ロシアのフィギュアスケート女王・エフゲニア・メドベージェワ選手(ドリーム・オン・アイスでセーラームーンのコスプレで演技したほどのアニメ好き)もファンで、“ユリオ”のコスプレ写真をTwitterにアップしたことなども話題になっているフィギュアスケートアニメ『ユーリ!!! on ICE』。
とにかく観ていて楽しいコメディ展開、ひたすら美しい本格的スケート描写、音楽の素晴らしさなど魅力はたくさんあるのだが、第4話、いや第4滑走まで観て強く思ったのは、これはSNSによって世界の距離が縮まった時代ならではの形で、そしてフィギュアスケートというスポーツならではの形で、「愛」を描いたアニメだということ。
それは男女の愛ではなくて、師弟愛とライバル愛。
主人公の勇利のもとにロシアからヴィクトルがコーチをしにやってくるきっかけは、勇利がヴィクトルの演技を完コピしたのを「滑ってみた動画」として幼馴染の子供が勝手に拡散したこと。
距離を超えて行動するヴィクトルの情熱と、自分に自信を持てない勇利のヴィクトルへの憧れが、片田舎の温泉町で繋がってしまう奇跡がまずこの時代ならでは。
そしてユリオがロシアからヴィクトルを追いかけてくるのもSNSがきっかけであり、温泉町でのユリオのアガペーVS勇利のエロスの対決が終わり、ユリオがロシアに戻ったあとも、ふたりのライバル関係が心の距離が極めて近い形で続くのもこの時代ならでは。
しかもその師弟愛やライバル愛が、そうやって距離を飛び超えながら性急に描かれる背景には、フィギュアスケートの選手生命の短さがある。
ヴィクトルがなぜ容赦の無いコーチであるのか、ユリオの野心がなぜ研ぎ澄まされているのか、そして勇利がなぜ主人公として強くなれるのか。
どれもそこにそれぞれの愛があるからなのだが、フィギュアスケートというスポーツが持つ儚さがその愛をさらにギュッと濃縮させている。
原案・ネーム・キャラクターデザインの久保ミツロウをはじめとするスタッフの方たちの、その濃縮された愛を描ききることへのこだわりが破格であることが、この『ユーリ!!! on ICE』を目が離せないアニメ作品にしている。
物語が加速するこれからの展開が楽しみ!(古河)
アニメ『ユーリ!!! on ICE』を第4滑走まで観て感じたこと
2016.10.31 00:40