もう20年近く昔の話だが、北米大陸を放浪していて、ボブ・ディランの故郷の街
ミネソタ州ヒビングに辿り着いたことがある。

ハイウェイ61を北上して、そろそろカナダ国境も間近、という場所にあるその街。
特に見て回るべきものは何も無い、どこにでもあるアメリカの田舎町だが、
一角にちょっとだけ奇麗めの店があった。それが「Zimmy’s Bar」。

一見、普通のダイナーなのだが、店内にはディランのポスターやリトグラフ等が沢山飾ってあって
（見た事の無いものも結構ある）、キョロキョロと周囲を見渡しながら昼食を取る。

ウエイトレスの Jeniffer も「日本人は初めて」「ディランは日本でも人気があるの？」と
珍客にあれこれ楽しそう。
「ところで、ディランの生家には行った？」と彼女が言うので
逆に「まだ、あるの？」と問い返すと、彼女が紙ナプキンに書いてくれたのが、この地図。

早速、行ってみると、現在は誰も住んでいない様子で、
ただ静かに時間だけが流れて行くだけの
水色の小さな２階建て一軒家がそこにあった。
けれども、庭は奇麗に整えられていたので、住人がいないのをいいことに
芝生の上で30分ほど、昼寝してみた。

特に夢は見なかったけれど、なんか幸せな気分で、ヒビングを後にしました。
以上、写メはおろか、携帯電話さえ無い時代の話でした。

ヒビングは、今から５年ほど前に再訪。
「Zimmy’s Bar」は元気に営業してました。