knotlamp @ 代官山UNIT

昨年10月から全国26箇所を転戦してきたknotlampの全国ツアー「Bridges We've Dreamed TOUR 2011-2012」のファイナル公演、代官山UNITワンマン。開演予定時刻を少し回った18時37分、勇壮なSEにのってメンバーが登場。TOHRU(B)とMAHIRO(G)がステージ前方に飛び出し、発射されたオープニング・ナンバーは“A Star Tribe”。曲の途中で「今日ここ東京がこのツアーの日本一をとって下さいね! よろしくお願いします!」とKEIT(Vo/G)がアジテーションを飛ばし、フロアの熱気がグンと跳ね上がる。そしてTOHRU(B)の野太いベースラインがうねりまくるKlaxonsのknotlamp流解釈とも言うべき新機軸ナンバー“Holy moment”、サビ直前の一瞬のタメが破格のエネルギーを生み出す“What should I do”、AKIHIKO(Dr)の叩き出すダイナミックなビートが疾走する“Last Train”と、スピード感溢れる展開で序盤を一気に駆け抜けていく4人。また、それに負けじと食らいついていくオーディエンスの飛ばしぶりも半端ない! フロア前方ではモッシュ・ダイヴ、中央付近ではサークルモッシュと、それこそ「温存」という言葉など微塵も頭にない様子で、凄まじいテンションで身体をぶつけ合い、その度に会場の一体感が高まっていくこの光景こそknotlampのライヴの流儀。ステージ中央でフロアの熱狂を見つめるKEITは、実に嬉しそうな表情を浮かべている。

《見上げれば星空を月が照らした》という歌詞に合わせて天井のミラーボールが眩い光を乱反射した“夜空”を終えて、「何の希望もなく、とても明日日本がどうなってもおかしくないような世の中で、こうやって自分を出し合える場所があるってのが本当に幸せで。ちょっとくさいけど、ライヴハウスとか、音楽がある場所ってオアシスだからさ。今日はたっぷり水浴びして、明日からのエネルギーを蓄えていって下さい!」と語ったKEIT。その言葉がオーディエンスの胸を熱く滾らせたところで、“All may not be real”“Across the sea”を立て続けに投下。そして中盤のハイライトは、新作ミニアルバム『Bridges We've Dreamed』のオープニングを飾った“Blaze drops”。途方もない瞬発力で広がっていく美メロにのせて、《情熱がまた蘇ってきた/今光のかけらが舞い降りて来てる》(対訳)と力強く宣言するKEITのボーカルがフロアに高く伸びていき、場内にハンドクラップが広がっていく様は壮観であった。

メロディの強度をどこまで高められるかという点にフォーカスを当てた前作までの流れと一旦距離を置き、バンドのオリジナリティをより明確化するために様々な音楽的トライアルを散りばめた『Bridges We've Dreamed』。その中で最も異彩を放っているのはやはり、この日の11曲目に披露された、同期ビートを導入してダンサブルに転がっていく“New dawn”だろう。打ち込みを導入することによって、これまでのknotlampの楽曲とはいくらか異なる毛色に仕上がったこの曲だが、あくまでも強いメロディがサウンドの中心に据えられているため、散漫な印象は皆無。それどころか、「メロディック・パンク」という枠から逸脱することなく、それとは別種の未知の快感を生み出していてかなり面白かった。

「俺たちが音楽とかバンドに向ける情熱の先には、いつもみんながいます。それを今日も実感することができたし、みんなが笑って、騒いで、声を出してくれることが、俺たちの生きる意味になっています」。knotlampのライヴ初となるコールアンドレスポンスが行われた終盤戦を経て、圧倒的な加速度で辿り着いた本編のクライマックスで、オーディエンスに感謝を述べるKEIT。そしてその後は、「目に見えないものである音楽を愛せる人は、見えない前向きな自分を作れる力を持っている」という、ここまでのキャリアの中で彼らが見つけた音楽に対するひとつの答えを語り、「手挙げろー!」とフロアの手を突き上げさせて、周りの人とのハイタッチを促してから“Oblivion color”へ。怒濤の勢いで美メロを繰り出しフロアを今一度爆発させて、一気呵成にクライマックスまで上り詰めていった。

オーディエンスによる“A Star Tribe”の合唱によって迎えられたアンコールでは、「ツアーの最後にまたこういう景色が見れて本当に嬉しいです」とAKIHIKOが喜びを爆発させる。そして“The Limited World”“Libra”“Flag”の3曲を披露して、「こんな世の中でもまだまだ光はあるぞー!」というKEITの咆哮で、この日のライヴは大団円。徐々に変貌を遂げつつあるバンドのサウンドや、新作に冠された「僕らが夢見た架け橋」というタイトルからもわかるように、現在大きな過渡期を迎えているknotlamp。夢の架け橋を渡りきった先に広がる風景は、恐らく次作あたりで明らかにされるのだろう。次なる一手が本当に待ち遠しい。(前島耕)
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