BUMP OF CHICKEN @ QVCマリンフィールド

BUMP OF CHICKEN @ QVCマリンフィールド - All pics by KAZUMICHI KOKEIAll pics by KAZUMICHI KOKEI
「今日のバンプは初めてづくし! その一、初スタジアム・ライブ! その二、YouTube生配信! まずは、この会場に来てくれたみんな、本当にありがとう! そして、画面の前で観てくれてる人たちもありがとうございます! 僕らBUMP OF CHICKENは、今日が最初で最後のつもりでライブやるんで。ここにいるお客さん1人1人、画面の前にいるお客さん1人1人に全力で届けるんで!」という直井由文の高らかな宣誓に、満場のスタンディング・アリーナと客席から灼熱の陽気すら霞むほどの熱い歓声が沸き上がる——初のベスト・アルバム2作品『BUMP OF CHICKEN I[1999-2004]』『BUMP OF CHICKEN II[2005-2010]』を7月にリリースしたBUMP OF CHICKENの、一夜限りの「ベストアルバム発売記念ライブ」。ベスト盤2作を購入してチケット購入に応募&集結した3万5千人のオーディエンスがQVCマリンフィールド(旧・千葉マリンスタジアム)を埋め尽くし、それぞれの気持ちを力いっぱいの歓声やシンガロングに託していた。そして、会場に集まった観客1人1人の(そしてYouTubeでリアルタイム配信された映像を視聴している人たちの)熱い想いとともに、4人が鳴らす音と藤原基央の熱唱が過去最高の強度と堂々のスケール感をもって響き渡る、至上のアクトだった。

海風吹き抜けるQVCマリンフィールドの巨大ステージ。その左右のヴィジョンにバンドの紋章が映し出され、予定時刻の18:30を過ぎると、開演前BGMの“ボレロ”に合わせて「その時」を待ちきれないアリーナ/客席一丸の手拍子が沸き上がる。やがて……場内の照明が消え、大歓声の中ひとり舞台に現れた升秀夫が会場に向かって大きく手を振り、一礼してリズムを刻み始めると、オーディエンスのザイロバンド(LED内蔵のリストバンド)が輝き始め、広大な会場を七色に染上げていく。そこへ増川弘明が、直井由文が、藤原基央が登場、藤原がレスポール・スペシャルを高々と掲げると、スタジアムの歓声はさらに熱を増していく。そして、“Stage Of The Ground“に流れ込んだ瞬間に大音響とともにキャノン砲が炸裂して銀テープが舞い上がる――というダイナミックな幕開けで一気に沸点を超えた会場の高揚感は、終演まで高まりこそすれ冷めることは微塵もなかった。

BUMP OF CHICKEN @ QVCマリンフィールド
力強い歌とビート感によってマリンフィールド狭しと拳が突き上がり、高らかなシンガロングが夕闇迫る夏空を埋め尽くしていた“Stage Of The Ground”。アリーナに巨大バルーンが舞い踊る中、会場一丸となって沸き上がる♪ウォーオー、オーオーオーオーオーの勇壮なコーラスが直井の煽りとともにさらにドラマチックに高まっていった“firefly”。そして、まさにこの日ライブ直前にミュージック・ビデオの撮影がアナウンスされた、8月21日配信限定リリースの新曲“虹を待つ人”。この6日前にも『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013』のステージで観たばかりだが、アグレッシブな疾走感を牽引する升のドラムも、荘厳さすら漂わせる藤原の熱唱も、壮麗なコーラス轟くダイナミックなクライマックスも、さらに新たな領域へと躍動するBUMP OF CHICKENの音楽的探究心と冒険心を雄弁に物語っている。「ベスト・アルバム発売記念ライブにようこそ! BUMP OF CHICKENです! みんな、会いたかったぞ!」と3万5千人+配信視聴中のオーディエンスにでっかく呼びかける直井。「明日が当たり前に来るなんて思ってないし。また次もみんなとライブできるなんて思ってないんで。今この瞬間、全力でバンバン燃えるんで! ぜひともみんな、画面の前のみんなも、最高のライブにしようぜ!」という熱意溢れるメッセージが、観客の情熱をさらに沸き立たせていく。

