フィービー・ブリジャーズが2月にアメリカの人気TV番組『サタデー・ナイト・ライブ』に出演。
https://twitter.com/nbcsnl/status/1357500629011345408
そこで、“Kyoto”と、“I Know the End”を演奏し、2曲目に演奏した、“I Know the End”の最後にギターを破壊した。
それが大論争となったんだけど、そのギターが最近、LGBTQ+コミュニティをサポートする団体GLAADのチャリティオークションに出品され、なんとこのチャリティオークションとしては史上最高額の$101,500(約1100万)で落札された。フィービー自身、バイセクシャルであることを公言している。
この額は、例えば、2018年にオークションに出品されたボノのサイン入りギター$64,000や、ボブ・ディランの$76,800などを大きく上回る高額なので大騒ぎとなっている。
ちなみに、ギネスによるとこれまでで一番高く売れたギターは、カート・コバーンが『MTVアンプラグド』で弾いたマーティンで$6,010,000(約6億円)。そういえば、これってカートの娘のフランシスと結婚していた男がギフトとしてもらったと言って持っていってしまったやつだ。フランシスもコートニーも返してって裁判したのに(怒)!
https://www.guinnessworldrecords.com/world-records/most-expensive-guitar-sold-at-auction
話はそれたが、フィービーがギターを壊したことは、大論争となった。個人的にはそんなに大騒ぎすること?とびっくりしたんだけど。コートニーだって壊してたよね? でも、どうやら女性アーティストが、民放のこの番組でギターを壊したのはこれが初めてだったみたい!? 過去には、アーケイド・ファイアのウィン・バトラー『SNL』に出演した際に壊していたけど。
なので、大袈裟とか、何をそんなに怒ってるだとか、次々に反発された。
もちろん、コロナ禍での我々の怒りなどをよく表現してくれた、と称賛する声もたくさんあったけど。どちらにしてもものすごい話題となった。
フィービー自身も「女性で私が最初なんて信じられない」とツイートしていた。
中でも、批判し注目されたのは、デヴィッド・クロスビーだ。ファンにどう思うか訊かれて、「情けない」と答えていた。「ギターは演奏したり、音楽を作るためにあるのであって、子供っぽいステージ上でのドラマを演出するために、偽物のモニターに叩きつけて壊すためにあるんじゃない。他の人がこれまでやったかどうかは関係ない。どちらにしてもバカげてるよ」、「古いし、間違ってるし、人の真似だし、醜いし、破壊的だし、無駄使いだし、意味がない」と。
このツイートに対して、フィービーは、「リトル・ビッチ」(=ちっちゃい奴)と返していた(笑)。
さらにインスタでも、「パフォーマンスがすごい反響をもらったわ! 次は燃やすことにする。もっと高くつくけどね」と返答(笑)。
しかし、ここで彼女をサポートしてくれたのが我らがレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーと、フー・ファイターズのデイヴ・グロール!!
フリーは、ギターは壊すためにあるんじゃなくて、曲を書くためにある、とクロスビーがツイートしていたので、ジミヘンがギターを壊していたのを例に、「ヘンドリックスが曲を書けないとでも?」とツイートしていた。
またデイヴさんは、衛星ラジオに出演。
その際、この件について訊かれ、「『SNL』は観てたし、母ともそれについて話していたんだ。俺の母も『彼女は最高だと思う』と言っていたよ」と語り、ニルヴァーナ時代のパフォーマンスについても言及。「カートは毎晩何かを壊していた。おかげで俺のドラムにはいつも穴が空いてた。でも、そうやって破壊した時って、めちゃ気分がいいんだ」とも。
フィービーは今年になってから、ティーンエイジャーの時、大ファンだったマリリン・マンソンの家に行って、「レイプ・ルーム」を紹介され、それ以来ファンをやめたとツイートしていた。
また、グラミー賞にもノミネートされ、トム・ブラウン・デザインのドレスで出席。残念ながら受賞しなかったが、『パニッシャー』は年間ベストにも軒並み入る高評価だったし、新人賞も含む4部門のノミネーションは快挙だ。
ごく最近は、去年警察に殺されたジョージ・フロイドの裁判が行われているミネソタ州で、その最中に、再び警察がティーザーと拳銃を間違えて発砲し黒人の若者ダンテ・ライトさんが殺される悲痛な事件が起きた。フィービーは、そのお子さんとガールフレンドをサポートする活動を行なっている。いくらでも良いので寄付してくれた人には、いつもタトゥー用にと頼まれる手書き文字を何でも書いてあげる、とどんどん書いている。感動した。行動が早い。
それにしても、ワクチンのおかげで、日常が戻りつつあると思った瞬間に、銃乱射や警察による黒人の殺人など、その前からあった良くない日常まで早速戻ってきたアメリカ…...ため息しかない。
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