アユニ・DがPEDROを通して知った「新しい世界」とは? 2ndフルアルバム『浪漫』とともに紐解く

  • アユニ・DがPEDROを通して知った「新しい世界」とは? 2ndフルアルバム『浪漫』とともに紐解く
  • アユニ・DがPEDROを通して知った「新しい世界」とは? 2ndフルアルバム『浪漫』とともに紐解く - 『浪漫』初回生産限定盤

    『浪漫』初回生産限定盤

  • アユニ・DがPEDROを通して知った「新しい世界」とは? 2ndフルアルバム『浪漫』とともに紐解く - 『浪漫』映像付通常盤

    『浪漫』映像付通常盤

  • アユニ・DがPEDROを通して知った「新しい世界」とは? 2ndフルアルバム『浪漫』とともに紐解く - 『浪漫』通常盤

    『浪漫』通常盤

  • アユニ・DがPEDROを通して知った「新しい世界」とは? 2ndフルアルバム『浪漫』とともに紐解く
  • アユニ・DがPEDROを通して知った「新しい世界」とは? 2ndフルアルバム『浪漫』とともに紐解く - 『浪漫』初回生産限定盤
  • アユニ・DがPEDROを通して知った「新しい世界」とは? 2ndフルアルバム『浪漫』とともに紐解く - 『浪漫』映像付通常盤
  • アユニ・DがPEDROを通して知った「新しい世界」とは? 2ndフルアルバム『浪漫』とともに紐解く - 『浪漫』通常盤
BiSHのアユニ・DによるソロプロジェクトPEDROが、ニューアルバム『浪漫』を発売した。8月12日に枚数限定でシングル『来ないでワールドエンド』をリリース、そのシングルにじつはアルバムの全曲が収録されているというサプライズとともに告知されたこのアルバム、その仕掛けもファンを驚かせたが、何より作品の内容がすばらしい。

当初はプロデューサー・渡辺淳之介からの無茶振りによってスタートしたPEDRO(アユニは始動当初は本当にやりたくないと思っていたそうだ)だが、その活動を通してアユニのなかに変化が訪れ、BiSHにおいても彼女の存在感が増していったことは、ファンならばご存知だろう。『ROCKIN'ON JAPAN』2020年6月号での2万字インタビューで、彼女はPEDROを始めてからの変化について「今まで本当に本当に小さい世界しか見てなかったんだなって思ったし、新しい世界を知れた感覚がすごくあります」と語っているが、まさにPEDROはアユニ・Dにとって「新しい世界」への扉だったのだ。

では、アユニがPEDROを通して知った「新しい世界」とはどんな世界だったのか。それをまっすぐに音楽にしたのがニューアルバム『浪漫』だ。素直な言葉で綴られた歌詞、その言葉を全力で伝えるボーカル、そしてより一体感を増したように聞こえるバンドのアンサンブルと、ポップなメロディ。このアルバムには自分自身を表現すること、バンドで音楽をつくること、そして人生を生きていくことの喜びが詰まっている。1曲目“来ないでワールドエンド”で歌われる《味気ない日常に君が現れ/味の濃い日常になっているんだ/それはなんてハッピーなことでしょう》という一節にはじまり、《散々だった感情全て捨てたくないよ》という“空っぽ人間”、《過去があるからさ、今がある》という“さよならだけが人生だ”と、このアルバムには過去も含めて自分自身の人生とそのなかでの出会いを肯定する言葉が並ぶ。そしてそんなメッセージは、“乾杯”での《人生を祝して乾杯》という言葉へとつながっていく。

デビュー作で《救いようがないその死んだ目で一人夜を更かしてけ》(“ゴミ屑ロンリネス”)とか《関心・意欲・態度 -100点》(“ハッピーに生きてくれ”)とか歌って自分にも他人にも言葉の刃先を向けていたアユニの姿はここにはない。もちろんパンクな反骨精神は根底に息づいてはいるが、それが単なる怒りや自己嫌悪ではなく、前を向いて生きていくエネルギーに転換されている。だから、言葉も音も、これまでのPEDROの作品とはまったく違う手触りをもっている。ザラザラしたギターの音色も、鋭いシンバルの音も、相変わらず気だるそうなアユニの歌声も、どこか優しさと温かさを感じさせるのだ。アルバムリリースに先立ってYouTubeではアルバム全曲のスタジオライブが各曲24時間限定で公開されたが、その映像を観ていても、和気あいあいというわけではないが、3人のあいだに強い信頼関係と愛情があることは伝わってくる。


そんなアルバムのムードを象徴するのが、アユニ自身が作曲した2曲、タイトル曲の“浪漫”と最後に収められた“へなちょこ”だ。《お風呂あがりアイス分けあう夜》という情景描写から始まる“浪漫”にはなんてことのない日常の尊さが描かれ、“へなちょこ”にはアユニ自身の過去が投影されている。彼女がどうやって生きてきたのか、本当はどういうふうに生きたかったのか、そして今、どう生きていこうとしているのか。《どなたか僕を愛してください》、《泣きたい夜に泣けばいいよ》と感情を解放する彼女の姿は、広がりと疾走感をもったバンドアンサンブルと相まってとても頼もしく映る。

「前だったら過去を完全に否定してたし、昨日のことすら思い出したくないみたいな生活を送ってたんですけど。でも(PEDROを)やってみたら、本当に自分の生きる楽しみを見つけられた。辛いことも嫌なことも、楽しいことも嬉しいことも、全部あるから今があるっていうのは本当に日々痛感しているんですよね」。8月28日(金)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』2020年10月号のインタビューで、アユニはそう語っている。過去を否定せず、自分自身を卑下せず、誰かと関わり合いながら続けていく毎日をちゃんと愛すること。そんな彼女の思いが、このアルバムを生み出した。「なんか……私が思ってたより人生ってロマンチックなんだなって気づき始めたんです。それが自分にとっては革命的なことだったから」――『浪漫』はそれこそがロマンなんだと気付いたアユニ・DがPEDROというバンドの力を借りて鳴らす人生讃歌だ。このアルバムがもつ強さと美しさを、ひとりでも多くの人に受け取ってほしいと思う。(小川智宏)

JAPAN最新号 表紙はあいみょん!別冊平手友梨奈。宮本浩次/米津玄師/アレキ/フォーリミ/ポルカなど
2020年8月28日(金)に発売する『ROCKIN’ON JAPAN』2020年10月号の表紙とラインナップを公開しました。今月号の表紙巻頭は、あいみょんです。 そのほかラインナップは以下のとおり。 ●あいみょん 2020年、夏──あいみょんの今。 新たな傑作『おいしいパス…
JAPAN最新号 表紙はあいみょん!別冊平手友梨奈。宮本浩次/米津玄師/アレキ/フォーリミ/ポルカなど - 『ROCKIN'ON JAPAN』2020年10月号
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする