華麗なる泥の祭典再び。数時間で2ヶ月分の降雨量を記録し、洪水や施設の決壊で大事故にもなりかねかったが、前年に導入した排水施設が功を奏して事なきを得た。この年は、「Make Poverty History(貧困を過去のものに)」キャンペーンを打ち出すことになり、マイケル・イーヴィスと、ミュージシャンで政治活動家のボブ・ゲルドフ、そしてグリーンピースのスタッフがステージから「今年は貧困を過去のものにして、未来のためのクリーンなエネルギーを獲得しよう」と宣言した。
2007年
この年もさらに会場が拡張し、共同オーガナイザーのエミリー・イーヴィスが主催するザ・パーク・ステージが新設された。ヘッドライナーは初日と2日目がアークティック・モンキーズとザ・キラーズだったが、3日目のザ・フーは死力を尽くした演奏を叩きつけることになった。
2008年
この年はチケットがすぐには売れ切れず残った珍しい年となったが、天候の見込みが良いことが分かったのをきっかけに、開催前には完売することとなった。この年のヘッドライナーはジェイ・Zが務めたが、「グラストンベリーにラップの居場所はない」という論議が生まれる。しかし結果的には、ジェイ・Zの圧倒的で懐の深いパフォーマンスは大好評に終わった。
2009年
マイケル・ジャクソンが他界したため、フェスティバル全体がマイケルを追悼する雰囲気に満ちていた。その一方で、ヘッドライナーはニール・ヤング、ブルース・スプリングスティーン、そして7年ぶりにライブを再開したばかりのブラーという、圧倒的なラインナップだった。
2010年
初開催から40周年。これを記念するためマイケル・イーヴィスはヘッドライナーのスティーヴィー・ワンダーのステージに客演し、スティーヴィーの大ヒット曲“Happy Birthday”を歌った。この時のことをマイケルは「2010年のパーティで一番楽しかったな。天気も良かったし、満月で、最終日には10万人のお客さんがひとり残らず楽しんでくれてたからね」と振り返っている。また、ミューズとボノの手術のためU2が急遽出演中止になり、ピンチヒッターとしてゴリラズがヘッドライナーを務めた。
2011年
この年ヘッドライナーとなったビヨンセも2008年のジェイ・Zと同様、グラストンベリーに馴染まないと批判を受けることになったが、結果的にはやはり歴史的なパフォーマンスを見せることとなった。しかし、セカンド・ステージであるジ・アザー・ステージのクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのライブもまた歴史的なものとして絶賛される内容となり、BBCラジオのDJゼイン・ロウとローレン・ラヴァーンの間に意見の対立を生むことに。なお、その他のヘッドライナーはU2とコールドプレイだった。
2013年
00年代に入ってから最も評価の高かった年としても知られるこの年のヘッドライナーは、マムフォード・アンド・サンズ、ザ・ローリング・ストーンズ、そして『AM』ツアーに乗り出したばかりのアークティック・モンキーズだった。
2014年
この年はアーケイド・ファイアーとカサビアンのヘッドライナーのほか、もう1組がなかなか明らかにされず、プリンス、フー・ファイターズ、フリードウッド・マック、ダフト・パンク、デヴィッド・ボウイなどの噂で持ち切りになったが、実際にはメタリカの名前が発表された。メタル・バンドのため論議の的になったが、そのあまりの迫力に、またしてもネガティブな意見が間違っていたことが証明されることとなった。
2015年
26分でチケット即完という記録を打ち立てた後、ヘッドライナーにはフリートウッド・マック、ミューズ、AC/DC、プリンス、クイーンなどの名前が上がったものの、最終的に発表されたのはフー・ファイターズ、ザ・フー、カニエ・ウェストだった。カニエについては出演キャンセルの署名運動が起こり、10万人もの署名が集まったという。さらにはフー・ファイターズのデイヴ・グロールが出演直前に足を骨折し、出演中止に。そこで白羽の矢が立ったのが、フローレンス・アンド・ザ・マシーンだった。
2016年
この年はミューズ、アデル、コールドプレイと、あまりにUK体質なアーティストがヘッドライナーとして勢揃いしたが、そのどこまでも安心でき、かつ盛り上がれるパフォーマンスがまさに今回のラインナップの見どころだったと「ザ・ガーディアン」紙の評価を受けていた。
第34回目を迎える2017年のグラストンベリー・フェスティバルは6月21日から6月25日まで、これまでの46年間と変わらずワージー牧場にて行われる。