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 SOIL&"PIMP”SESSIONS、PEACEに続いて登場するのは、JAPAN JAM初回開催(2010年)以来の出演となるGRAPEVINE! 「ハロー、JAPAN!」というリラックスした田中和将(Vo・G)の挨拶から“MISOGI”へ。ミドル・テンポのビートからあふれ出す、ワイルドなロックンロールと艶やかな妖気! 田中和将/西川弘剛(G)/亀井亨(Dr)に金戸覚(B)&高野勲(Key)を加えた鉄壁のラインナップで、続く“So.”の伸びやかなメロディをでっかく咲き誇らせ、5人一丸となって放つリフでSTUDIO COASTの空気をびりびりと震わせていく。





「改めまして、日本のみなさんコンバンハ!」と来日バンド風に語る田中。「主催者の粋な計らいで、PEACE、GRAPEVINE、VINTAGE TROUBLEという並びにしていただきました!」「JAPAN JAMは初回、富士スピードウェイでやった時に、来日して参加さしていただきました(笑)」というMCでフロアを沸かせたところで、「クソ懐かしいやつをやります!」という言葉とともに披露したのは、2000年リリースの6thシングル曲“君を待つ間”! 晴れやかなメロディとアンサンブルと濃密なセンチメントが美しく絡み合う名曲に、オーディエンスからひときわ熱い拍手が湧き起こる。ソリッド&タイトなビート感に、西川のギターと高野のシンセ・サウンドがサイケデリックな響きを与える“NOS”。田中のアコギと歌が透徹したメランコリアの風景を描き出す“それを魔法と呼ぶのなら”。そして、最新アルバム『愚かな者の語ること』収録曲“1977”の凛としたメロディが、会場の温度をじりじりと高めていく。「最新ヒット・シングル“1977”でした。僕たちが西海岸にいた頃に作った曲です(笑)。カリフォルニアの風を感じましたか?」と再びジョークを飛ばす頃には、洋邦ファンが入り混じるフロアとステージの間に静かな、しかし確かな一体感が生まれているのがわかる。



「また懐かしい曲!」という田中のコールから流れ込んだのは、2ndアルバム『Lifetime』から“スロウ”。15年の時を経て格段に強靭かつドラマチックなサウンドへと磨き上げられたバイン・マスターピースが、とめどない高揚感とともに身体の隅々に広がっていく……「どうもありがとう! また日本に呼んでくれ!」と終始海外バンド風MCで通した田中の言葉とともに鳴り響いた最後の曲は“真昼の子供たち”。人間の純粋さも猥雑さも真っ向から抱き止めて、至上のメロディとロックンロールへと昇華するGRAPEVINEの真価が最大限に発揮された、素晴らしいアクトだった。(高橋智樹)

3日間の熱演を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!