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楽しい時間が過ぎるのは本当に早いもので、『JAPAN JAM 2014』3日間のクローザーを務めるのはACIDMANである。彼らは、バンドとしては『JAPAN JAM』初開催となった2010に、ホリエアツシ(ストレイテナー)、ATSUSHI(Dragon Ash)、キャンドルアーティストのCandle JUNEらと共に至福の聴覚・視覚体験となるセッションを繰り広げたほか、大木伸夫(Vo・G)は同年のLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSやストレイテナー、更に翌年のTHE BACK HORNのゲストとしても登場してくれた。壮大なオープニングSEと共に佐藤雅俊(B)が満場のクラップを巻き起こすと、ソリッドな大木のギター・リフを浦山一悟(Dr)の重機関砲の如きビートが追い回し、“±0”からパフォーマンスがスタートだ。「ありがとうっ!」と勢いに乗ったまま感謝の言葉を投げ掛け、続いては雄々しくダンサブルなバンド・アンサンブルを叩き出して英語詞連発の“ストロマトライト”でフロアが激しく波打つ。ここでかつての『JAPAN JAM』出演経験を語りつつ大木は「今年は形を変えて、海外のアーティストと日本のアーティストがジャムするっていう。とても素晴らしい考えなんじゃないかと思います。音楽に国境はない、みんなそういう熱い思いをもってやっていると思います」と語る。なるほど、ならば序盤の英語詞2曲は、ACIDMAN流の『JAPAN JAM 2014』での挨拶がわりといったところだろうか。





そして、イントロでオーディエンスを沸き立たせながらバンド一丸となって繰り出す“River”、静謐さにまで行き着く大きな抑揚の中から音と言葉が雄弁に語りかけて触れる者を繋ぎ止める“アルケミスト”とプレイし、「えー……新曲を、やります。“EVERLIGHT”。限りない光。僕たちの、万物の源である光。こう、星に手を翳すようにね。僕たちは光を求めて、生きて行くんだと思います」と楽曲に向き合う。ロマンチックなだけじゃない、強く息づいた確信を抱き、まさに精一杯自ら手を伸ばしてゆく、そんな鮮烈で眩い、能動的なロック・ナンバーだ。完璧なハイライトの余韻を残してフィニッシュすると、そこからACIDMANの経験値と摩耗しない衝動が一緒くたになった“造花が笑う”へと繋ぐ。絶え間なく流れる時間を見据えながら、今この場所にある命と意志の輪郭を確認し続ける“ある証明”まで、3ピースの轟音の美をもって、今日も確かな存在感を刻み付けてくれた。



アンコールに応えると大木は、「世間では中堅バンドと呼ばれることが多くて。でも自分たちではまったくそう思っていなくて、クリープハイプと同期です(笑)」と語りながら、イヴェント出演のアンコールで披露する機会が多いという“ALMA”に込めた思いを告げ、万感のクライマックスを描き出していった。彼らはこの5/22から、「ACIDMANの聴きたい一曲」を投票(ACIDMAN MOBILE会員限定)で募るツアー『ANTHOLOGY』をスタートさせる。常に音楽を生き物として捉え続けてきたACIDMANが、今、かつて生み出した楽曲群とどう向き合うか。そちらもぜひ楽しみにして頂きたい。(小池宏和)

3日間の熱演を「ROCKIN’ON JAPAN 7月号(5/30発売)」にてレポートします。お楽しみに!