アーティスト

    locofrank @ SHIBUYA-AX

    locofrank @ SHIBUYA-AX - all pics by RUI HASHIMOTOall pics by RUI HASHIMOTO
    昨年10月3日にミニ・アルバム『ONE』を発表。10月26日の台湾公演を皮切りに始まった『TOUR 2012-2013"ONE"』も(地震の影響で延期となってしまった大船渡公演が3月に控えているが)このSHIBUYA-AXファイナルを残すのみ。そんな大一番に招かれたのは、サンボマスターとASPARAGUS。さながら“3ピース頂上決戦”とでも銘打ちたい激アツな一夜となった。

    先鋒を担ったのはサンボマスター。「渋谷、準備いいのかー! locofrankのツアーファイナルに呼んでもらえてめちゃくちゃ気合い入っております! 最高潮でロックやっていいッスか!? やっていいッスか~!?」と山口 隆(Vo&G)がシャウトし、“世界を変えさせておくれよ”から爆発的テンションでスパート! 勢い沸き立つフロアに、「お前ら、そんなもんじゃねーだろ! 踊りまくれんのかー!?」(山口)とまくし立て、“そのぬくもりに用がある”でさらにギアをアップ。シンガロング必至のグッド・メロディと熱血的な演奏に加え、「笑われたっていいんですよ! でっけえ音で騒ぎたいだけですよ! やっていいッスか!? やっていいッスかー!?」とひたすら観る者のケツを蹴り上げる山口のMCが熱狂にガソリンをかけまくって、AXは右肩あがりにヒートアップ。バンドの過剰な熱量は、客席の一人ひとりにぎゅ~っと抱擁して回るくらいの勢いで、ラストの“ロックンロール イズ ノットデッド”まで終始絶頂を刻み続けたのだった。2階席で見守っていたロコ・メンバーも大いに刺激を受けたことだろう。

    続いては、locofrankとは事務所が同じ一軒家ということで何かと親交深い間柄であり、これが2013年1発目のライブとなるASPARAGUS。“年明け1発目のライブは往々にしてグダグダ”というバンド界のジンクス(?)を引き合いに、「グダらならないようにします(笑)」とバックステージで謙遜していたシノッピ(渡邊忍/Vo・G)だが、いやいや、冒頭の“Analog Signal Processing”から三位一体の鉄壁アンサンブルで好発進! アコギでの“I'm off now”なども織り交ぜた多彩なセットリストでオーディエンスの身体とハートを揺らし、瞬く間にAXを掌握していく。本人たちも久々のライブを存分に楽しんでいる様子で、「やっぱりライブってイイですね。こう、見られてるのが……いや、衣類を着てる時にですよ? そんな、衣類まとってない姿を見られたら、ねえ?」とシノッピ。 MCでも大いにフロアを沸かせてみせる。終盤も“SILLY THING”“FALLIN' DOWN”と一気呵成に畳み掛け、十分すぎるほど場内を温めて締めくくった。アルバム『PARAGRAPH』のリリース、盟友たちを率いた『BKTS TOUR』、記念的な渋谷公会堂ワンマンなどなど、結成10周年のアニバーサリーを派手に駆け抜けた昨年に続いて、3人のさらなる進撃に期待したい。

    locofrank @ SHIBUYA-AX
    時刻は午後8時40分、いよいよlocofrankがファイナルのステージに登る。登場するなり、「行くぞ! locofrank、行くぞ―!!」と木下(Vo・B)が熱血的に呼びかけて、新作『ONE』の中でも随一のポップネスと疾走感を誇る“SECRET”からスタート。早くもクラウド・サーフィンが多発するなか、バンドは“Mountain range”→“Set yourself free”と熱情そのもののようなメロディック・ナンバーを連続投下。“BE FULL”ではAX一丸のシンガロングも巻き起こり、序盤から沸き立つような熱狂が立ち現れる。「遂に来たぞ、この日が!
    今回(ツアーを)36本組ませてもらって、いろんなもんもらってきました。ここで全部出すから、君らも出し惜しみすんなよ!! 派手に行こかー!?」と、この日はいつもにも増して猛然とオーディエンスにコミットしていく木下の姿が印象的で、「もっと来いよ!」と言わんばかりに何度もステージ前に歩み出てアジテート。対するキッズも遠慮や躊躇をかなぐり捨てて、思うがままの心でバンドに立ち向かっていく。そのようにして、“From eighteen”“share”と曲を重ねるごとに両者の交歓はヒートアップし、何からも自由な<僕らだけの場所>が生み出されていった。それは、あらゆる抑圧から解き放たれたイノセンスが光り輝くような景色だった。

    locofrank @ SHIBUYA-AX
    結成15周年を迎えるlocofrankだが、思えば彼らの歩みは、そのイノセンスを脅かすものとの闘いの歴史だったと言えるだろう。イノセンスを保つために自らのレーベル(773Four RECORDS)を立ちあげ、いかに非効率でも全国津々浦々の小さなライブハウスを巡り、すべてを自分たちの意志とアクションで発動させてきたのだ。そういった実地的な活動に裏付けされた自信と自負が何よりの原動力となっていることが、屈強なバンド・サウンドと共に「俺らはこれ(バンド)以外なんにもできへん。そやけど、楽器持たせたら俺たちにしかでけへんもんやるよ?」(木下)といった言葉からも伝わってきたし、来る2月16、17日に地元・大阪で主催する大規模フェスティバル『FOUR SEASONS FESTIVAL'13』(出演はHAWAIIAN6、the band apart、HUSKING BEE、Northern19などロコだからこそ実現できた豪華メンツ!)に繋がっている。全身全霊で自分たちと対峙するバンドへのキッズの信頼は篤く、本編ラストの“ONE”では自ずといくつもの笑顔のサークルピットが発生。何よりの宣言と激励として、アンコールではこの日2度目となる“START”を投下。何度目かの絶頂を刻み、非の打ち所のない熱演で大一番を締めくくったlocofrankだった。3人が去った後もステージ後方に掲げられていた巨大なバックドロップ。そこにはバンド名と共にこんなフレーズが刻まれていた。「We are all connected. We are one.」――その言葉は、この日のライヴを見た後では決して絵空事ではなかった。(奥村明裕)
    公式SNSアカウントをフォローする

    最新ブログ

    フォローする
    音楽WEBメディア rockin’on.com
    邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
    洋楽誌 rockin’on