アイナ・ジ・エンドが「書き歌う」ことの必然性とは? ソロアルバム『THE END』で紡がれた裸の言葉たち

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BiSHがなくても彼女は歌っていただろう、でも彼女にBiSHがなければ「これ」は歌えなかったかもしれない。

BiSHのアイナ・ジ・エンドによる初のソロアルバム『THE END』を聴いて最初に感じたのはそんなことだった。2月3日(水)にリリースされた、全曲アイナ自身が作詞作曲を手掛け、プロデュースを亀田誠治が務めたこのアルバムは、アイナ・ジ・エンドというひとりの女性の生き方そのものだ。「BiSHのアイナ・ジ・エンド」ではない彼女のすべてが裸の言葉とメロディによってこれでもかと書き連ねられている。その意味ではとてもシンガーソングライター的なアルバムだが、同時にここには、BiSHとして活動してきたからこそ彼女が手にすることができたものが込められてもいる。

2018年に同じくBiSHのメンバーであるセントチヒロ・チッチと合同でリリースしたシングル『夜王子と月の姫/きえないで』に収録された“きえないで”、2020年に放映されたTVドラマ『死にたい夜にかぎって』に書き下ろした同題のエンディング主題歌と、これまでも単発的に彼女の音楽は世に問われてきた。それらの楽曲ももちろん今作には収録されているが、驚くのは“きえないで”にしても“死にたい夜にかぎって”にしてもアルバムのなかにあるべきものとしてちゃんと収まっているところだ。つまり彼女にとって曲を書き歌うという行為は最初から完成されたものだったのであり、初めから歌うべきは「これ」だったということだ。


たとえば、アルバムの最後に収録された“スイカ”。この楽曲は、もともとは彼女がBiSHに加入する以前に書き、歌っていた楽曲のひとつだ。今もYouTubeにはその当時のミュージックビデオが転がっている。聴き比べてもらえばわかるが、亀田のアレンジにはオリジナルのニュアンスを大切にしようという意図が感じられる一方で、歌詞も構成も別物のように生まれ変わり、楽曲として「完成」されている。「別物のように」というか、実際に別物なのだ。《スイカの種》に自身の孤独を投影するだけの曲だった“スイカ”は、同じように孤独を抱える「君」へのメッセージソングとなった。《感性の死は私の死/じゃ無いからきっと 生きている》という言葉は彼女が孤独を乗り越え生き抜いてきたからこそ歌えるものだ。《スポットライト眩しい時は/震える脚が竦んでる/君一人ただ聞いてくれたら/それだけでいい それがいい》という歌詞は、BiSHとしてステージに立ち最前線で戦い続けてきたからこそ実感を持つフレーズだ。あの“スイカ”がこの“スイカ”に生まれ変わり、アルバムの結論のようにラストに置かれたとき、アイナは自分が《生きている》ことを肯定することができたのではないか。


「おこがましいかもしれないですが…。もし辛くなったり、うまく笑えなくなった時。この曲達で、あなたが少しでも眠れますように。明日もちゃんと起きて笑ったり怒ったりできますように」

『THE END』のリリースに際してアイナはそんなコメントを寄せている。パーソナルな心情や風景を歌った曲が並ぶこのアルバムだが、そのすべては「あなた」――つまりこのアルバムを受け取る、彼女と同じような思いを抱えた誰かへのメッセージでもある。言うまでもなく、そうして「あなた」に向けて歌うことができるという手応えは、さまざまなものを抱えながらもBiSHとして、あるいはひとりのアーティストとして積み重ねてきた日々のなかで彼女が手にしたものだ。

《貴方は大抵幽霊で 私は到底人間で/二度とは会えないから》と歌う“虹”、《君》をこの世界に引き留めようと必死に言葉を投げかける“粧し込んだ日にかぎって”、《ありふれた唄でもそう 君との魔法で/特別な唄に変わる なんか良かったなぁ》という“日々”、そして《生きてよ My girl friend》と直截なメッセージを投げ込む“サボテンガール。それぞれの曲で向けられた「君」や「貴方」はそれぞれ違うのかもしれない。そこに込められた思いは彼女にとってとてもプライベートな領域で、こうして歌にして世の中に解き放つようなものでは本来ないのかもしれない。でも、彼女はそれを歌った。「君」や「貴方」の向こう側に、もっと多くの「あなた」がいることを知ったからだ。


「ずっと自信が持てなかったんです。自分が発信する立場っていうことに。ただ、今回アルバムを出すにあたって責任を持とうってある種腹を決めて」。『ROCKIN’ON JAPAN』2021年3月号に掲載されているインタビューで、アイナはそんなことを語っている。「腹を決め」たからこそ、彼女は「これ」を歌うことができた。「“THE END”は私にとって“始まり”の意味です」という彼女のコメントは、つまりそういうことだ。アイナ・ジ・エンドの「始まり」を刻んだアルバム『THE END』はとても弱くて儚くて、だからこそ強くて優しい。(小川智宏)

【JAPAN最新号】アイナ・ジ・エンド、単独アルバム・全曲自作・新たな覚悟を語る
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