ロック史に残る伝説のライブの立役者という点で群を抜く存在のザ・ローリング・ストーンズだが、後期ではこれが白眉かも。
2006年2月18日に世界的な観光地ブラジル、リオのコパカバーナ・ビーチでのフリー・コンサートは150万人の観客だったと言われるが、そのライブ映像が未収録曲追加、リマスターされ『ア・ビガー・バン:ライヴ・オン・コパカバーナ・ビーチ』として3DVD+3CDの「DXヴァージョン」を始め各種フォーマットで出る。
「今までも世界最大規模のショウをやってこなかったわけではないけれど、でもリオでのショウは際立っていたな」とのキースのコメントが出ているが、その言葉を裏付けるのがライブの充実ぶりで、ストーンズほどのキャリアであっても映像収録、テレビ中継といったプレミアが付いた状態でのライブは特別気合いの入るものだが、今回もその良い例で1曲目の“ジャンピン・ジャック・フラッシュ”からミックやキースがキレキレの状態なのがわかるし、今から15年も前だから若い(笑)。
巨大なステージ・セット、戦車のようなセンター・ステージが観客を分けて進む光景はまるで<モーゼの海割り>のようだ。音楽的に美味しいポイントは4曲の追加曲で、コーラスやホーンが華やかな“ダイスをころがせ”、このツアー全体は『ア・ビガー・バン』(2005)を携えてのものだが、同アルバムからの “Oh No、ノット・ユー・アゲイン”、そして “虚しい気持ち”はキース・ナンバーで、ここではアコースティックで思い入れたっぷりのバージョンを聞かせてくれる(今回の中では最高の収穫と言いたい)。そしていつのツアーでもハイライトの1曲となる“悪魔を憐れむ歌”が加わりコンプリートとなった。
さらに「DXヴァージョン」には、前年11月のユタ州ソルトレークシティでのライブ映像に加え、リオのドキュメンタリーも収められている。ドキュメンタリーは6階建てビルに相当するという巨大なセットを作る設営スタッフの話中心だが、そのとてつもないスケールに呆れている内に自然とリオのライブをまた再生したくなるというわけだ。(大鷹俊一)
ザ・ローリング・ストーンズの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。