週末はオスカー発表。『エブリシング・エブリウェア〜』でアジア旋風。圧勝しなかったら驚き。リアーナ、デヴィッド・バーン、レニクラなどがパフォーマンス。

週末はオスカー発表。『エブリシング・エブリウェア〜』でアジア旋風。圧勝しなかったら驚き。リアーナ、デヴィッド・バーン、レニクラなどがパフォーマンス。 - Courtesy of SXSW 2022Courtesy of SXSW 2022

米現地時間3月12日に、とうとうアカデミー賞が発表される。

今年は、とにかくここまでの賞をほとんど独占している『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の圧勝が予想されている。個人的にも取って欲しいと願っているのだが、もし取らないようなことがあったら大騒ぎだ。映画は日本でも公開されたばかり。ぜひ劇場で観て欲しい。

ただ、ぶっちゃけあまりにこれまで観たことないような映画であり、物語なので、最初は一体なん何だ?と驚いて意味が分からない箇所が出てくるかもしれない。出演者達も「意味が分からなかった」などと冗談で言ったりしているくらいだ。だから、1度は映画を体感して、2度目に落ち着いて観るのがいいように思う。何度か観ることをお勧めする。

カット3月号で、『エブリシング・エブリウェア〜』はじめ、『TAR/ター』、『イニシェリン島の精霊』、『ウーマン・トーキング 私たちの選択』などアカデミー賞候補作について紹介させていただいているのでぜひ読んでください!

週末はオスカー発表。『エブリシング・エブリウェア〜』でアジア旋風。圧勝しなかったら驚き。リアーナ、デヴィッド・バーン、レニクラなどがパフォーマンス。

また特筆すべきなのは、今年はアジア系俳優が4人もノミネートされた初めての年であること。その他、『生きる-LIVING』の脚色でノミネートされたカズオ・イシグロから、『All That Breathes』のShaunak Sen、『Turning Red』のDomee Shiなど、これだけのアジア人、アジア系のクリエイター達がオスカーでノミネートされるのは史上初となる。

1)パフォーマンスするアーティスト


毎年、歌曲賞でノミネートされたアーティストがパフォーマンスをするのが見どころでもあるが、今年は、上の5組のアーティストの中から、レディー・ガガを除いた4組がパフォーマンスすると発表されている。ガガはノミネートされているので受賞式には出席するが、現在『ジョーカー2』の撮影中で、パフォーマンスの準備をする時間がないのだということ。ガガがパフォーマンスすれば華やかさが増すので非常に残念だ。ガガならアカペラでいきなり出て行っても歌えそうなのに、と思う反面、恐らく完璧主義者なので、出るからにはしっかり準備しないとという気持ちも分かる。

その代わりと言っては何だが、この間スーパーボウルのハーフタイムショーで感動のパフォーマンスを見せたリアーナが『ブラック・パンサー:ワカンダ・フォーエバー』の”Lift Me Up”をパフォーマンスする。お留守番しなくちゃいけないと分かった息子さんが泣きそうな顔になっている、とインスタしていたのが可愛すぎた。

ノミネートされているのは以下の5曲だ。
Diane Warren はなんと14回もノミネートされていて、一度も受賞していない。しかし、功労賞をすでに受賞。

ガガはこれで4度目のノミネート。そのうち1度は『アリー/スター誕生』での主演女優賞だ。その時同時にノミネートされたオリジナル・ソング”Shallow”で見事オスカーを受賞している。

ご存知の通り、リアーナの6年ぶりの新曲にして初めてオスカーにノミネートされた。
作曲は、リアーナ、ナイジェリアのミュージシャンTems,、監督のライアン・クーグラー、クーグラーの作品の音楽は全て手掛けているルドウィグ・ゴランソン。作詞は、Temsとクーグラーが手掛けた。

