「ファン」の話

「ファン」の話

上の写真は、関係ありません。
昨日の朝日新聞朝刊テレビ欄に出ていた広告です。

さて。もう15年くらい前ですが。
私、釣りに凝っていた時期がありました。
OTや吉井和哉がはまっていたような、ルアーでブラックバスを釣るようなやつじゃなくて、
乗り合いの釣り船で、川崎沖とか羽田沖に出て、
カサゴとかメバルとかキスとかを狙うようなやつです。
要は「釣って、持って帰って、料理して食う」ところまで込みで、
凝っていたわけですが。

なので、当時、情報収集のために、よく釣り雑誌を
買っていたんだけど、読むたびに、疑問に思うことがあった。
「ファン」という言葉の使い方です。
たとえば、

「いよいよメバルファンにとって待望のシーズンが来た」

とか、

「キスファンにとっては、この時期は、なんといっても伊豆網代からの出航だ」

とか、書いてあるのですね。
これ、「ファン」っていう言い方、おかしくないか?

説明するまでもないが、こういう釣り雑誌においては、
メバル釣りを好きな人を「メバルファン」、キス釣りを好きな人を
「キスファン」と書いているわけですが。
それ、ファンか?
という疑問が、あったのでした、当時の私には。

「メバルファン」って、なんか、客席で、
「キャー! メバルさーん!」とか叫びながら、
サビでタオルぶんぶん振り回してるみたいな感じじゃないか。
それでいいよ、普通じゃん。っていうことに、もし、なるのであれば、
じゃあ逆に言うと、たとえば「スピッツのマサムネファン」が、
リールで巻き上げた糸の先の針に、ぴちぴちはねる草野マサムネ
(43歳)がぶら下がっている。というようなことにも、なってしまうじゃないか。

要は、釣るのが好き=ファン、って、違うんじゃないかと。
ファンっていう言葉が、どのような意味合いかというと、
「その人の表現物とか、その人がやっていることが好き」
もしくは
「その人を応援している」
ということでしょう、普通に考えると。

だから、ファンっていうのは、おかしいんじゃないかと。
あなた別に、メバルを応援してるわけじゃないんだから。
というか、それ以前に、メバルの何を応援するんだ、っていう話だし。
「がんばってー! がんがん泳いで、どんどん小エビ食ってー!」
とか、応援するのか?

同じ意味で、たとえばラーメン好きの人で、「天下一品ファン」とか
「大勝軒ファン」とかいうのも、とても、納得がいかない。
いや、嫌いなわけではない。好きです、どっちも。
天下一品などは、思い起こせば20年前、京都から東京に出てきた時、
「天下一品がある」という理由だけで、三宿に住んだくらい好きです。
今は天下一品、東京中にあるけど、当時は三宿にしかなかったのでした。

そんなことはいいんですが、しかし、
食うのが好き=ファン
というのは、違うと思う。明らかに。
どうしても、自分はファンであると言いたいのならば、
「がんばってー! もっとこってりドロドロしてー!」とか、
あの、スープを飲むと「明日もお待ちしています」という文字が
出てくるドンブリに向かって叫ばなければならない、
というようなことになると思う。


もうすぐ43なのに、朝から何を書いているのか。
と、むなしくなってきたので、終わります。
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