LCDサウンドシステムのギャヴィン・ラソム、トランスジェンダーであることを告白

ただ、若かった頃には痛い目にも遭ってきたと、次のように振り返っている。

「20代前半の頃、自分でもトランスジェンダーであることをはっきりさせるつもりだった。それでまったく自分の性別とは関係のない服を着ていて、あけすけに女性的なものも着ていたし、親しみを感じていた人たちには自分の経験していることもよく話していたの。だけど、暴力とか嫌がらせはたくさん経験することになった。それがわたしの日常的な経験の一部だったくらいで。
たとえば、わたしから十分離れた距離をたまたま歩いている人が、わたしを女子だと思って、ナンパしてくるわけ。だけど、近づいてみてわたしが男っぽいとわかってくると、途端に怒り出すの。そのまま暴行を受けたことも何度もあるのよ」

時間をかけて自分のトランスジェンダーとしての考え方などを吟味していく中で、実は自分の中にもトランスジェンダーへの偏見や嫌悪感を抱えていることに気づいて絶望したこともあったという。
しかしその嫌悪感に気づくということは、問題点が自分には見えているということなのだと考えることにして、なんとかしてそれを乗り越えようとしてきたという。
これがトランスジェンダーなどまだ一般には認められないような「機能不全的な文化の中で生きることの現実だ」と考えてきたというが、そのせいで人と話すことに恐怖を感じることもあったというし、自己猜疑心に捉われることも多かったという。

しかし、2ヶ月間の休みがとれることがわかり、必要最低限の仕事を除いて自身のキャリアを積むことやSNSから一旦離れ、特に性同一性障害に詳しい病院でセラピーを受けることを決意したというが、その過程でかつて薬物などに逃避しがちだった生活態度などもすべて改めることになったという。

「今回のことで一番大きかった経験のひとつは、これまでどうしても辻褄が合わなかったような人生のことがすべて、納得がいく感じがしたことかな。現実をひとつずつ受け入れていくようにすると、突然、『ああ、そういうことだったのか。わたしの人生のこの時期はここにこう繋がってたのね』ってだんだんをわかり始めてきて。
その中でも一番大事だったのは、トランスジェンダーであるってことは、まやかしではなくて、本当の経験なんだって自覚できたっていうことね。この経験をしたことのない人たちが無理矢理当てはめたがるようなこととはまるで違っているの」

なお、LCDサウンドシステムは7月14日に「ピッチフォーク・ミュージック・フェスティバル」へのヘッドライナー出演を予定しているが、その前日にギャヴィンはレズビアンやLGBTのカルチャーを盛り上げる「フェムズ・ルーム」というイベントで、初めて公式に女性としてDJを務める予定になっている。

DJのオファーがあった時はまだ主催者側に自分がトランスジェンダーであることは伝えていなかったという。
この偶然の重なりに「素晴らしいシンクロを感じる」とギャヴィンは語っていて、「宇宙が自分の肩を叩いて『大丈夫よ、この体験はリアルなんだから』って言ってくれているような気がする」と心境を明かしている。

ギャヴィンのDJの告知はこちらから。
https://www.facebook.com/events/100482887258807/?acontext=%7B%22action_history%22%3A%22null%22%7D
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