ルーファス・ウェインライト @ 東京国際フォーラム

現役のアメリカのシンガー・ソングライターのなかでも際立った才能といえるルーファス・ウェインライト。フォーク・シンガー、ラウドン・ウェインライト3世を父に、シンガー・ソングライター、ケイト・マクギャリルを母にもつ彼は、幼いころから舞台に立ち、これまでに出した5枚のアルバムは(セールスにばらつきはあるものの)どれも各国で高い称賛を受けている。

最新アルバム『リリース・ザ・スターズ』を引っさげての待望の来日ツアー。東京公演は、2部構成+アンコールというヴォリュームであった。背面いっぱいに掲げられたモノクロの星条旗をバックに(星条旗の星は、宝石などを象ったアイコンが散りばめられている)、前日のスフィアン・スティーヴンスの公演でもバックを務めたホーン・セクションと、超絶テクニックのバンマスを携えたルーファス。ときにミュージカル、ときにオペラ、ときにフォーク、ブルーズ、カントリー……そして大衆ポップス、と、めくるめくエンターテインメントで魅せていく。アルバムのタイトル・トラックから始まり、“オペラ座の怪人”のオープニングを引用した“ビトウィーン・マイ・レッグス”で終わる第1部では、アメリカという国に抱く愛憎入り混じる感情がユーモラスに垣間見え、圧倒的だった。“Macushlah”をアカペラで披露した第2部は、エディット・ピアフの世界さながらの、麗しいステージとなった。アンコールでは、ローブを羽織り、スポットライトの下で微笑みながら口紅を塗りハイヒールを履き、ダンサーに扮したバンドを従え、バスローブを脱ぐと、なんとジュディ・ガーランドよろしくジャケットにストッキングという出で立ち!で、“ゲット・ハッピー”と“ゲイ・メシア”を披露。時間にすればおよそ2時間半というライヴだったが、まだまだ浸っていたい、至福の空間だった。(羽鳥麻美)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする