残すところ2アクトとなったJAPAN JAM 2014。直前のVINTAGE TROUBLEの巻き起こしたむせ返るような狂騒感とは別ベクトルの高揚感へとフロアを導いてみせたのは、4月に初の日本武道館ワンマン公演(しかも2Days)を大成功させたばかりのクリープハイプ! サウンド・チェックから鳴り渡る“愛の標識”に、オーディエンスの期待感がMAXまで膨れ上がったSTUDIO COAST。SEもなく静かにオン・ステージした後、「よろしくお願いします」とウィスパー・ヴォイスで挨拶する尾崎世界観(Vo・G)の声に続けて、“左耳”の切れ味鋭いキメが炸裂! 観る者すべての焦燥感に火をつけるような尾崎のスリリングなハイトーン・ヴォーカル! タイトに鍛え上がった4人のアンサンブル! “NE-TAXI”のダンサブルなビートでフロアを揺らしたところで、「新曲やります」という尾崎の言葉に続けて放ったのは、5月7日リリースのニュー・シングル曲“寝癖”。抑えきれない感情のままにメロディアスに躍動する尾崎の歌メロが、小川幸慈(G)/長谷川カオナシ(B・Cho)/小泉拓(Dr)のサウンドと一丸となって、目も眩むほどの爽快な疾走感とともに鼓膜に、心に飛び込んでくる。最高だ。
「初めまして、クリープハイプといいます」という短い挨拶から流れ込んだのは、長谷川がヴォーカルをとるロックンロール・ナンバー“かえるの唄”。さらに、どこまでも雄大に響かせた“憂、燦々”の、骨太と呼んでもいいくらいに逞しさを増した歌とバンド・サウンドへ……日常の上手くいかなさ、大切な人との関係性の歯がゆさと愛しさを、目映いロック・ミュージックにこめて撃ち放ってきたクリープハイプ。日々極限進化を続ける彼らの「今」が、この上なくリアルに結晶した名演だ。「JAPAN JAMに出るのは初めてなんですけど。ずっと雑誌で見てて『くそぉ』と思ってて……出たかったから。嬉しいです」という尾崎のMCに応えて、フロア一面に拍手が広がっていく。
暴発必至の灼熱のエモーションをパワフルなロック・サウンドとともに鳴らしてみせた“ウワノソラ”。速射砲の如くヴォーカルを畳み掛けた“社会の窓”で沸き上がった熱烈なクラップと《最高です》の大合唱……「あさって新曲出ますので、よろしくお願いします。またライヴで会いましょう」と観客に語りかけた尾崎が、最後に情感豊かに歌い上げたのは“ねがいり”。ゆるやかなグルーヴと切ないメロディが、至上のひとときの終わりを美しく照らし出していった。そして、JAPAN JAM 2014はいよいよグランド・フィナーレ=ACIDMANのアクトへ! (高橋智樹)
3日間の熱演を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!