GOOD4NOTHING、TANNY(Vo・G)の脱退とバンドの新たな旅立ちに寄せて

2019年2月1日、GOOD4NOTHINGからTANNY(Vo・G)が、2月いっぱいをもって脱退することが発表された。2018年に結成20周年を迎え、それにまつわるリリースやツアーといった企画を怒涛の勢いで展開していた彼ら。だからこそ、この発表にはかなり驚かされたし、いろいろな想いを巡らせずにはいられなくなった。
TANNYのコメントを見ると「(脱退の意思を)メンバーに打ち明けたのは、20周年のツアーが始まる少し前」とあるから、10月10日リリースのシングル『THIS SONG'S TO MY FRIEND』の制作に影響はなかったのかもしれないが(ツアー初日は10月23日)、この発表を受けてから聴くと、チョッ速な曲調も、友達や夢について書かれた歌詞も、お互いに対するエールのように感じてしまう。

また、最近の彼らの取材は、ソングライティングの中核を担うU-tan(Vo・G)一人に行うことが多かったのだが、『THIS SONG'S TO MY FRIEND』のタイミングでは、久々に4人全員に話を訊けた(『ROCKIN'ON JAPAN』2018年11月号に掲載)。今となっては、よりメモリアルな意味合いが強くなったインタビュー。切ないけれど、ありがたかった。
このインタビューでTANNYは「(『THIS SONG'S TO MY FRIEND』には)次の10年が見えるような、新しいアプローチを入れてみた」と言っていた。これは、GOOD4NOTHINGが続いていくことを願って、自分がやれることはやりきったということを裏付けているのかもしれない。また「(GOOD4NOTHINGの楽曲は)結成当時から速いビートにいい感じのメロディーがのっているのが主軸」とも言っていた。バンドの主軸をわかっていて、そこに愛情があるからこそ、それ以外の音楽性に挑戦するときには脱退しなければならないと思ったのかもしれない(すべて「深読みや!」と言われるかもしれないけれど)。

また、くしくも、このインタビューでは「これだけバラバラなメンバーが集まって20年も続いているのはすごい!」という話題にもなった。それだけに、「バンド結成当時からあった音楽性の違いと活動内容の相違」という、コメントにある脱退の理由には、頷くしかない。でも、1997年に前身バンドである電気風呂(改めてスゴい名前!)から、TANNYがいることを当たり前に思ってきた自分にとって、やっぱり脱退は衝撃的だ。とは言え、「メンバー同士支え合い何とか楽しくやって来れました」というコメントの言葉にもウソはないはず。だって、あの取材の時だって、笑いが溢れていたもの。ただ……これは彼と同い年の私の完全なる憶測だが、「このままでいいのか?」という考えが強まる年齢なのだ、40歳って。
思えば前任ドラマーであるKawajinの脱退は2009年、ちょうど彼らが30歳の頃。そこも、生活の変化などが訪れやすい年齢であり、当時も寂しいながら共感せざるを得なかった記憶があるが、今回のTANNYに関しても、「寂しいけれど、わかるよ、わかる」と勝手に言いたくなっている自分がいる。
その一方で、バンドを続けていくU-tan、MAKKIN(B・Cho)、SUNE(Dr)の気持ちも、とても嬉しい。U-tanは先述のインタビューで、「50歳になってもメロコアジャンプしていたい」と言っていた。彼らのカラッと明るい曲調と、バンド愛と人間味に溢れた歌詞は、揺るがざる魅力で、希望である。引き続き、私も50歳になってもキッズでいたいわ、と思わせてくれるような楽曲と活動を期待してやまない。

4人から3人になってしまうけれど、GOOD4NOTHINGは一人ひとりが濃いバンドなので(顔やキャラクターはもちろん、何よりパフォーマンスがね!)問題ないだろう。そしてTANNYはこれからも音楽活動を続けていくそうなので、この大きな決断をするほどやりたかったことが見られる日を待ち望んでいたい。

まずは、4人でのラストステージとなる自主企画「BURN SOUL DOWN(vol.18-19)」を楽しみ尽くしたい。新しい一歩は、そこから踏み出そう。物語は、いつだって始められるんだ。これもまた、GOOD4NOTHINGが示してくれる希望なんじゃないかな。(高橋美穂)
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