最強のロックバンド・エレファントカシマシ、武道館に立つ!
2年ぶりの新春ライブを完全レポート
文=高橋智樹 撮影=岡田貴之
「なんて真面目な、あったかい奴らなんだ……。あけましておめでとう、エブリバディ! 本当にあったかくて、すごい素敵な空間が、武道館に――お正月からエブリバディ、ようこそ!」
舞台を360度取り囲むオーディエンスを見回しながら、感謝の想いを熱く叫び上げる宮本浩次。ソロ活動でのツアー真っ只中とは思えないほどに、その絶唱は「エレファントカシマシ・宮本浩次」の凄みを、改めて強烈に「今」に刻みつけるものだった。
2020年から続くコロナ禍の期間は、「ソロアーティスト・宮本浩次」がメディア越しに国民的な認知と支持を獲得した躍進の季節となった。そして、2021年にようやく実現したバンド編成での初ライブ、さらに現在開催中の全都道府県ツアーは、そんなソロ・宮本の日々劇的進化ぶりをまざまざと伝えている。その一方で昨年、2021年は、恒例の「新春ライブ」のみならず、1990年からずっと続いてきた日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも開催されなかった。デビュー以来初めて、エレファントカシマシとしてのライブがない年でもあった。
2022年1月12日、日本武道館。2020年10月の日比谷野音公演以来、約1年2ヶ月ぶりのエレファントカシマシの舞台。ソロのロングツアー中に1本だけブッキングされた、2年ぶりのエレカシ「新春ライブ」に、これまで以上の緊張感を持って会場に臨んだのは僕だけではなかったと思う。しかし、この日の日本武道館に広がっていたのは、僕らのエレカシ観すらあっさり更新する、魂の絶景だった。生命と衝動の手触りを直に確かめるようなリアルな切迫感と、その先にダイナミックな希望を立ち昇らせる、不屈の歌声――つまり、どこまでもエレファントカシマシそのものの、最高のライブだった、ということだ。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2022年3月号より抜粋)