dustbox @ 新木場STUDIO COAST

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dustbox @ 新木場STUDIO COAST - pic by H.and.Apic by H.and.A
昨年12月から約5ヶ月、計40公演以上にもわたって行ってきたdustboxの全国ツアー『TOUR 2010&2011-starbow-』のファイナル。ゲストにlocofrankを迎えて行われた今夜の新木場STUDIOCOAST公演は、一階のフロアからから二階の関係者席までぎゅうぎゅうの超満員で、開演前から汗ばむほどの熱気が立ち込めている。いやいくらTシャツ+ショートパンツ+首タオル装備がデフォルトとはいえ、もはや今夜STUDIOCOASTは一足早い夏そのものだったのだ。

定刻より15分押しの18:15、このツアーの沖縄公演もサポートしたlocofrankがオン・ステージ。「もっとこいやー!お前ら!もっとこいやっての!」オーディエンスを煽り、情感も豊かにすさまじい声量で歌い上げながらベースを激しくグラインドさせる木下正行(Vo/B)、それに呼応してヘッドバンキングの連打で叩くようにギターを弾く森勇介(G/Vo)、華麗にスティックを振り回しながらもキレのある爆音ドラムを叩き出す笹原達也(Dr)、今夜もこのトライアングルが織り成す鉄壁のバンド・アンサンブルは盤石である。フロアからは無数の拳が突き上がり、無数のダイバーが打ち上がっていく。初っ端から代表曲を惜しみなく叩き込み、計13曲で約1時間という短いセットながらdustboxのツアー・ファイナルを盛大に盛り上げる。いや、盛り上げるじゃないな、下手するといきなり燃え尽きかねない、攻撃性全快の容赦ないパフォーマンスを畳み掛けていくlocofrankであった。

そして転換の後、抜けのいいエレクトロニクスが混じった“New Cosmos”をSEに、SUGA(Vo/G)、JOJI(B/Vo)、REIJI(Dr)の3人がステージに立ち、まずは最新作『starbow』 から挨拶代わりに“Break Through”を一発!彼らの登場を祝福するかのように次から次へとダイバーが面白いくらいに無限増殖し、隙あらば割れんばかりのハンドクラップと特大のoiコールが巻き起こる。パンクの即着火性を象徴するようなオープニングだ。「最高の夜にしようぜ!もっとこいよシンキバーー!!」とSUGAがダイナミックにアジテーションして迎えた“One & Only”、そして“You'll Never Be All Alone”と『starbow』のストーリーをなぞるように畳み掛ければ、全力の歓声とおたけびと拳を突き上げて応えるオーディエンス。フロアは前に後に右に左にぐらんぐらん揺れている。壇上の3人と オーディエンスの熱い共犯関係を限界まで迸らせる狂騒の宴である。4曲目“Bitter Sweet”では、ミラーボールと極彩色のライトが狂騒のフロアをドラマティックに照らしていった。

「最高だわ!フォー!いやーlocofrankよかった!最高だったね!仲良くなれたのかわかりませんが、やっと対バンしてくれるようになりました!」とSUGA がlocofrankへのリスペクトを挟み、“Sun which never sets”へ。コーストの天井を突き破るように天高く響いた「searching for freedom!」の巨大なシンガロングは序盤のハイライトだ。7曲目“Runaway Train”では曲間で演奏をストップさせ、大きく手を広げてフロアの大歓声を一身に浴びる3人だが、リスタートを待ちわびるオーディエンスの臨戦態勢を見たJOJIは「おおおーすげー用意してんなーーーーーー。はやくやれや!」とノリツッコミ。もう暴発寸前の勢いそのままに、フライング気味にリスタートするとフロア狂喜乱舞!これでまだ7曲目である。にしても、このバンドとオーディエンスを何度も循環しまくる高揚感ったらない。オーディエンスが暴発させるフラストレーションをバンドは即座にグルーヴの塊へと還元し再びフロアへ投下する。それが何度も何度も循環し巨大なうねりとなり、とぐろを巻きながら天高く上っていくような次元の違うエモーション。なんなんだこれは。なんかもうここで自家発電できそうなくらいだぞ。

