ユニコーン『Z』全曲解説  その3

ユニコーン『Z』全曲解説  その3

4 手島いさむ物語

作詞・作曲:手島いさむ。ボーカルもテッシー。
曲調はあからさまにディープ・パープルを模した、70年代ハードロック。
特に、音もフレージングも露骨にジョン・ロードに似せた阿部Bの
キーボードと、とにかくやたらめったらフィル入れまくりの
川西さんのドラムがそうです。川西さん、このへんの時代の
ドラマーとしては、ザ・フーのキース・ムーンタイプだと
私は思っていますが、この曲は見事にイアン・ペイス。
特に後半の間奏のとこ、めちゃめちゃかっこいい。
テッシー主役の曲なのに、ギター、ライトハンド奏法が出てこないのも、
「ディープ・パープルにライトハンドはない」という理由だと思います。
で、歌詞は、シンプルに言うと、テッシーがただひたすらに
己の信条や、己の今や、己のありかたなどを炸裂させる曲です。
前作でいうところの「オッサンマーチ」にあたりますね。
他のメンバー(OT以外の3人が歌ってます)が何かを問いかけ、それに対して
「めんどうくさいんじゃ」とか「疲れちゃうんじゃ」で返していって、
「私はこうです」ということを申告して、サビでラララと歌う、という構成。
と、ついまじめに解説したくなるほど、テッシーが本音をまんま
出してる曲なんだけど、
「全編広島弁」というところが、そのシリアスさを覆い隠して余りあることになっています。
ちなみに、その歌詞の中の「なんしょんなら」は、「何してんだおまえ」という意味です。
「なにしよんな」=「何してんだ」、「わりゃ」=「おまえ」なんですが、
口語として発される段階で、「なにしよんな」が「なんしょんな」に、「わりゃ」が
「ら」に省略されてこうなったものです。
あと、「そがぁに」は、「そんなに」という意味です。
と、広島出身者として、解説してみました。

5 AGONY
作詞・作曲:EBI ボーカルもEBI。
淡々とうねうねと上がり下がりして、サビでいきなりしんみりと流麗になるメロディ。
ロックとジャズとアンビエントを足しっぱなしにして「音圧」とか
「ぶ厚さ」とかを引きっぱなしにしたような、はなはだ形容に困るアレンジ。
フレーズのはしばしにちょっとラブソング要素入った、でも抽象的で
何を描いているのかは最後まで不明なまんまの歌詞。
まさにEBIワールド。EBI全開。もう、「出たっ!」と言いたくなります。
ただ、前作の「ボルボレロ」といい、再始動後はアッパーな曲よりも、
こういうしっとり方面というか、暗い方面の曲が多いようです、EBI。
と思ったら、EBIが書いてくる中からメンバーが選ぶのが、
こういう暗い方面の曲なのだという話を、ジャパン6月号付録の
ユニコーンブックで、OTがしておられます。
しかし、「AGONY」ってなんでしょうね。イントロや間奏で入るメンバーの
コーラスを聴くと、「アゴニー」ではなく「アガニー」のようです。
「あがぁに」ってことだろうか。さっきの「手島いさむ物語」で
「そがぁに」ってあったでしょ。あれが「そんなに」で、
「あがぁに」は、「あんなに」ね。
というふうに、対になっているのかもしれない。と思います。
嘘です。違うと思います。

次回に続く。
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