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 今年の『JAPAN JAM』は、なんと言っても洋楽・邦楽アクトが相見えるラインナップが魅力。スウェーデンはストックホルム出身の4ピース=ザ・ロイヤル・コンセプトは、日本盤デビュー・アルバム『ゴールドラッシュ』のリリースがこの5/7に迫っているところだが、それ以前からも熱心な洋楽ファンの間では注目を集めており、サマーソニック2013でのステージは好評を博していた。デヴィット・ラーソン(Vo・G)が柔らかく跳ね上がるギターのカッティングと共に歌い出すナンバーは“Goldrushed”だ。人懐っこいメロディとダンス性の中にも、じわりと滲むエモーションを忍ばせ、熱を帯びる。続く“Busy busy”のイントロでリズムに乗りながら挨拶を投げ掛けるデヴィット。キラッキラの疾走感の中、動きの激しいベース・ラインが紡ぎ出され、デヴィットはステージ上手側にセッティングされたフランス・ポヴェル(Dr)のドラム・セットのバスドラムに乗り上がり、昂る姿を晒すのだった。






 フロアに詰めかけて声を上げ、手を打ち鳴らすオーディエンスの好反応に、デヴィッドは感嘆と感謝の言葉を投げ掛けながら、“Gimme Twice”、“World on Fire”と、ファンの間では既に人気曲となっている楽曲を畳み掛けてゆく。苛立つ思いを掛け合いヴォーカルでオーディエンスと分かち合い、分厚いシンセ・サウンドもパーカッションもフレキシブルに使いこなしながら、最高にポップな楽曲を伸び伸びと放つ4人の姿は何とも痛快だ。今日この日がちょうどドラマー=ポヴェルの誕生日であることなども紹介して更に親密な空気を作り上げると、“Shut the World”では《I miss the Stockholm sky》のフレーズを《Tokyo sky》と歌い換えて喝采を浴び、エレクトロ色が高まる“Damn”では「一緒に歌って」と誘いつつ自らスティックも振るうデヴィッド。瑞々しいことこの上ないビート・ポップ“D-D-Dance”を経て、クライマックスはヴォコーダーを用いた別れの挨拶から、若いひたむきさを目一杯輝かせる“On Our Way”だ。スウェディッシュ・ポップの華やかな伝統と、インディー・ロックの自由なクリエイティヴィティが揃って咲き乱れたライヴだった。『ゴールドラッシュ』リリース日である5/7には、原宿アストロホールでのワンマンも行われる予定だ。(小池宏和)


3日間の熱演を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!