ストーンズ、テイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュらが出演した『One World』の映像全編がまだ見られる! ライブ音源も配信中

ストーンズ、テイラー・スウィフト、ビリー・アイリッシュらが出演した『One World』の映像全編がまだ見られる! ライブ音源も配信中

日本では4月19日午前中に配信となった、レディー・ガガがキューレーションしたイベント『One World: Together at Home』。コロナウイルスと闘う医療従事者などを支援するための催しだが、今ならその映像全8時間がYouTubeで観られる。ザ・ローリング・ストーンズに、ビリー・アイリッシュテイラー・スウィフトポール・マッカートニーなど新旧のアーティストがそれぞれ感動的なパフォーマンスを披露している。現在コンサートはできないが、アーティストはそんな障害を越えて観客と繋がることができると実感できるイベントでもあった。

またSpotifyやApple Musicでは、すでにこのライブ音源がアルバムになっていて配信されている。



全8時間のイベントの中でも、終わりの2時間、TVでも放送されたメインの番組の出演者は19組。出演順、セットリストは以下の通りだ。

1. Lady Gaga “Smile”
2. Stevie Wonder “Lean on Me” / “Love's in Need of Love Today”
3. Paul McCartney “Lady Madonna”
4. Kacey Musgraves “Rainbow”
5. Elton John “I'm Still Standing”
6. Jimmy Fallon & The Roots “Safety Dance”
7. Maluma “Carnaval”
8. Camilla Cabello & Shawn Mendes “What a Wonderful World”
9. Eddie Vedder “River Cross”
10. Lizzo “A Change Is Gonna Come”
11. The Rolling Stones “You Can't Get What You Want”
12. Keith Urban “Higher Love”
13. Burna Boy “African Giant” / “Hallelujah”
14. Jennifer Lopez “People”
15. John Legend & Sam Smith “Stand By Me”
16. Billie Joe Armstrong “Wake Me Up When September Ends”
17. Billie Eilish “Sunny”
18. Taylor Swift “Soon You'll Get Better”
19. Andrea Bocelli, Celine Dion, John Legend, Lady Gaga & Lang Lang “The Prayer”

TVでは放送されなかった部分でも、アダム・ランバートティアーズ・フォー・フィアーズの“Mad World”をカバーしたり(34分頃から開始)、ザ・キラーズが“Mr.Brighside”(1時間25分頃から開始)を披露するなど見所はたくさんあった。

レディー・ガガは、この番組が始まる前に、この放送の中ではチャリティの呼びかけはしないと言っていた。医療従事者、生活必需品の販売や、必要不可欠なサービスを行なう人達を支援し、見ている人達に「5分でも笑ってもらえたら嬉しい」、「世界の人達がお互いに優しくなって欲しい」と語っていた。

1)レディー・ガガ:その言葉通り、ガガは、チャーリー・チャップリンの“Smile”を披露。「笑って、心が痛くても/笑って、心が張り裂けていても」「笑って、明日はきっと太陽があなたのために輝くと思うから」と歌い番組を始めた。


2)テイラー・スウィフト:それぞれのアーティストが、自宅からパフォーマンスを披露するという非常に限られた設定の中で、例えばテイラー・スウィフトは、シンプルなピアノの弾き語りで、最新作の『ラヴァー』の中から“Soon You'll Get Better”を披露。


この曲は、彼女の母の癌が再発してしまったことについて歌うもので、あまりにパーソナルでエモーショナルであるため、アルバムに収録するかどうか家族の中で相談したというほどの曲だ。ライブで披露するのも実は今回が初めてとなる。「早くよくなって」と歌うものの心が張り裂けそうになる曲だ。コロナにより全世界で16万人以上の人が亡くなっているという現実の重さも象徴しているこの日のハイライトのひとつだった。

3)ザ・ローリング・ストーンズ:今多くの人が使っているZoom会議を思わせる始まり方から、チャーリー・ワッツがソファの肘掛けを叩くなど遊び心もありながらも、彼らがいまだに世界一のパフォーマーでありエンターテイナーであることを軽々と証明してしまうような圧巻の内容。トランプが選挙活動で使っている“You Can't Always Get What You Want”を敢えて選んだも粋だと思うし、正に我々の今の心境を代弁しているとも言える曲だ。
番組が終わった後に、「チャーリー・ワッツ」がツイートのトレンドになっていた。


4)ビリー・アイリッシュ:「この曲が大好きで、いつも自分の心にある。この曲を聴くと良い気持ちになれる。みんなにもそう思って欲しい」と披露した、ボビー・ヘブによる60年代の曲“サニー”のカバー。兄のフィニアスの弾くエレクトリック・ピアノによる削ぎ落とされたパフォーマンスの中で、ビリーの深い表現力が発揮されている。また、パフォーマンスが終わってから、「自分達の命を危険に晒しながら私達の命を救おうとしてくれている医療従業者のみなさん、ありがとう」と語った。


5)ポール・マッカートニー:“Lady Madonna”
「世界中で働く医療従事者こそ真のヒーローだ。彼らのためにパフォーマンスできて光栄に思う。新型コロナウイルス感染症とは世界中の人達が団結して闘わなくてはいけない。各国のリーダーに、僕らの健康保険制度を強化しなくてはいけないとそれぞれが訴えて欲しい。こういう危機が二度と起きないためにも。僕の母のメアリーは、第二次世界大戦の間、そして直後は看護婦だった。だから僕はとりわけ僕らを健康にしてくれている医者をはじめ、医療関係者にお礼が言いたい。愛してます。ありがとう」と、政治的なメッセージなども投げかけた。