“オンリー ロンリー グローリー”のパワフルなサウンドがスタジアムを揺らし、藤原&増川のギター・サウンドがきらめく“プラネタリウム”では一面のハンドウェーブに伴って光の波がスタジアムを包み込む。そして、“花の名”の藤原の凛とした歌声が、巨大な会場を感動で包んでいく。「調子悪い人いないっすか? いたら声かけてあげてください」と満員のアリーナに呼びかけるのは藤原基央。「楽しんでる? 僕らも今、すごい幸せな気分です」と語る藤原の声に湧き上がった歓声が、「……半分終わってしまった」の言葉とともに一斉に「えーっ!」の声に変わる。でも、「あっという間でしたね……あっという間ですよ。そういうもんだよ、夏だもん(笑)。暑いな。風呂みてぇだ」と軽妙に語りつつ、「イントロクイズ」とメジャー・デビュー曲“ダイヤモンド”のイントロのフレーズをゆっくり弾いてみせると、スタジアムは再び今この瞬間を最大限に楽しみきろうとするポジティブなヴァイブで満たされていく。そのまま続けて“メーデー”“カルマ”……BUMP OF CHICKENのキャリアを彩ってきた名曲が、紛れもない「今」のリアリティと訴求力をもって胸に迫ってくる。「この場所でやるの僕ら初めてなんですけど、そんな俺らでも言えることがある……千葉へようこそ!」。かつてすぐ隣りの幕張メッセで行った公演を上回る規模の、地元・千葉へのあまりに巨大な「凱旋ライブ」のステージから、藤原はそう呼びかけた。惜しみない拍手が4人へ降り注ぐ。

BUMP OF CHICKEN @ QVCマリンフィールド
何より、この日の4人の音楽から濃密にあふれていたのは、彼らの音楽の高純度で根源的な「蒼さ」そのものだった。しかし、その「蒼さ」とは単に「青春的な音楽」という意味ではない。むしろ、BUMP OF CHICKENの音楽が若さや衝動感だけから生まれた勢い任せな「青春的な音楽」として作られたことは一度もなかったと言っていい。生命の根源を、過ちも愚かさも含めた人間の真実を真っ向から見つめようとする高純度な歌詞とメロディとアンサンブルが、送り手/受け手の世代感すら無効化するだけの「蒼さ」を喚起して、聴く者すべてを奮い立たせていく――今回リリースされたベスト盤2作、特に初期楽曲を収録した『BUMP OF CHICKEN I[1999-2004]』が改めて「今」のシーンに突きつけてきたのは、そんなBUMP OF CHICKENの音楽の揺るぎない核心そのものだった。ということを、「懐かしい曲やります」の藤原コールから流れ込んだ“K”が、そして今度は金テープのキャノン砲とともに本編の最後を飾った“天体観測”が、どこまでもリアルに浮かび上がらせていた。

メンバーがステージを降りた後、暗転したスタジアムに3万5千人のザイロバンドが再び輝き、アンコールを求める“supernova”の合唱に応えて4人がもう一度オン・ステージすると、割れんばかりの大歓声が幕張の夜空に広がっていく。「私事ですが、明日はうちのドラマー升秀夫の34回目の誕生日です!」という藤原の言葉とともに、会場全員が“ハッピーバースデー”の大合唱! 「生まれてきてよかったな、お前」と升に呼びかける藤原。「みんな、来てくれてありがとう!」とオフマイクで叫ぶ升に、ひときわ熱烈な喝采が湧き起こる。「ザイロバンド、すごい。飛行機とかから見えるんじゃないかと思って」と感慨深げに会場を見渡して語る増川。「どうせだったら、夏、いちばん盛り上がっちゃいますか?」と呼び起こした轟々たるコール&レスポンス「いやいや、それじゃ飛行機に届かないなあ」とさらに天井知らずに煽っていく直井。「じゃあ、感謝の心をこめて歌います!」の藤原の言葉に導かれて鳴り渡ったこの日のラスト・ナンバーは“ガラスのブルース”。《ガラスの眼をした猫は叫ぶよ》を「ガラスの眼をした君と叫ぶよ」と歌詞をアレンジしてみせる藤原の歌に、スタジアムに響き渡るシンガロング。最後の《僕はいつも 精いっぱい歌を唄う》を、藤原は「僕は今も 精いっぱい君と唄う」と歌っていた。真摯に音楽を奏で歌い続ける限り、自分たちの歩んできた道程はいつだって「今」と「これから」を照らすメッセージとして響き続ける……そんな彼らの確信が、この晴れ舞台でとめどない祝祭感とともに咲き誇っていた。9月から始まるアリーナ・ツアー『BUMP OF CHICKEN 2013 TOUR "WILLPOLIS"』へ、そしてさらにその先へと続いていく4人の新たな足跡を、どこまでも見続けていたい、と改めて思わせてくれる、最高の一夜だった。(高橋智樹)

[SET LIST]
01.Stage of the ground
02.firefly
03.虹を待つ人
04.オンリーロンリーグローリー
05.プラネタリウム
06.花の名
07.ダイヤモンド
08.メーデー
09.カルマ
10.K
11.天体観測

Encore
12.ガラスのブルース
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