クリス・コーネルが「不世出のシンガー」として遺した最後のスタジオ・アルバム――『ノー・ワン・シングス・ライク・ユー・エニモア』の絶唱が心に沁みる

クリス・コーネルが「不世出のシンガー」として遺した最後のスタジオ・アルバム――『ノー・ワン・シングス・ライク・ユー・エニモア』の絶唱が心に沁みる - 『rockin'on』2021年4月号より『rockin'on』2021年4月号より

昨年12月に配信でサプライズ・リリースされたクリス・コーネルのアルバム『ノー・ワン・シングス・ライク・ユー・エニモア』が、いよいよフィジカルでも発売される。カバー・アルバムとなる本作は、プリンスが作曲してシネイド・オコナーがヒットさせた“愛の哀しみ”や、ジョン・レノンの“ウォッチング・ザ・ホイールズ”などを収録。先行シングルとして、7月20日(クリスの誕生日)に公開された“ペイシェンス”(ガンズ・アンド・ローゼズのカバー)は、全米メインストリーム・ロック・ソングス・チャートで1位を獲得している。

2011年から「Songbook」と題してアコースティック・ツアーを行なってきたクリスは、同時期に再始動したサウンドガーデンと並行しながら、ソロではシンプルに削ぎ落とした伴奏で、ひたすら良い曲を歌うというスタイルを通じて、「ロック・バンドのフロントマン」とはまた違う、歌手としての可能性を押し広げることに挑戦し続けているようだった。その基本姿勢を踏まえ、クリスとブレンダン・オブライエンの2人だけでレコーディングされたのが前作『Higher Truth』であり、そのまま同じ体制ですぐ『ノー・ワン・シングス・ライク・ユー・エニモア』の制作に入っている。Songbookツアーでは、他のアーティストのカバーも積極的に披露していたので、その試みをアルバムの形にまとめておきたくなったのは、ごく自然な流れだったのだろう。

ブレンダンと録音した豊富な素材から、すでにクリス自身が選曲し、アルバムの曲順も決めていたという。妻のヴィッキー・コーネルによれば、クリスは本作が世に出ることをとても楽しみにしていたそうだ。未発表音源はまだありそうなので、『Vol.1』とついているからには、続編の可能性もあるのかもしれない。ただし、生前のクリスが最終段階までしっかりと関わった作品としては、これが最後のアルバムだという事実は動かない。不世出のシンガーが遺してくれた素晴らしい歌唱に、あらためてじっくり耳を傾けたいと思う。(鈴木喜之)



クリス・コーネルの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


クリス・コーネルが「不世出のシンガー」として遺した最後のスタジオ・アルバム――『ノー・ワン・シングス・ライク・ユー・エニモア』の絶唱が心に沁みる - 『rockin'on』2021年4月号『rockin'on』2021年4月号
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