AKB48×是枝裕和監督。

AKB48×是枝裕和監督。

いつもいつも目にするたびに、ああこれはとてもいいなぁ、すごくいい感じだなぁ、これは抗えないなぁ、と思うものがあって、それはAKB48のPVだったりする。

特に、シングルチャートを驀進中の新曲『桜の木になろう』のPVは出色中の出色。
すんばらしい。
光の取り込み具合、風の風合い、ロケーションの妙、メンバー間の空気を生かすための設定、スローモーションの使い方、楽曲と映像をはめる際のスイッチングのタイミング、表情を切り取るためのカメラ位置、余韻をたっぷりと湛えた圧倒的な編集のうまさ、などなど。
はっきり言って、非の打ち所がない。

で、これは監督は誰なんだろうなぁ、さぞかしわかってる人なんだろうなぁ、と思ってクレジットを観てみたら、是枝裕和監督だった。
おまけに撮影監督は、あの伝説のカメラマン、鋤田正義さんだった。
そりゃいいに決まっている。

ただ、本当にすごいなと思うのは、これが作家性の溢れる「短編映画」などでは決してない、ということ。
あくまで、アイドルの「プロモーション・ビデオ」として作られているということ。
だから、このあまりに素晴らしいPVだって、彼女たちが「主演」していなければ、ここまで素晴らしく映るわけもないということである。

さらに告白すると、実は、PVを観るまでは、この曲はAKBには珍しくイマイチの曲だな、と思っていた。
これまで発表してきた怒涛のように気持ちいいヒットソングと違い、ポップナンバーとしての絶対的なパワーが足りないような気がしていた。
だけど、映像と重なった瞬間の、「ああ、こういうことなのね」という説得力と、瞬時にスパークする果てしないセンチメンタリズム。
ああ、こういうポップソングの成り立たせ方もあるのか……と目からウロコが落ちた思いに駆られております。

で、こんな暑苦しいブログを書いていると、まあそういうわけです。

ただ、AKBのPVはこれまでも実に最高だったんですよ。
そのラインナップといえば、中島哲也、蜷川実花、岩井俊二、平川雄一朗などなど、映画界に名だたる監督たちが並ぶわけだし。
そのほか、多くのAKB作品を手がけている高橋栄樹さんだって、PV監督としては完全に日本のエースだろう。

あと、余談だけど、『桜の木になろう』に関して言うなら、大島優子が子持ち、という設定が大変よろしい。
CUT読者のみなさんもぜひ観てみてください。

写真は、DVD付きの初回限定盤(TYPE A)。もちろん握手券もついている。(小柳)
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