ソロ・宮本浩次がここにきて新曲“昇る太陽”で放ったストレートパンチとしてのパンクロックとは?

ソロ・宮本浩次がここにきて新曲“昇る太陽”で放ったストレートパンチとしてのパンクロックとは? - 『昇る太陽』『昇る太陽』
今、宮本浩次の勢いが凄まじい。昨年に椎名林檎東京スカパラダイスオーケストラとのコラボ作品へ参加したのを皮切りにソロ活動が本格化し、『ミュージックステーション』や『NHK紅白歌合戦』にも出演。そして今年に入り正式にソロプロジェクトが始動してからは、「散歩中」どころか「全力疾走」並みのハイペースで様々なことに挑戦する姿を見せてくれている。

ドラマ『後妻業』の主題歌“冬の花”は歌謡曲、月桂冠のCM曲“going my way”はガレージポップ、ソフトバンクのCM曲“解き放て、我らが新時代”はラップ、高橋一生への提供曲はダンスロック――。次々と放たれるソロの楽曲は、どれも異なるタイプの作品だ。それによって宮本の「音楽家」としての才能も浮き彫りになったが、何より驚かされたのはどんなに新鮮な楽曲でも全く薄まらない「宮本浩次」の濃度の高さ。これは、宮本の歌と言葉が他に例を見ないほどオリジナルで、決して揺るがないものであることを証明している。エレファントカシマシの活動でも充分わかっていたはずなのに、ソロになってバンドとはまた違う魅力が引き出されたことで、宮本がどれだけ突き抜けた存在なのかを改めて思い知った。

そんなソロ活動の上半期を総括するような1stシングル『昇る太陽』が、先週ついにリリースされた。力強いハイトーンボイスが印象的な今回の曲は、宮本流のパンクナンバー。そもそも「パンク」とは何かを考えた時に、真っ先に浮かんでくるのは曲の激しさや反骨心を感じさせる歌詞だと思うが、同曲をパンクと言える所以はそこではない。『ROCKIN'ON JAPAN』2019年8月号ソロインタビューの中で宮本は、「自分なりのパンク」について考えてみたと明かしている。その答えとして出てきたのは、例えビートとメロディが合っていなくても、その時の思い切った気分を出すということ。つまり、楽曲制作をする上である程度固まっていた自分のルールに縛られず、自由にやることを意識したのだ。パンクの定義をネット上の辞書で調べると「体制化・様式化した従来のロックに反発し、荒々しい表現法を強調する」と出てくるが、決まった形に抗うのがパンクなら、この曲に込められたアティテュードも彼なりのパンク。そして1stシングルとして“昇る太陽”を発表したのは、どんな形でも自分の魂がちゃんと伝わるという自信の表れであるように感じる。


そう、今の宮本の楽曲やパフォーマンスには自信が漲っている。だから今まで以上にフレッシュで、輝いて見える。前出の『ROCKIN'ON JAPAN』のソロインタビューではこんなことも語られていた。

「良かった、俺ようやく自由を手に入れました。ほんとに幸せですね。やっぱ歌を通じて、新しい仲間にも出会えてるし、昔からの仲間も、相変わらずちゃんと応援してくれてるし。それはファンの人も含めてですけど。だからすごく自信を持って街を歩く時間が増えたんですよね。自分が歌手として、ちゃんと存在できてることで、誇らかに感じる時間が多くて」

エレカシとしての30年間の土台と信頼もあったからこそ、ソロ活動への期待値は高く、いろんな場所から宮本のキャラクターと歌が求められてきた。そして宮本はその期待に120%応えるべく己を解き放ち、世間からの反響やアプローズはどんどん大きくなっている。そんな絶好調な今を鮮やかに反映させた“昇る太陽”は、宮本の高らかな≪咆哮≫がどこまでも轟いていくための強き光の道標のような曲だ。(渡邉満理奈)
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