先鋒を担ったのはサンボマスター。「渋谷、準備いいのかー! locofrankのツアーファイナルに呼んでもらえてめちゃくちゃ気合い入っております! 最高潮でロックやっていいッスか!? やっていいッスか~!?」と山口 隆(Vo&G)がシャウトし、“世界を変えさせておくれよ”から爆発的テンションでスパート! 勢い沸き立つフロアに、「お前ら、そんなもんじゃねーだろ! 踊りまくれんのかー!?」(山口)とまくし立て、“そのぬくもりに用がある”でさらにギアをアップ。シンガロング必至のグッド・メロディと熱血的な演奏に加え、「笑われたっていいんですよ! でっけえ音で騒ぎたいだけですよ! やっていいッスか!? やっていいッスかー!?」とひたすら観る者のケツを蹴り上げる山口のMCが熱狂にガソリンをかけまくって、AXは右肩あがりにヒートアップ。バンドの過剰な熱量は、客席の一人ひとりにぎゅ~っと抱擁して回るくらいの勢いで、ラストの“ロックンロール イズ ノットデッド”まで終始絶頂を刻み続けたのだった。2階席で見守っていたロコ・メンバーも大いに刺激を受けたことだろう。
続いては、locofrankとは事務所が同じ一軒家ということで何かと親交深い間柄であり、これが2013年1発目のライブとなるASPARAGUS。“年明け1発目のライブは往々にしてグダグダ”というバンド界のジンクス(?)を引き合いに、「グダらならないようにします(笑)」とバックステージで謙遜していたシノッピ(渡邊忍/Vo・G)だが、いやいや、冒頭の“Analog Signal Processing”から三位一体の鉄壁アンサンブルで好発進! アコギでの“I'm off now”なども織り交ぜた多彩なセットリストでオーディエンスの身体とハートを揺らし、瞬く間にAXを掌握していく。本人たちも久々のライブを存分に楽しんでいる様子で、「やっぱりライブってイイですね。こう、見られてるのが……いや、衣類を着てる時にですよ? そんな、衣類まとってない姿を見られたら、ねえ?」とシノッピ。 MCでも大いにフロアを沸かせてみせる。終盤も“SILLY THING”“FALLIN' DOWN”と一気呵成に畳み掛け、十分すぎるほど場内を温めて締めくくった。アルバム『PARAGRAPH』のリリース、盟友たちを率いた『BKTS TOUR』、記念的な渋谷公会堂ワンマンなどなど、結成10周年のアニバーサリーを派手に駆け抜けた昨年に続いて、3人のさらなる進撃に期待したい。
今回(ツアーを)36本組ませてもらって、いろんなもんもらってきました。ここで全部出すから、君らも出し惜しみすんなよ!! 派手に行こかー!?」と、この日はいつもにも増して猛然とオーディエンスにコミットしていく木下の姿が印象的で、「もっと来いよ!」と言わんばかりに何度もステージ前に歩み出てアジテート。対するキッズも遠慮や躊躇をかなぐり捨てて、思うがままの心でバンドに立ち向かっていく。そのようにして、“From eighteen”“share”と曲を重ねるごとに両者の交歓はヒートアップし、何からも自由な<僕らだけの場所>が生み出されていった。それは、あらゆる抑圧から解き放たれたイノセンスが光り輝くような景色だった。