1967年のデビュー盤『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』のジャケット図案で、アンディ・ウォーホルが手掛けたバナナのシルクスクリーン・イラストの商標権をめぐって法廷で争っていたヴェルヴェット・アンダーグラウンドだが、自分たちに商標権はないと裁判所から訴えが退けられた。
バンドはこのアルバムのジャケット図案でアンディ・ウォーホルが手がけたバナナのシルクスクリーン・イラストが、iPodやiPad用の保護カバーなどの商品に自分たちには無断で転用されていることを問題とし、ウォーホル基金がライセンス契約を行っていたことを新聞などの報道で知り、今回の訴えを起こしていた。ジャケットとしてあまりにも有名なこの図案はほとんどヴェルヴェット・アンダーグラウンドと同義語となっていて、このイラストについてはバンドに商標権があるとバンドは主張していた。
しかし、ウォーホル基金はバンド側の訴えを受けて、このバナナのイラストについては、今後ヴェルヴェット・アンダーグラウンドがこのイラストをどのように扱ったとしても訴訟や賠償などを一切要求しないことを法廷で逆提案したため、裁判所はこのイラストに関してはもはや著作権から派生する問題は両者の間ではなくなったとして、バンド側の訴えを棄却することになった。
結局のところ、このイラストの商標権はどちらが所有しているのかは今もはっきりしない状態だが、裁判所は、それについてはどうでもよくなったという判断をしている。その一方で、ウォーホル基金側はヴェルヴェット・アンダーグラウンドがバンドとして1972年以来機能していないことも指摘していて、登録商標とは現在も営業活動を続けている組織と関連付けられるべきものだとしている。
ただ、裁判所はこれまでの基金側によるバナナ・イラストのライセンス・ビジネスについてバンド側がさらに権利侵害を訴える余地も残している。
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