6)ビヨンセ(6時間41分あたり)
政治的なメッセージと言えば、サプライズで登場したビヨンセが、コロナのために黒人がより被害を受けている不公平を訴えた。

今夜、私達の安全のために、究極の犠牲を払っている真のヒーローを祝福したいと思います。家族から離れて私達の面倒をみてくれている、医者や、看護師や、ヘルスケアに従事する人達。あなた達の安全を願い祈ります。私達が安全に家で暮らせるように、食料品関係、郵便、公衆衛生のために働く人達、どうもありがとうございます。

ブラック・アメリカンは、以上のような仕事をする中心的な存在となっています。そして、彼らは、在宅勤務をする贅沢な環境にはいません。そのため、アフリカン・アメリカンのコミュニティは、今回の危機で深刻な被害にあっています。また、既存の欠陥がある人達が多いことにより高いリスクを抱えています。そのため、アメリカにおいては、驚くほど高い確立で黒人が亡くなっています。私の故郷のテキサス州ヒューストンでは、亡くなった方の57%が、黒人です。どうか自分を守ってください。私達はひとつの家族なのであって、あなたの声が、能力が、強さが、世界中の人達に必要なのです。すごく大変なことは分かっています。みんなで励ましあって、希望を持って、信じ続けてください。そして私達のヒーローに祈り続けましょう。


実際アメリカにおいては、コロナで亡くなる黒人の割合が人口の比率に比べて非常に多いことが現在大きな問題となっている。

ビヨンセはここではパフォーマンスを披露しなかったが、少し前に行なわれたディズニーの番組で、医療関係者のために『星に願いを』を披露している。映像はこちら。


7)リゾ:Sam Cookeの“A Change is Gonna Come”をゴスペルオルガンで披露。肩を出したアップの映像が印象的だった。


8)エディ・ヴェダー:新作『ギガトン』の最後を締めくくる、不確かな時代に祈りを捧げるような曲“River Cross”。ニール・ヤングを彷彿とさせる教会のオルガンで演奏。パール・ジャムが長年ライブバンドとして頂点に君臨する理由を証明するような圧巻のパフォーマンスだった。今回の番組は、多くのファンにとって、アーティストの自宅やスタジオを垣間見られる貴重な機会でもあったが、エディの自宅スタジオが見られたのもファンとしては感動だった。


9)ビリー・ジョー・アームストロング:“Wake Me Up When September Ends”は、ビリーの父が癌で1982年9月1日に亡くなった時に書いた曲だ。


お葬式で泣き通していたビリーが終わった後に部屋に籠もり、母がノックした時に、彼が「9月が終わったら起こしてくれ」と言ったことがそのままタイトルになっている。家族や友人を亡くした人達の消えない悲しみを歌うこれ以上相応しい曲もなかったと思う。

10)キース・アーバン:“Higer Love”。スティーブ・ウィンウッドのカバー。重い曲が多かった中で、風通しの良いスピリチュアルな曲を披露したばかりか、キース・アーバンが3人も登場し、最後にニコール・キッドマンまで登場するという楽しい驚きがあった。ガガの目標通り、思わず笑顔になった瞬間だった。


その他、エルトン・ジョンや、亡くなったばかりのビル・ウィザーズの“Lean On Me”と“Love's In Need of Love Today”を演奏したスティーヴィー・ワンダー、世界に配信された割にはワールドワイドなアーティストの出演は少なかった中、コロンビアの大スターMalumaのパフォーマンスが光るなど見所は書ききれない。

それぞれが自宅からの放送という限られた条件の中だったにも関わらず、FaceTimeなどのネットカルチャーを上手く使いこなしながら、それぞれが考え抜いた選曲をし、自分のパフォーマンスに合う演出をしたのが分かる予想以上の番組に仕上がっていたと思う。エルトン・ジョンが、旦那さんがカメラを持っている写真をアップしていたので、エルトン・ジョンクラスの大物でも、家族が撮影していたりしていたのだと思う。


人によっては映像が悪かったり場合によっては他のメンバーと音がずれていたりすることもあったが、最終的にはテクノロジーの善し悪しを超えたところで、アーティストの心がそのまま観ている人達に届くというのが分かったことが収穫だったように思う。

少し前だとドレイクが、今全員家にいるという完璧なタイミングで即TikTokできる“Toosie Slide”を発表。


実際に一瞬で世界を繋げてみせたが、それに比べると今回の企画はトラディショナルな方法ではあったものの、何より、人の心が折れていると思った時に、普段の数倍の力を発揮するアーティスト達、メインストリームのポップ・アーティスト達、エンターテイナー達の本能がテクノロジーや障害を超えたところで伝わるんだと確信できた、心が震えるような体験となった。

この番組は、チャリティが目的ではなかったが、主催者であるグローバル・シチズンによると、医療従事者のためにすでに1億2700万ドルの寄付が集まったそうだ。


ちなみに番組の放送の後、テイラー・スウィフト、ケイシー・マスグレイブス、Malumaが売り上げを伸ばしたとビルボードが発表している。

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