9月9日に自身とギターを弾くことを自分に勧めた祖父との思い出を綴った絵本『Gus & Me: The Story of My Granddad and My First Guitar』を出版したザ・ローリング・ストーンズのキース・リチャーズだが、本の執筆を思い立った経緯などを明らかにしている。
本はキースの娘、セオドラ・リチャーズによるイラストを挿絵に使っているが、キースはもともと出版社から持ちかけられた話だったとビルボード誌に語っている。キースが先に刊行した自伝『ライフ』にも祖父をめぐる章があり、これに準じた児童向けの本を書いてもらえないかと持ちかけられたという。最初は「俺、子供向けの本なんて書いたことないし」とあまり乗り気ではなかったというが、ちょうどその時期に娘のアンジェラから「5人目の孫がお腹にいるよ」と電話で伝えられ、これもなにかの縁かもしれないと思って執筆を思い立ったという。
また、いったん話が決まるとキースは身内で本を制作しようとも決めたそうで、それで絵は娘のセオドラに任せることにしたとキースは説明している。家族のアルバムや写真をひっくり返したりと、かなり念入りな資料調べも行い、セオドラはキースの実家周辺の実地取材も行ったという。また、自身の生い立ちでの音楽の存在をキースは次のように語っている。
「俺の実家では音楽はノンストップでかかってるものだったから、なんか当たり前なものだったんだよ。呼吸してるみたいにね。鳥のさえずりと同じようなもんでさ。母親もよく、ルイ・アームストロング、エラ・フィッツジェラルド、デューク・エリントンなどをかけてたから、そうとは知らずに一流の音楽教育を叩き込まれてたんだよね。だから、家族はみんな歌うかなんか楽器をやってたんだ。ガスは30年代にダンス・バンドをやってたんだよ。でも、第一次世界大戦で毒ガス攻撃に遭ったんだよね。戦前はサックスを吹いてたんだけど、毒ガスの後遺症で吹けなくなっちゃったんだ。それで弦楽器に鞍替えしてね。遊びに行くとアップライト・ピアノの上にギターが置いてあって、5歳か6歳くらいの頃にみつけて、でも、まだ背が小さくて手が届かなかったんだ。そうしたら『おまえがあれに手が届くくらい大きくなったら、あれで遊んでみようぜ』って言われたんだよ。それで椅子と本を重ねて踏み台にして取ろうとしたら、ガスが部屋に入ってきて『どうやら本気みたいだな』って言ったんだよ。いつもロンドン中の楽器製造工房にも連れ回されてたんだ。そこで木の端くれからギターやヴァイオリンが作り出されてて、すごいもんだなあって思ったもんだよ」
なお、キースがギターでガスから最初に手ほどきを受けた曲はエルネスト・レクオーナの"マラゲーニャ"で、これをしっかり練習さえしておけば、その先はなんだってやれるよと教えてもらったのだという。また、絵本の最後の挿絵は子供時代のキースがギターを抱えながら寝ているものになっているが、本当にそのようなことはしたのかという問いにキースは次のように答えている。
「先週も奥さんが街に出かけた時にだってそうしたよ。一緒に寝る相手としては2番目にいいね」
『Gus & Me: The Story of My Granddad and My First Guitar』はこちらから。
http://www.amazon.co.jp/Gus-Me-Story-Granddad-Guitar/dp/031632065X/ref=sr_1_2?s=english-books&ie=UTF8&qid=1410664785&sr=1-2&keywords=gus+%26+me