アウトキャストのアンドレ3000がジミ・ヘンドリックスに扮しているジミの伝記映画『All by My Side』について、かつてジミと交際していたキャシー・エッチンガムは60年代の007映画のパロディ映画シリーズ『オースティン・パワーズ』にしか思えないとこき下ろしている。
『All by My Side』はジミ役にアンドレ、キャシー役にはヘイリー・アットウェルを据え、現在開催中のトロント映画祭で初公開となっている。クラブのDJとして活躍しながらジミと出会い、60年代末のスウィンギング・ロンドンの代表的な存在の一人とも目されるキャシーは、映画への協力も申し出ていたが、これも断られていたことを『サンデー・エクスプレス』紙に明らかにしている。
「映画の話を初めて聞いた時にメールを送って『なにかお手伝いできることがあれば遠慮なくお申し付けください』と伝えたのに、なんにも返事がなくって。写真などを観た限りじゃ、衣裳もまるで『オースティン・パワーズ』でお笑いの世界だし、ああいうものとしてわたしは記憶されたくないの。アンドレとヘイリーも、あの頃のジミとわたしよりずっと歳を取ってて若くないし、伝記などを読んだこともない人たちがあれを観に行ったらあれが事実だったんだと思ってしまう人もたくさんいるはずよね。こんな映画で歴史が変えられてしまうなんて忍びないわ」
なお、映画はジミの遺産管財団体からオリジナル音源の使用を昨年断られるというトラブルにも見舞われてきている。昨年『ビルボード』誌は遺産管財団体の次のような発表を伝えていた。
「ジミ・ヘンドリックスの遺産を保護しジミ・ヘンドリックスの音楽と版権を管轄し、遺族によって経営されているエクスペリエンス・ヘンドリックスLLCはこれまでに何度も、ジミ・ヘンドリックスのオリジナル楽曲や著作権を含んだ映画製作については、当団体が十全に関わっていない限り実現できないということを表明してきています」