めいっぱいノイズを膨らませ、そこからの解放をエモーショナルに描いてゆく“Jupiter”、跳ねるようなリズムの序盤から一転してヘヴィな音塊を撒き散らす“Hate Hate Hate”、至るところでサークル・モッシュが起こった“Try My Luck”、肩車あり「オーオーオー!」のシンガロングありの“Stand By Me”。中盤から終盤にかけてのキラー・チューンの連打はもう反則級の盛り上がり。そしてdustboxは次の“Tomorrow”のサビ部分をまるまるオーディエンスに預けるのだった。限られた時間の中でオーディエンスのエネルギーを真正面で受け止め、一切ごまかしたりせずに全力で投げ返す両者のコミュニケーションはいつ観てもすばらしいものだ。本編ラストに「目標とか夢を持っている人。それが大きいとか小さいとか関係ない。それに向かって一緒にがんばっていこうな!ここにいる全員におくります」というSUGAの言葉からプレイされた“Tears of Joy”は、これまでの楽曲よりも一際バカでかい音が鳴っている気がした。凡庸な言い方になってしまうが、彼らの音に感情がのっていたんだと思う。

アンコールは、“Next Story”をプレイした後に、JOJIが「やれんのかーお前ら!!」とlocofrank木下を呼び込み、彼のフライングVのベースを交えて“Neo Chavez 400”をプレイ。フロア一面にスウェイが舞う中、JOJIがここぞとばかりにハンドマイクでシャウトする。今度は入り代わりでlocofrank森がオン・ステージし、“SxOxP”を披露。locofrankの二人が鋼のようなグルーヴをdustboxに注入し、フロアの狂熱をラストに向けて激しく加速させていく。そして、“Hand in Hand”を挟み、正真正銘のラストは本日2度目の“Sun which never sets”!オーディエンスは、ダイブ&クラウド・サーフ、oiコール、ハンドクラップ、スウェイ、サークル・モッシュ、シンガロングなど今宵のアクションのフル・コースで迎えうち、約2時間にわたるdustboxのセットは幕となった。

locofrankとdustbox、ロック・バンドに内包される物語性という意味では、彼らにとってはライブそのものが物語であり、その物語はオーディエンス抜きにしては成り立たない。幸福な共犯関係か、はたまた共に戦う戦友か。互いの表現方法は違えど、同じ空間、物語を、ファンとバンドがまったく同じ温度で「共有」できるバンドである。それは、10年以上かけて両バンドが積み重ねてきた歴史にほかならないだろう。信頼というよりは堅い絆のようなものを改めて感じたすばらしい夜だった。(古川純基)

locofrank
<セットリスト>
1.survive
2.little wish
3.My own place
4.CROSSOVER
5.answer
6.Film
7.Pledge
8.Hope
9.From eighteen
10.voyage
11.across time
12.Mountain range
13.START

dustbox
<セットリスト>
SE:New Cosmos
1.Break Throw
2.One & Only
3.You'll Never Be All Alone
4.Bitter Sweet
5.Sun which never sets
6.Thrill
7.Runaway Train
8.Resistance
9.Don't Regret, Never Trying
10.Right Now
11.Daydream
12.Bird of Passage
13.Spacewalk
14.Shine Bright
15.Hiding Place
16.Jupiter
17.Hate Hate Hate
18.Hurdle Race
19.Try My Luck
20.Stand By Me
21.Never Ending Dream
22.Tomorrow
23.Tears of Joy

アンコール
24.Next Story
25.Neo Chavez 400
26.SxOxP
27.JUST ONE MINUTES
28.Hand in Hand
29.Sun which never sets
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