くるり、夏の対バンツアー『デラぜっぴん! 混浴四重奏』、Zepp Tokyo2デイズの1日目。5月21日にここZepp Tokyoで、前哨戦として9mmとMASS OF THE FERMENTING DREGSを招いて一度行っているが、本格的なツアーのスタートは今日から。マスドレは全箇所に帯同、もう1ゲストは、どうやら「なるべく客層がかぶってない人とやろう」というのがテーマらしく、今日がELLEGARDEN、明日が木村カエラ。
マスドレとエルレが終わって、くるり登場。くるりといえば、アルバム・リリースしてツアーをやる度に新しいバンドになっている、と言っていいくらい、メンバー編成も出す音も、大きく変わるのがもはやあたりまえになっているが、今回はその歴史の中でも、トップレベルで極端なことになっていた。
初日なので詳しい曲目とかを書くのは控えるが、最初はロックンロールな感じでとばしたり、ちょっとポップになったり、ニール・ヤングを思わせるようなアメリカンな音になったり、『ワルツを踊れ』から地続きのクラシックというかヨーロッパ民謡みたいな空気を醸してみたり、シンプルながらバラエティ豊かな感じだったんだけど、だんだん、じわじわ、音がカオスにサイケにドロドロになっていって、気がついたらそれ一色に塗りつぶされていた。岸田、しまいにはギター置いちゃって踊り狂ってた。
そのあと、ややポップ方面というかオーディエンスが付いてこれる方面に戻って終了、アンコールもその流れできっちり務め上げたけど、中盤はかなり、というかひたすらカオスだったと思う。明らかに、岸田と佐藤がそうしたくてそうしてるわけだけど、それに輪をかけているのが、おそらくそのために招集されたメンバーだ。
岸田と佐藤の二人に加え、ドラムは去年の京都音博でも叩いていた54-71のBOBO(他にもBACK DROP BOMBとかあちこちで叩いている人気ドラマーです。自身でレーベルもやってます)、鍵盤は三柴“エディ”理(何でエディかというと、彼が初期の筋肉少女帯に在籍していた頃「三柴江戸蔵」と名乗っていたからです。筋少をやめた後も、大槻のソロで弾いたり特撮で弾いたりしており、復活した筋少にもサポートメンバーで参加しています)、というのは5月21日の段階でそうなっていたが、今日からもうひとり加わった。
「ギター、内橋和久。今日ウィーンから着きました」と、岸田に紹介されていたこの中年男、すごい。というか観たことない、こんなギタリスト。なんというか、ギターじゃない。というか、プレイ・スタイルが、ギターという楽器に対する向き合い方じゃない、と言ったほうが近いかもしれない。シンセのようでもありバイオリンのようでもありテルミンのようでもありパーカッションのようでもある、そしてもちろんギターのようでもある、そんなプレイなのです。
アンコールで岸田、「内橋さん、今日着いたから、一回も一緒にリハしてません」と明かす。どよめくフロア。何者なんだろう。スピードスターのくるり担当をつかまえてきいたところ、ウィーン在住のプロデューサーだそうです。といっても、例のウィーン・レコーディングが縁だったわけではなく、去年秋のスピードスター15周年ライブで岸田と知り合ったそうです。現在、UAのプロデューサーとギタリストを務めている方だそうです。
初日だけあって、全体に、まだ完成には至っていなかった感はあったが、いずれ、このまんまでき上がったらすごいもんになる気がする。大昔やっていた「田主」という変名バンドなど、くるりがカオス方面に足を踏み出すことはこれが初めてではないが、どのどれとも違っていたからだ。そのどれよりも野放図で、無鉄砲で、そしてものすごいテンションだったからだ。ちょっと恐いけど楽しみ。
蛇足。1曲目が、個人的にすごく好きなんだけど最近めったにやらなかった、ごく初期の曲で、驚いたしうれしかったです。明日もそうなんだろうか。(兵庫慎司)
くるり @ Zepp Tokyo
2008.07.22