00年代以降のロックンロールを革新したアークティック・モンキーズのアレックス・ターナー、若干21歳のピュアな素顔と飽くなき信念を捉えたインタビュー、発掘!

00年代以降のロックンロールを革新したアークティック・モンキーズのアレックス・ターナー、若干21歳のピュアな素顔と飽くなき信念を捉えたインタビュー、発掘!  - 『rockin'on』2020年6月号より『rockin'on』2020年6月号より

誰だって純真な目をしていた時期のサウンドトラックを持ってるはずだよ。純真な瞳に純真な耳!僕の場合はザ・リバティーンズとザ・ストロークスとザ・コーラルだった。それに『ラバー・ソウル』

アークティック・モンキーズザ・ストロークスから多大な影響を受けたことは知られている。アレックス・ターナーはストロークスの“レプティリア”を初めて聴いた時、「自分がやりたかったのはこれだ」と確信したとかつて語っている。つまり、アークティックはストロークスの『イズ・ディス・イット』と共に幕を開けた2000年代ロックンロールのルネッサンスを体現したバンドであり、後の金字塔『AM』によって、そのルネッサンスの灯火を2010年代に受け継ぐ偉業を成し遂げたバンドでもあった。

今回のインタビューは2007年、セカンド・アルバム『フェイヴァリット・ワースト・ナイトメアー』のリリース直前に行われたものだ。『ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット』からわずか1年、未だ10代だった当時の彼らは凄まじいペースで傑作ナンバーを生み出し続けていた。本記事からも窺えるように、彼らは自分たちの才能に全くもって無自覚で、売れたいという野心もなければ、スターダムを忌避するスノッブな思考とも無縁に、ひたすら無邪気に純度100%のロックンロールと戯れ続ける、そんな奇跡の時代に生きていた。当時のアークティックは一切の相対化から自由で、彼らだけの中で物語は完結していたと言っていい。

「2000年代はアークティック・モンキーズの時代だったけれど、2010年代は俺たちの時代だ」と言ったのは、The 1975のマシュー・ヒーリーだった。彼は今月号のインタビューでも「アークティック・モンキーズ的なる価値観」が席巻していた2000年代のUKシーンを回想しているが、[ROCK N ROLL IS DEAD]を掲げるThe 1975は、結果的にアークティックと逆の価値観を打ち出して2010年代UKを掌握したバンドでもあった。そう考えると、アークティックが2018年に『AM』と真逆の作品『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』を作ったのも納得がいく。同作で彼らは自分たちを物語るのではなく、ついに物語を語る俯瞰に回った。そう、ロックンロールの無邪気な時代、ルネッサンスはもう終わったのだ。

そして、2010年代も終わった。ストロークスとThe 1975が新時代を問う傑作をリリースした今、思うのはアークティックのことだ。2020年代に彼らが何を「語る」のか、それが楽しみでならないのだ。 (粉川しの)



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00年代以降のロックンロールを革新したアークティック・モンキーズのアレックス・ターナー、若干21歳のピュアな素顔と飽くなき信念を捉えたインタビュー、発掘!  - 『rockin'on』2020年6月号『rockin'on』2020年6月号
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