テイラー・スウィフトが、2020年も終わろうかという時に、突然今年2枚目のアルバム『evermore』を発表し、世界が驚愕している。
https://rockinon.com/blog/nakamura/196923
アルバムをまだ聴いてない方は、各ストリーミング・サイトでも聴ける他、1曲目の“willow”のMVがすでに発表されていて、また、残りの全曲のリリック・ビデオも公開されているので、チェックしてほしい。
クレジットも公開され、前作同様にザ・ナショナルのアーロン・デスナーが15曲中14曲をプロデュースしている。“gold rush”だけはジャック・アントノフのプロデュース。また、今回はアーロンのみならず、ザ・ナショナルのメンバーがそのまま参加。マット・バーニンガーが参加している曲もあるし、ジャスティン・ヴァーノンも再び加わり、今回はさらに深く関わりサウンド作りもしている。さらに満を持して長年の友人だったハイムも初参加している。
テイラーがMV公開前にファンからの質問に答えている他、参加したアーティストがそれぞれコメントを寄せている。以下、その中からいくつかをまとめた。まずは、テイラーのコメントから。
「分かりやすく言ってしまうと、私達は曲作りが止められなかったの。
それを詩的に表現してみると、私達は、フォークロアの森の淵に立ち、選択肢があった。振り返って元にいた場所に帰るか、または、音楽の森をさらに深く旅してみるのか。それでさらに深く彷徨ってみることを選んだというわけ。それで私はコラボレーター達とともに、誇りを持って9枚目のアルバムであり、『folklore』の妹アルバムであるアルバムを発表します。タイトルは『evermore』です。
こんなことをこれまでやったことがなかった。これまではアルバムは1枚ごとに完結するものだと思っていたから、発表されたら前進して次のアルバムを計画するというやり方だった。だけど『folklore』についてはこれまでとは何が違った。制作中も、旅立つというよりも、帰還しているという感じがしていた。それに想像上の、または想像上ではない物語の中への現実逃避が大好きだった。それから夢のような物語や、悲劇や壮大な愛の物語をいかに歓迎し、自分の人生に当てはめていくのかを考えるのも好きだった。だから、曲作りを続けたの。曲は、アーロン・デスナーと、ジャック・アントノフと、WB(テイラーの彼氏で俳優のジョー・アルウィン)とジャスティン・ヴァーノンと一緒に作った。それから、今回は新たに(長年の)友達にも、この音楽を作るキッチンに参加してもらった。
それで自分でも気付く前に17の物語が完成していた。曲の中には、前に書いた曲のもう一つの面となっているものもあったし、関わり合っている曲もあった。例えばある曲では、2人の若い詐欺師が、高級リゾートで大金持ちの恋人になり保険金の受取人になることを企んでいたところ、なんとその2人が恋に落ちてしまったりとか。またある曲では、大学時代から長いこと付き合っている2人が、同じ夜に真逆の計画を立てていたりとか。1人はその関係を終わらせようとしていて、もう1人は婚約指輪を持っていこうとしていたの。“dorothea”は、小さな町を離れてハリウッドで夢を追いかけている彼女が、休暇でその町に帰って昔の彼氏に出会った時に何を見つけるのか、そんなことについて書いた曲。それから、『めでたしめでたし』とは終わらない結婚についての物語では、それがますます悪化することについて。不倫があり、意見の相違があり、殺人まである。最も正しい動機は、犠牲者の敵を討つことについて。さらに、癒される唯一の道は、自分から奪われた人の幸せを願うことだと気付くことについて。ある曲では、私の祖母のマージョリーが主人公となっていて、彼女が私を今でも時々訪れることについて。夢の中で。
私の31歳の誕生日の週にみんなを驚かせたかった。みんなは私をいつも大事に思ってくれて、支援してくれて、思いやりがあるから、今回は、私の方からみんなに何かをあげたかった! それから、今年のホリデー・シーズンは、多くの人達にとってすごく孤独なものになると思った。だから、愛する人達に会えなくて寂しい時に、私みたいに音楽を聴く人達がいたら、このアルバムはその人達のために作ったの。
