ヤー・ヤー・ヤーズの9年ぶりの新作”Spitting Off the Edge of the World”のMVが解禁された。こちら。
さらに、9年ぶりのアルバム『Cool It Down』が9月30日にリリースされると発表された。
この9年ぶりの新作と新曲について、すでにカレンOとニック・ジナーが語っている。デヴィッド・ボウイや、地球温暖化がインスピレーションとなったそうだ。
1)シングル”Spitting Off Edge of the World”のボウイの影響について。
カレンO
それで共演するボーカリストを考えた時に、「パフューム・ジーニアスのマイク・ハドレアスが絶対に良いと思った。マイクもボウイ的なところがあるから。彼しか思い付かなかった」「(2021年にニックと)一緒に演奏してみたら、いきなり音楽が湧き出て来た。それで(4人目のメンバーと言える)デヴィッド・シーテックが作ったサウンドをいくつか聴かせてくれた時に、そこに”Spitting Off〜”の枠組みと言えるようなサウンドもあって、すぐに気に入った。
始まり部分を聴いただけで滝のように思えて、その後すぐにデヴィッド・ボウイが浮かんだ。シーテックは実際ボウイとは友達でもあったし。だから歌詞とメロディを書いている時に、ボウイを思い出した。これまでボウイを思って書いたことはなかったけど、彼はもういなくなってしまったので、巨大な穴がポッカリと開いているように思えた」
2)地球温暖化の影響。
カレンOは、”Spitting Off〜”も、『Cool It Down』の曲も、環境問題を考えて作ったものだと語る。我々がいかに地球を傷つけているのか正直に語るべきだと。
「私たちは、システムの崩壊が原因となった地球温暖化を体験している。だけどそれをきちんと指摘していると思えない」
ファースト・シングルでは、カレンはよりパーソナルな視点から地球温暖化を語るために、彼女と彼女の息子さんが引き継ぐ地球についての会話をする内容になっている。
「若い世代は、この脅威に直面し、その絶壁に立ち、やってくるものを怒りと反抗の気持ちを持って対峙している。そこには何か駆り立てるものがあり、そして希望もある」
ちなみにこのシングルはどこかアーケイド・ファイアの最新作にも通じるところがあると思ったけど、ボウイや、ディストピア、子供たちの将来という点で共通している。
3)アルバムのタイトルは、ヴェルヴェット・アンダーグランドの曲名
カレンO
「アルバムのタイトルは、あまり知られていないヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲”Cool It Down”からとった」
4)アルバムのジャケットはAlex Prager
アルバムのジャケットはAlex Pragerの作品でさすがカレンOだと思った。L A出身のファインアートのカメラマン、映像作家だ。
「彼女の写真が、このアルバムを象徴してくれていると思ったし、今、実存的に自分がどう感じているのかを象徴しているとも思った」。
5)アルバム制作の過程について。
2020年始めに新作について語り始めたが、世界が一時停止。
カレンO
「パンデミックの初期の頃、みんなもそうだったと思うけど、夢を見始めて、この20年間バンドで行ったことがある場所が出て来た。バイロン・ベイから、メキシコがいきなりパリに変わったりとか。私の脳が、行ったことのある場所に連れて行ってくれた。その時、『もし、もう2度とツアーできなかったらどうしよう』と思った。だから、パンデミックの最中に、自分はこれまでツアーに行き、作りたい時に音楽を作れることを、あたり前だと思っていたことに気付いた。
それで、みんなで体験したことによるこのトラウマを通して、一緒に集まってジャムしたら、私たちの無意識がどんな音楽を解き放つのか知りたかった」
2021年春に、カレンとニックが集まり演奏。
カレンO「溢れ出るように音楽が出て来た」
ニック・ジナー「カレンからメロディと歌詞が出て来たのを見た時は驚愕した。マジかよ。どこから出て来たんだ?って感じでね。彼女が何かに打たれた時って本当に最高なんだ」
カレンO「その時のニックの顔を見て、ニックの魂に響いたなら、何かここで起きているんだと分かった。2人であまりに長い間一緒に作っているから、その曲がどこから来たのか神のみぞ知ると言うような、空気が変わった瞬間がこれまでにもあった。まるで雷雨がやってくる直前のような空気を感じたことが」
カレンO
新作がめちゃくちゃ楽しみだ。「ここまで待っていてくれたファンのみんなありがとう。最新作の曲は、苦痛が和らぎ、真実が明らかになった時に、恐怖感や涙、陶酔感と共に書いたもの。前作からこの9年間の体験がどんなものだったかみんなに改めて語る必要もないと思う。みんなも同様の体験をしてきたと思うから。
私たちの音楽から何かを感じてくれたら嬉しい。今感じていること、心を掴んでいるものを全く包み隠さずに曲にした。ここまで時間をおいたから、できると思ったら本当に溢れ出した」
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