私達の生きる普通の日常に16通りの切り口でどこまでも深く近く温かく寄り添う、このアルバムの力がドラマチックに解放された素晴らしいライブとなった。
一寸先はいつでも地獄だし、ひたむきな努力はむくわれないのが常だし、天に唾を吐けばきちんと自分の顔に降りかかるし、最後は清々しいくらい平等に死をもって幕を下ろす私達の生きる日常――それでも、そんな日常こそが素晴らしいと音楽によって生を肯定することができるか。
lukiというアーティストが挑戦し続けているのは、そういうことだ。
ミュージシャン以外にも、映画評論家（CUTにてコラム『小さなスクリーンの中で生きていたい』も連載中）、ランナー、そしてこの秋からはラジオパーソナリティ（毎週木曜深夜25時、bayfm『luki シンガーソングランナー』）と、実にたくさんの顔を持つ彼女。
その活動すべてが今、彼女のこれまで歩んできた人生を肯定の力＝ポップ・ミュージックに換えるものとして有機的に機能していることを力強く証明するのが、今日のパフォーマンスであり、MCであり、2回目のアンコールで披露された“エピローグ”という素晴らしい新曲だった。（古河）