次に何が待っているのかはまるで想像もつかない。でも最近はどうなるのか分からないことだらけだから、みんなと繋げてくれる唯一のものにしがみつくことにしたの。それは、これまでも、これからも音楽。
永遠に(=evermore)」
テイラーは、アルバムを発表する前にファンからの質問などにいくつか答えている。以下このアルバムに収録された曲について彼女が語っていること。トリビア8個。
1. 『folklore』との関係
「『evermore』は、秋と冬を象徴する作品にしたかった。『folklore』は、春と夏なの。今までずっと、2つのアンソロジーから構成される作品を作りたいと思っていた。でも今回の場合は自然にそうなった」
2. “gold rush”
「ジャック(・アントノフ)の一番好きな曲で、あるデイドリームの中に一瞬自分が入り込んでしまい、そこからハッと目覚めることについて」
3. “no body, no crime”(ハイムが参加)
「私が実際に起きた犯罪についてのポッドキャストやドキュメンタリーに夢中になっていることにインスパイアされた曲。私の親友の名前を主人公に使った」(→Este Haimのこと)
「共演すると決める前から、絶対に彼女はこういう曲に登場するのは嬉しいと思ってくれると分かっていたから、彼女の名前を主人公に使ったの。曲が完成して歌詞の最終調整をしている時に、彼女にテキスト・メッセージを送って、私の質問の意図が分からないと思うけど、『チェーン・レストランで好きなのは何?』と訊いたの。彼女がオリーブガーデンと答えて、それから数日後に彼女に曲を送って、参加してくれるか聴いたの。すぐに『イエス』と言ってくれた」
「ハイム姉妹は長年の親友で、一緒に演奏したことは何度もあるのに、一緒に曲を作ったのはこれが初めて」
4. “happiness”
「最初に書いた曲は“dorothea”で、“happiness”は最後に書いた曲だった。先週書いたの!!」
「これは欺くようなタイトルが付いている」(→歌詞の内容はまるで幸せではないから)
5. “coney island”(ザ・ナショナルのマット・バーニンガーが共演。テイラーとの共演についてコメント)
「テイラー・スウィフトと一緒の曲を歌うというのは、ジーン・ケリーと一緒に踊る様なもので、彼女のおかげで僕がよく見えたし、僕を落とすようなことも1度もなかった。“coney island”は最高に美しい曲で、彼女とアーロン・デスナーが一緒に作った。ブルックリンがすごく恋しくなる曲だ。『evermore』に参加できて本当に光栄に思う」
これを受けてテイラーが「このツイートをプリントアウトして“最もチャーミングなツイート”を飾っている壁に飾りたい。私はザ・ナショナルの大ファンで、グッズも全部持ってるの。だから、あなたと一緒の曲が作れるなんて、本当に感動だった。百万回ありがとう」
6. “cowboy like me”
→バックコーラスにマーカス・マムフォードが参加している。「私が大ファンの人にバックコーラスに参加してもらった」
7. “marjorie”
『folklore』の“epiphany”には、彼女の祖父の物語が出て来るが、ここでは、テイラーの祖母でオペラ歌手だったMarjorie Finlayについて歌われている。彼女の声がバック・コーラスにも使われている。Marjorieはテイラーが13歳の時に亡くなっており、またこの曲はアルバムで13曲目。
8. Wiliam Bowery(テイラーの彼氏のジョン・アルウィン)が3曲で共作
“champagne problems”, “coney island”, “evermore”
ジャスティン・ヴァーノンが参加している“evermore”ではピアノを弾いているのもジョン・アルウィンだ。
テイラーは、彼女の誕生日に“willow”のリミックスをすでに発表している。
各メディアのレビューが出始めているが、すでにかなりの高評価が付いている。恐るべし、テイラー・スウィフト!
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