽に対する真摯な思いが詰まっている。ギター一本で歌う石毛の切なる思いはひとしきり踊った後のオーディエンスをクールダウンさせ、それぞれが明日の自分を見つめる時間となる。いつまでも祭りの後の余韻なんかに浸っている場合じゃない。だってthe telephonesは常にその先を行っているのだから。
12月4日(金)には格闘技アリーナのディファ有明にて約1年ぶりの東京ワンマンを開催する。その昔、この建物は80年代のディスコブームを盛り立てたクラブ空間だったそう。そんな場所でthe telephonesが2000年代最後のディスコを思いっきりぶつけてくれる。本当にどんなライブになるのか今から楽しみだ。(阿部英理子)
1.D.A.N.C.E to the telephones!!!
2.Baby,Baby,Baby
3.Urban Disco
4.it's OK
5.Catastrophe
6.Jabberwocky
7.FREE THROW
8.Hopping Shower
9.clashed mirror ball
10.DaDaDa
11.Perfect World
12.Dead Men
13.Beautiful Bitch
14.RIOT!!!
15.Dance with You
16.HABANERO
17.Monkey Discooooooo
18.Love&DISCO
アンコール1
19.fu~shit!!!
20.sick rocks
アンコール2
21.Yesterday,Today,Tomorrow(My Life is Beautiful)