ダリル・ホール&ジョン・オーツ、ソウルの真髄が鳴り響いた武道館公演を速報レポート

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1980年の初来日公演から35周年を迎え、10月14日(水)の大阪公演を皮切りに4年ぶり15度目となるジャパン・ツアーをスタートさせたダリル・ホール&ジョン・オーツ。

RO69では、昨日10月19日(月)に開催された東京初日・日本武道館公演のオリジナル・レポート記事をお届けします。

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【ダリル・ホール&ジョン・オーツ @ 日本武道館】

19時06分、武道館の客席の灯りと時計のデジタル表示が消え、サポートメンバーたちがステージに現れて、ドラムとベースが跳ねるようなリズムを弾き出す。おなじみ“Maneater”のイントロに、会場中から歓声があがる。そのリズムの中、ギターを抱えてジョン・オーツ、そしてダリル・ホールが登場すると、すでにクライマックスかと思うほどの声と拍手が沸き上がる。ステージセットは前回同様ごくシンプルで、ドレープを効かせた紅と白の布幕をバックにし、まるで私的なサロンに呼ばれたような雰囲気。ここが武道館だということを忘れてしまう。続いては“Out of Touch”。この曲で完全にスイッチが入る。ヴォーカルの歌い出しが高音域で始まるこの曲を、見事にキーを下げることなく美しく歌い上げるダリル。この年でこの歌いっぷりは本当に凄い。ジョンのファルセットももちろん健在だ。

そして、「アルバム『プライベート・アイズ』の中から」と言って演奏されたのが、“Did It in a Minute”。これが本当に素晴らしくて、このポップなロックンロールは、2人のハーモニーも相まって、とてもスウィートな気持ちにさせてくれた。ダリルもなんだか嬉しそうだ。オープニング3曲でしっかり会場中を盛り上げたところで、次は「アルバム『Rock 'n Soul』から」と、静かにギターを弾き始めるダリル。1983年、『Rock 'n Soul Part 1』(邦題『フロム・A・トゥ・ONE)』)というベスト盤の1曲目を飾ったのが、このシングル曲“Say It Isn't So”だったのだ。リヴァーブのかかったギターとキーボードの音が鳴り始めると、もう一発であの時代にタイムトリップしてしまう。ジョンのコーラスの美しいこと。ダリルと2人向き合って微笑みながらギターを弾く姿に、こちらも口角が上がりっぱなし。

続いて、“You've Lost That Lovin' Feelin'”。ジョンが情感たっぷりに歌い始めて、ダリルのパワフルなヴォーカルが引き受ける。ロックとソウルを行き来する、カヴァー曲ながら、ホール&オーツならではの静かで骨太なロックナンバーだ。そして「ちょっと1973年に戻ろうか」と、セカンド・アルバムからの名曲“Las Vegas Turnaround”へ。ジョンの軽快なギター・カッティング。このさわやかなファンクネス。会場のハンドクラップも大きくなる。

その後は、“She's Gone”、“Sara Smile”、“Do What You Want, Be What You Are”と続く恒例の切な系スローナンバー3連発。改めて言うまでもないが、ダリル・ホール&ジョン・オーツというユニットは、そのハーモニーの美しさが唯一無二なのだと思い知らされる。歌だけでなく、ギターの押し引き、サポートメンバーも含め、トータルで音が鳴ったときの全体としてのハーモニーとグルーヴ、その心地好さには格別なものがある。だから、何度もライヴに足を運びたくなってしまうのだ。それにしても、“She's Gone”はつくづく完璧な曲だと思う。

本編ラストは、こちらもおなじみ“I Can't Go for That (No Can Do)”。チャーリー・デシャントが奏でるフルートの旋律も美しく、エンディングでは、客席との熱いコール&レスポンスやポーター・キャロル(Perc.)のファンキーな叫びがさらに会場を煽る中、サックスに持ち替えたチャーリーがソロをたっぷりと聴かせる。長尺でしっかりと演奏を堪能させてくれて、本編終了。深くおじぎをして去っていくダリルとジョン、そしてメンバーたち。え、早いよ。いやいや、だって、まだまだあの曲もあの曲もやってない。

ふと気づいたのだが、最近のコンサートにしては珍しく、客席でスマホをかかげて撮影しようとしている人がほとんどいない。最初は、大人な観客の皆さんだからかなと思っていたのだが、たぶん、それは違う。豊潤で贅沢な彼らのソウルの真髄を、このライヴという瞬間に全身で余すことなく受け止めたいからなのだ。最初のアンコール、ダリルがキーボードの前に立ち、一息大きくブレスを入れるとおもむろに《You're a Rich Girl》と歌い出す。何度聴いても、サビに向かって心がぎゅーっとつかまれるようなメロディ。続いて“You Make My Dreams”。心躍るロックンロールを聴かせて一度ステージを去った後、2度目のアンコールで登場するまで、客席の手拍子と歓声は、これまで以上に大きなものになった。

再び登場後、しばらくはその歓声を堪能するかのように会場を見渡すダリル。“Kiss on My List”から、そのまま演奏を止めることなく“Private Eyes”へ。見渡せば客席は2階席の後ろの方まで立ち上がっていて、もちろん1発目から待ち構えていたようにクラップのタイミングは完璧。もう「今日はこれでおしまい」とわかっているから、名残惜しさを抱えつつも楽曲に耳と心を傾ける。初めて聴いたときから30年以上を経過しても、ちっとも色褪せない名曲だ。最後は「See You Next Time! We Love You,Guys!」と告げ、手を振って去っていった。終演後、この日の2日後に行われる追加公演のチケットを買いに急ぐ人たちの姿も見受けられた。そう、あのバンドのグルーヴを生で体験すれば病みつきになって、何度だってライヴを観たくなるのだから。(杉浦美恵)

【セットリスト】
1. Maneater
2. Out of Touch
3. Did It in a Minute
4. Say It Isn't So
5. You've Lost That Lovin' Feelin'
6. Las Vegas Turnaround (The Stewardess Song)
7. She's Gone
8. Sara Smile
9. Do What You Want, Be What You Are
10. I Can't Go for That (No Can Do)

En1. Rich Girl
En2. You Make My Dreams

En3. Kiss on My List
En4. Private Eyes

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ジャパン・ツアー最終公演は明日10月21日(水)、東京国際フォーラムにて開催される。

公演の詳細は以下の通り。

●ライヴ情報
2015年10月21日(水) 東京国際フォーラム ホールA
18:00 open/19:00 start
【当日券】17:00より販売
■お問い合せ先:ウドー音楽事務所 03-3402-5999
http://www.udo.co.jp/Artists/DarylHallJohnOates/index.html
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