AA= @ 赤坂BLITZ

AA= @ 赤坂BLITZ
AA= @ 赤坂BLITZ - pics by TEPPEIpics by TEPPEI
TAKESHIの歌声が、高らかに、真に淀みなく、響き渡っていた。AA=の壮絶なライヴを観て最初に出る言葉がそれか、と思われるかもしれないが、でも本当にそうだった。昨年12月にリリースされたアルバム『#3』を携えての、待ちに待った大阪・東京ツアー、赤坂ブリッツ公演である。ステージの背景にはAA=のロゴが揺れ、オペラのオープニングSEが聴こえる場内にはベートーヴェンの第九“歓喜の歌”。そしてあの“#3 INTRO”の、原発事故直後の内閣官房長官記者会見から引用された言葉が、エレクトロニックなノイズにまみれながら続く。《放射性物質の濃度は、上昇を致しておりません》《上昇を致しておりません》《上昇を致しておりません》。

バックドロップにはAA=のテーマともいうべきジョージ・オーウェル『動物農場』の「七戒」が殴り書きされたような英文が掲げられ、豚のマスクを被った4人が登場。『#3』同様に、“WORKING CLASS”を繰り出すのだった。凄まじい音圧とともにのしかかる、《Work for peace!!!》という呪いのような合言葉。1曲を終えたところで4人はマスクをはぎ取り、改めて沸き上がる歓声を受けながら歪んだ爆音に明確な意味を与える“DISTORTION”へと向かうのだった。サポート・メンバーにはTakayoshi Shirakawa(Vo.BACK DROP BOMB)、児島実(G.)、金子ノブアキ(Dr.RIZE)というお馴染みの顔ぶれである。今回のツアーは2公演のみというスケジュールで行われたが、まるで何ヶ月もツアーをこなしてきたような、恐るべきバンド・サウンドが出来上がってしまっている。

弾ける爆音の中をTakaのクリスピーなトースティングがくぐり抜けて来る“posi-JUMPER”まで披露すると、TAKESHIは「2011年すっ飛ばして、いつの間にか2012年になってました。お久しぶりです、AA=です!」と挨拶する。そして誰にとっても困難だった2011年に、多くの人々から力を貰ってアルバムを作り上げたこと、とてもポジティヴなアルバムになったこと、ポジティヴな中にも明確な敵意を掲げているものがある、ということを語っていた。信用に足らない権力を指しては「そういう連中が使うロジック/システムに、俺は反対します。賛同してくれるやつは、声を上げてください!」と姿勢を表明するのだった。

多くの協力者を得てスタートさせたAA= AiDでの活動をはじめ、TAKESHIは震災後、真っ先に公的な復興支援のアクションを起こしたアーティストの一人だった。ただ単にライヴ活動ということで見れば1年以上のブランクがあったかも知れないが、彼にとっては言葉どおりに「いつの間にか2012年になってました」というところなのだろう。「これは戦いの歌だぜー!」と叩き付けられたのは“sTEP COde”だ。このタイトル。この率直な歌。アルバムの曲順通りにステージが進められるので気持ちの準備は出来るはずなのだが、このマッシヴなエレクトロ・パンクの音塊も凄まじい。

Takaの伸びのある美声からスクリーム、オートチューンまでといった多彩なヴォーカル・ワークは相変わらず冴え渡っている。しかしそれに負けず劣らず、ときにはTakaを凌ぐ勢いで胸に響くのが、他でもないTakeshiの歌声なのである。陽性ロック・リフに乗せて届けられる“coLors”の、ポジティヴで扇動的なメッセージはどうだ。放たれるその声にはまったく迷いがない。アルバムどおりの曲順であればこの後には“Sunshine glow”が続くはずで、ここでも彼の歌を聴いてみたかったが、不穏なイメージ・ヴィジュアルのインタールードが挟み込まれる形で過去作の楽曲群が披露されるブロックへと移るのだった。

ところが、デジタル・ハードコアど真ん中のエモーショナルな“GREED...”、ブライトなディストーション・サウンドが迸る“meVIR”といったあたりではフロアも最高潮、クラウド・サーフがとめどなく生み出される。“ROOTS”でのあっくんのドラムの決まり方もやばい。これまで、コンセプチュアルにカチッとまとまったステージを披露することが多かったAA=を思い返すと、この辺りの開放的な盛り上げ方は嬉しい意外性を受け止めさせていた。そして再び『#3』の曲群へと戻り、ヘヴィなグルーヴを練り上げる“PEOPLE POWER”からドラマティックで美しいパンク・ナンバー“DREAMER”へ。やはり、TAKESHIの歌が、強い。まるで何かに突き動かされて、歌わずにはいられないといった様子だ。

本編終盤、TAKESHIはAA= AiDの活動と、支援してくれる団体について改めて紹介し、場内には大きな拍手が沸き上がっていた。そして最後に披露されるのは、“We're not alone (AA= Ver.)”だ。児島やあっくんも歌っている。元々は復興支援のために多くのアーティストたちが参加したナンバーだったが、このときばかりは更なるヴォーカリストの参加は必要なかった。フロアからは声も枯れよとばかりにシンガロングが巻き起こり、眩いほどの光景が生み出されてしまったからだ。TAKESHIの歌が確かに伝わったという事実を、目の当たりにするようだった。

アンコールに応えたAA=は、OIコールを巻いて駆け抜ける“PEACE!!!”までの全17曲を完遂。アルバムを聴いた時点でも驚かされたが、それ以上にポジティヴなヴァイブに包まれたステージであった。しかしやはり、震災後の活動を通してTAKESHIがこのポジティヴィティを生み出したという事実には、ただ怒りや悲しみを率直に描き出すことよりも余程多くの逡巡や葛藤が込められている気がする。僕は“We're not alone”のコーラスに触れるたびに、震災直後のあのどうしようもない無力感を生々しく蘇らせてしまう。2011年がTAKESHIに作らせた『#3』はきっと、あの気持ちから始まる決意のアルバムでもあるだろう。

AA=は7/11に映画『ヘルタースケルター』のエンディング・テーマ曲となるシングル「The klock」をリリースする。彼らの歌を共有するためのライヴの機会もぜひ増やして欲しいところ。また、ROCK IN JAPAN FES.2012、8/3のステージにも出演する予定なので、ぜひ楽しみにしていて欲しい。(小池宏和)


セットリスト

01: WORKING CLASS
02: DISTORTION
03: posi-JUMPER
04: sTEP COde
05: Dry your tears
06: coLors
07: GREED...
08: meVIR
09: LOSER
10: ROOTS
11: I HATE HUMAN
12: PEOPLE POWER
13: DREAMER
14: We're not alone (AA= Ver.)

アンコール
01: 2010 DIGItoTALism
02: FREEDOM
03: PEACE!!!
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