日本のロックシーンにdipがいる幸せを改めて噛み締めたくなるような、素晴らしいライヴだった!
満員電車状態のQueで2時間大丈夫か?と始まるまでやや不安だったが、一発目の“ライラック・アコーディオン”でぶっ飛んだ。どの曲も、ただひたすらにかっこいい!
デビューシングル“冷たいくらいに乾いたら”のようなポップなメロディから、“human flow”の耽美なノスタルジア、“13階段の荒野”の狂暴なサイケデリアや“アイル”に代表される切れっ切れの凶器みたいなサウンド……
所謂「オルタナ」というとある種の限定された音のイメージが思い浮かびがちだが、dipのオルタナティブはものすごく多様で多彩だ。まるで世界一周オルタナ地下の旅みたいな、ヴァラエティーに富んだ楽しさ。そして、どの曲もイマジネーションが爆発しているからわくわくする。
90年代に世界同時発生したオルタナティブのオリジネイターだからできることなのか、独自の才能ゆえなのか?もちろん両方だろう。
アンコールでは、触れば切れそうな本編の緊張感とは違って、ナガタがギター、ヤマジがベースという構成でナガタが“public image”(!)を歌ったり、ヤマジのドラムによりナカニシが“come out”を歌ったりといった場面も。
サポートでキーボードにクジヒロコが参加していたのだが、スピッツのクジさんの万能ぶりとはまた違う、本来のオルタナ気質全開で楽しかった。
8月31日は、トリビュート盤リリース記念として、渋谷クアトロが決定! 未体験者は絶対観たほうがいい。ジャパニーズ・オルタナティヴのルーツだと知識として知ってる若いリスナーも、この生音を聴けばその意味が一発でわかるだろう。そして、自分の血の中に彼らの音がいつのまにかしっかり根を張っていたことにびっくりすると思う。
(井上)