

洋・邦楽混成フェスとなった『JAPAN JAM 2014』の3日間。その洋楽枠最後にして唯一米国からの出演アクトとなるのが、ハリウッドで結成されたヴィンテージ・トラブルだ。デビュー・アルバム『The Bomb Shelter Sessions』をリリース(2011年/日本盤は2012年)するなり、サマーソニック2012ではスタジアムのMARINE STAGE(東京)で2日目トップを担い、翌2013年の来日時は横浜で開催されたGREENROOM FESTIVALにおいて2日間の大トリに抜擢。とにかくこの男が凄い、希代のロックンロール・エンターテイナーにしてソウル・マン、タイ・テイラー(Vo)である。“Blues Hand Me Down”のソリッドなイントロが鳴り響くなり、ステージ中央で高速スピンを披露してオーディエンスの歓喜とも驚嘆ともつかない声を浴びると、ソウルフルな歌をぶっ放してはトレード・マークの白いマイク・シールドを渦上に振り回す。「またここに帰って来れて嬉しいよトーキョー! トラブルメーカー(ヴィンテージ・トラブルのファンの愛称)はどれぐらいいるんだ?」とまくしたてながらコール&レスポンスを敢行し、軽快にアレンジされたサン・ハウスのカヴァー“Low Down Dirty Dog”に繋ぐといった具合である。



こんなにプリミティヴなロックンロール/R&Bが、よりにもよってこんなにもインタラクティヴなエンターテインメントとして機能するのかという、そんな驚きすらも瞬く間に吹き飛ばされてしまうスピード感とパワー。「イヤイヤそんなもんじゃないだろう!」「下半身でノリノリに踊っていても、俺たちには見えないからね。手を高く掲げて踊って欲しいんだ!」と言葉の壁などものともしないヴォルテージで煽り立て、“Total Strangers”から配信シングル“Strike Your Light”とオーディエンスのコーラスを誘いながらプレイする。「6月に、俺たちの新しくてクラシックなレコードが出るんだ!」と嬉しい告知が届けられると、新曲“Never Mine”も披露される。バンドの演奏スキルを目一杯活かしたアレンジのソウル・ナンバーだ。タイが熱心な日本のファンのサポートに感謝の言葉を投げ掛けた後には、驚愕必至の煽りっぷりと共に“Run Like the River”で沸騰し、「ホントアリガトウゴザイマス、みんな、再会を願ってこう、指を交差して掲げてくれ!」と告げながら“Pelvis Pusher”のラストスパートへ。一面のオーディエンスを屈み込ませた状態から、コール&レスポンスを交えて一斉に立ち上がり、このハミ出たところしかない、誰一人として逃すことのない熱狂は幕を閉じたのだった。(小池宏和)

3日間の熱演を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!