カニエ・ウェストを20年間追い続け、なんと300時間分の映像を撮り続けた2人の監督Coodie & Chikeによるカニエのドキュメンタリー3部作『jeen-yuhs: A Kanye Trilogy』が、今年のサンダンス映画祭で初上映されたのだが、とうとうその第1話がNetflixで配信開始した。
私は先にサンダンス映画祭で上映された時に観たのだけど、これが感動的なのだ。とりわけ第1話はカニエが、Jay-Zの『ザ・ブループリント』の半分をプロデュースしたにも関わらず、まだラッパーとしては認められていないので、負け犬的立場で傷付き、奮闘する姿が描かれている。レコード会社のオフィスに行って、CDをかけながら、自分でその場でラップして見せたりするも、ほとんど相手にしてもらえない姿などはこちらも傷心になってしまう。
しかし極め付けは、お母さんと会話する場面で、そこにカニエが与えられた無償の愛と自信を知るし、そしてお母さんがいかにカニエを諭すことができる存在だったのかも分かり泣けてくる。そして、彼女がいない今のカニエの辛さも実感するのだ。
監督は、同じくシカゴを舞台にしたバスケットボールの傑作ドキュメンタリー映画『フープ・ドリームス』をインスピレーションにしてこの作品を作ろうと思ったそうだ。私はこの映画が日本で公開された時、CUT編集部にいたんだけど、当時の佐藤編集長が、大興奮して掲載したのが忘れられない。観てない人はこの作品もぜひ。この作品はサンダンス映画祭で観客賞を受賞している。
カニエの3部作は、第2話では、とうとう成功する物語、そして第3話は、その成功の影とお母さんが亡くなった喪失が描かれる。『jeen-yuhs』の監督に取材しているので、これから発売のロッキング・オンのコレポンのページで掲載予定。Netflixで見てからぜひ読んでみてください。
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