時速120kmで御堂筋を北新地までブッ放すような勢いで十分すぎるほど会場をあっため、ガンちゃんのラスト・スタンドに精一杯の華を添えた。
時刻が20時を回る頃、フルハウスのオーディエンスの喝采を浴びてKen Bandが登場。ガンはバスドラ連打でキッズの熱狂を煽ってみせる(「キックずれてたよ!」とケニーにツッコまれてましたが・笑)。そして、MEANING Tシャツ姿のケニーが先導して一気呵成に“Pressure”へ! 続く“Eight-Hour Drive”では割れんばかりのオイ・コールを引き起こし、“How Many More Times”ではフロア一面を熱いフィスト・アップが埋め尽くす。この3曲を終えたところで、ケニーがMC――「よう来てくださった! 今日のライブは今の3曲だけ決まってて、あとはガンちゃんのいいようにしてもらおうと思って。(ガンからメモを受け取って)……マジっすかコレっ!!(笑)」。そう、このファイナルのセットリストはガンちゃん自ら考案したもので、しかもそれは事前にメンバーにも知らされず、ブロックごとに曲目の書かれたメモが手渡されて進行するという前代未聞のシステムが導入されていたのだ。結果、ガンちゃんからメモを受け取るたびに「マジかよ!」とメンバーは驚きと困惑の声を上げることとなるのだが、この“出たとこ勝負”なシステムが想定外にプラスに機能。ライブに予測不能なワクワク感と快い緊張感を与え、メンバー脱退というトピックが必然的に帯びてしまう“湿っぽさ”を払拭してもいたのだった(こんな“遊び”を盛り込んでくるあたり、サスガだなぁ)。
中でもケニーは、「この曲に思い入れがあったとは!」と心底楽しそうにプレイ。そんなガンちゃんチョイスで、“Do It Again”、“What It Means To Love”、“Ten Years From Now”とライブは右肩上がりの熱狂曲線を描いて進行する。その後の“Your Safe Rock”での、鬼のように繰り出されるドラミングには思わずコブシを掲げずにはいられない! 「ここで“Safe Rock”はフツーない!」と公開ダメ出しされながら(笑)、フロアからは「ガンちゃん最高!」「ナイス・チョイス!」の声も。そして湧き上がる「飛べコール」でガンちゃん勢いよくフロアへダイブ!
その直後、おもむろにケニーがドラムを叩き出し、ステージ前に歩み出たガンちゃん、お別れの挨拶でも述べるのかと思いきや……<♪今からそう、ラップをそう、やってみるけど出来なさそう~楽しかったよKen Band、バンドのみんなも調子はどう!?>と渾身のラップを披露! ケータイ・メモを見ながらのヨレヨレ・ラップだったけれど(失礼!)、「セイ・ホーォ!」とコール&レスポンスも盛大にキメて、嬉しいやら照れ臭いやらでソソクサと再びドラム・セットに舞い戻ったガンちゃんであった。
「普段はもっとハーコーに決めてます(笑)」とケニーが弁明するほど絶え間ない笑顔のもとライブは展開され、「ガンちゃん脱いで!」「ガンちゃん泣け!」「ガンちゃん阿藤快!」と最後だからってキッズも言いたい放題である。7年という決して短くはない歳月を共にしたメンバーとのラスト・ステージで「こんな楽しい日はないね!」(ケニー)なんて科白が吐けるなんて、まったく素晴らしいことだなあと思いました、本当に(ケニーからは、「もうちょっとで新しいドラマーが決まりそうです」とのアナウンスも!)。アンコールでは赤マスクの“ダーマン”として登場し、“My Day”では撮影中の世界のTEPPEI氏が身の危険を感じてしまうほど大量のダイバーが発生! そして“Fuck Up Fuck Up”ではKen Band の卒業生・サージも飛び入り! おかわりを求め続けるキッズにWアンコールにも応え、爽快な笑顔でステージを後にしたKen Bandだった。
“門出に華を添える”と言うより、さながら“イジり納め”って感じの150分で徹底的にイジり倒されてヘロヘロのガンちゃんだったけれど(「今日で終わりで良かったなって思っちゃった(笑)」って、半分本音!? 笑)、何よりKen Bandらしい、愛と感謝(+ドSないたずら心)満載のステージはガンちゃんのラストに相応しいものだったと思う。ともかくは、Ken Bandでの7年間お疲れさまでした&ありがとう!!(奥村明裕)