世界の終わり@渋谷C.C.Lemonホール

世界の終わり@渋谷C.C.Lemonホール
世界の終わり@渋谷C.C.Lemonホール
世界の終わり@渋谷C.C.Lemonホール
世界の終わり@渋谷C.C.Lemonホール
世界の終わり@渋谷C.C.Lemonホール
開演時間を20分ほど押した6時50分を回ったころ、会場暗転とともに始まったのは、まるでディズニーランドのアトラクションに乗る前に流れてくるようなテンションの高い、高揚感を煽る注意事項のアナウンスと壮大なオーケストラ。ざわめく会場は一気に夢の国に迷い込んでしまったようなマジカルな空気に飲み込まれていった。そして、どこからともなく「はじめまして! 世界の終わりです。みんな元気かい? いくよー!」という声が聞こえてくると、ステージは勢いよく噴き出した真っ白なスモークに覆われ、その煙が消えるとともにパッと4人が姿を現した。ライブは“ファンタジー”でスタート。なんだか、夢のようなふわふわした感覚と、確かに今ここにいるという現実が入り混じるような、まさにファンタジーな世界に誘ってくれたのだ。

11月3日に発売されたダブルリードシングル『天使と悪魔/ファンタジー』を携えてのツアー『秋の東名阪ワンマンツアー2010』の追加公演として全国を回ってきた世界の終わりが、渋谷CLUB QUATTROに続いて、ここ渋谷C.C.Lemon Hallでのワンマンを早くも実現してしまった。しかも、チケットはソールドアウト。破格の勢いでめきめきと頭角をあらわしている彼らの今日のライブは、本編10曲にアンコール2曲の全12曲、1時間半弱。初披露の新曲なども含め、すべての持ち曲を出し切った渾身のツアーファイナルだ。

前回のツアーのSHIBUYA O-WESTでのファイナル公演はアンコールも含め全9曲で、さすがに短い…と思ったが、今回は相当の重量感と見応えがあったように思う。それは単純に曲数が増えたことや、ホールワンマンということでカラフルなライティングや映像、ミラーボールや銀テープなどの演出も理由の一つだけれど、それにも増して、楽曲1曲1曲の重みに圧倒されてしまったことが大きな要因だと思う。オーディエンスは、スッと懐に入り込んでくるような深瀬(Vo/G)の柔和な声と純粋無垢なポップネスに身体を揺らすが、頭の中では次々と紡ぎ出される鮮烈な言葉の数々と向き合うことになる。聴く者としては、それはすごくエネルギーのいることで、ライブが進むにつれて、心地よい疲労感に全身が覆われていくのを実感する。

途中、歌詞を間違えて「ラララ~」と歌ってしまった“天使と悪魔”では、オーディエンスからの温かなハンドクラップに包み込まれ、歌い始めをミスってしまった“死の魔法”では「ドンマイ!」と客席から声をかけられる深瀬。本当に愛されているんだなと思う。「みんな、あったかいですね。すごくうれしいです!」と思わずもらしてしまった深瀬は「すごくうれしいから完全に未発表の新曲をやります!」と顔をほころばせる。そして、真剣な表情で「何かが永遠に続くっていうことは本当にいいことなのか。限りある命の中で大切にできるものは、死がくれる、終わりがくれる、今を大切に生きる魔法ということで“死の魔法”という曲を作りました。それを題材にしてつくった曲です」と語り、“死の魔法”のアンサーソングとして作ったという“不死鳥”を披露した。ソーダ水の泡がはじけて消えていくような清々しさと儚さが織り交ざったような、今を大切に生きるキラキラとした輝きに満ちた曲だった。

そして、ライブは早くも終盤へと差し掛かっていく。間奏の静寂の中に響く藤崎のグランドピアノの旋律に毎回息を呑むような美しさと哀しさを憶える“幻の命”で会場はすっかりその世界観に浸りきってしまう。そして、本編ラストは中島の「みんなみたいに会いにきてくれる人たちがいるから、いい1年になりました。みんなも歌ってくれますか?」と“青い太陽”をプレイ。DJ LOVEが手を高く掲げると会場も一丸となって腕を突き上げ、ハイ・ジャンプで飛び跳ねる。得も言われぬ一体感に包まれた客席はいよいよクライマックスを迎えた。

アンコールでは、会場から「メリークリスマス!」の声が上がると、
中島:「僕らは今日(のライブ)があったからメリークリスマスどころじゃなかったね。気がついたらクリスマスみたいな」
深瀬:「(クリスマスは)僕ら、みんなで旅行に行ってきます」
観客:「どこ行くのー?」
深瀬:「伊豆です」
という、なんともアットホームなやりとりから「フェリーでライブやりたい」というビッグな来年の抱負へとつながっていった。そして「ライブで弾くのは初めてなんです」とアコギを抱えて、新曲“眠り姫”を披露。ラストは会場中がハンドクラップと大合唱に包まれた“インスタントラジオ”で締めくくられ、会場は祝祭ムードに満ち溢れた。

深瀬、中島、藤崎がステージを去るとDJ LOVEがブースに一人残り、スポットライトを浴びている。パッとライトが消された瞬間に、2階のせり出し部分にスポットライトが当たりDJ LOVEが瞬間移動しているというマジカルな演出に会場も思わず大歓声をあげていた。覚めない夢のような世界に潜り込んだ後に、目も覚めるような魔法にまたかけられ、夢の中のまた夢のような深い世界に連れていってくれた一夜だった。(阿部英理子)


1.ファンタジー
2.虹色の戦争
3.夢(仮)
4.世界平和
5.白昼の夢
6.天使と悪魔
7.死の魔法
8.不死鳥(新曲)
9.幻の命
10.青い太陽
アンコール
1.眠り姫(新曲)
2.インスタントラジオ
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