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 曽我部恵一とのセッション(2013年)、向井秀徳アコースティック&エレクトリック×星野 源(2012年)など、ここJAPAN JAMで数々の名演を繰り広げてきた向井秀徳(Vo・G・Key)。日高央とともにJAPAN JAM皆勤賞、総合プロデューサー・渋谷陽一いわく「Mr. JAPAN JAM」の1人でもある向井が、3年ぶりにZAZEN BOYSとしてJAPAN JAMに登場! 「MATSURI STUDIOから、MATSURI SESSIONをひねくり上がってやってまいりました、ZAZEN BOYS!」の向井の口上に沸き上がった熱気を、気合い一閃「本能寺で待ってる!」と流れ込んだ“Honnnoji”で会場一丸の狂騒感と緊迫感に塗り替えてみせる。松下敦(Dr)&吉田一郎(B)のタイト&パワフルなビートが鮮烈な妖気を描き出し、向井&吉兼聡(G)のギター・サウンドの刃が空気を切り刻む。5拍子のカオス→3拍子ディスコ・ファンクの展開に狂気とユーモアを滲ませながら、STUDIO COASTを暗黒祝祭空間へと導いていく。



 “COLD BEAT”の曲中で♪とりあーえず、抱き締めてよ~ など“チャルメラ”のメロに乗っけたラフな歌詞の歌をメンバーや観客に無茶振りしてフロアを沸かせながら、4人一丸となって放ったキメの、重金属同士の正面衝突の如き威力! 幾何学模様のようなビートとアンサンブルで観る者の交感神経を逆撫でる“HIMITSU GIRL'S TOP SECRET”の切れ味とダイナミズム! 16ビートとニューウェーブ・サウンドでオーディエンスを異次元の高揚感に引きずり込んだ“はあとぶれいく”。「陸軍中野学校予備校理事長、蟹江敬三!」の熱唱、向井の「パンツ」連呼×吉兼のギター・フレーズの異形のコール&レスポンスが無上の祝祭感とともに轟いた“サイボーグのオバケ”……1曲また1曲と進むたびに、会場はますます濃密な切迫感と歓喜に支配されていく。
 “RIFF MAN”では「シンキバ・シティ!」のコールと♪耳から飛び出る昇り龍~の口上が異様な凄味とともに響き、途方もないスケールのサウンドがSTUDIO COAST狭しと激しくのたうち回り……「お集まりいただき本当にありがとうございます。MATSURI STUDIOから、MATSURI SESSIONをひねり上げてやってまいりました、ZAZEN BOYS!」と再び挨拶する向井に熱い拍手が広がったところに鳴り渡った最後の曲は“破裂音の朝”。あたり一面真っ白に染め上げるような目映いギター・アンサンブルが、この上なく鮮烈に広がって……終了。ロック・バンドのフォーマットでロックを凌駕する唯一無二のバンド=ZAZEN BOYSの真髄そのもののアクトだった。(高橋智樹)


3日間の熱演を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!