この曲は亡くなったチャドウィック・ボーズマンに捧げられた曲で、ゴランソンは、

「”Lift Me Up”は、僕らの友人であるチャドウィック・ボーズマンの偉大なる人生とレガシー、この映画に与えた影響に捧げて作られた曲なので大きな意味があり、それをアカデミー賞にも認めてもらえて光栄です。この曲を書く過程で、カタルシスがあり、癒されました。このように音楽で捧げることができ、またユニークなコラボレーションを実現できたことも、心から誇りに思っています」


インド映画でノミネートされた史上初の曲。
作曲家はM. M. Keeravaaniで、作詞はChandrabose。パフォーマンスは、Rahul Sipligunj,、Kaala Bhairava。
大方の予想では、この曲がオスカーを受賞する。
個人的にも、映画の中での曲という意味では、この曲が最も大きな役割を担っていたので、ぜひ受賞してもらいたいと思う。

ミツキが初のオスカーノミネート。
作曲は、デイヴィッド・バーン、ミツキ、Son LuxのRyan Lott, 作詞は、バーン、Lott。
デイヴィッド・バーンは、『ラストエンペラー』で、坂本龍一とCong Suとともに作曲賞でオスカーを受賞している。
ちなみに、オスカーには、残念ながらミツキは出演しない。理由はよく分からないけど、代わりに映画に出演していて、助演女優賞でノミネートされているステファニー・スーがパフォーマンスする。

さらに追悼の場面ではレニー・クラヴィッツがパフォーマンスする。

以下プレゼンターとして登場する人たち。


2)オスカー予想

『エブリシング・エブリウェア〜』が最多11部門でノミネートされていて、
いくつかのメディアの予想を見ても、少なくとも5部門で受賞はほぼ確実。

―― 作品賞
―― 監督賞
―― 主演女優賞ミッシェル・ヨーが受賞すれば、主演女優賞を受賞した、アジア人として初。白人以外では、ハル・ベリー以来2人目。95年でたった2人とは驚き。
―― 助演男優賞キー・ホイ・クァンが受賞すれば、ハイン・S .ニョール(『キリング・フィールド』)以来37年ぶり。
―― 脚本賞

アカデミー賞は「白すぎるオスカー」から8年、徐々に改革が行われているものの、いまだ投票者は、白人男性がマジョリティであるため、大どんでん返しの可能性も十分ある。
https://www.rollingstone.com/tv-movies/tv-movie-news/oscars-still-so-white-diversity-improvements-study-1234689140/

また以下には、『エブリシング〜』が取る可能性もあるが、分かれているもの。

―― 主演男優賞は、ブレンダン・フレイザー『ザ・ホエール』が最有力候補だが、オースティン・バトラー『エルヴィス』か、コリン・ファレル『イニシェリン島の精霊』の可能性も。
―― 助演女優賞は、ケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』が最有力候補。『エブリシング〜』のジェミー・リー・カーティスか、ステファニー・スーの可能性も。
―― 脚色賞は、サラ・ポーリー『ウーマン・トーキング私たちの決断』。個人的には今年は再び男性しかいない監督賞にサラ・ポーリーがノミネートされるべきだったと思う。
―― アニメーション 『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
―― 美術『バビロン』か『エルヴィス』
―― 撮影『西部戦線異状なし』ちなみにこの部門だけ今まで一度も女性がとったことがない(怒)。
―― 衣装『エルヴィス』
―― 編集『エブリシング・エブリウェア』または『トップ・ガン:マーヴェリック』
―― メイクアップ&ヘアスタイリング『エルヴィス』
―― 音響『トップガン』
―― 視覚効果『アヴァター2』
―― 作曲『フェイブルマンズ』
―― 歌曲『RRR』
―― 長編ドキュメンタリー『ナワリヌイ』
―― 国際長編映画 『西部戦線異状なし』
―― 短編アニメ『The Boy, the Mole, the Fox, and the Horse』
―― 短編ドキュメンタリー『The Elephant Whisperers』
―― 短編映画『An Irish Goodbye』。このカテゴリーは、テイラー・スウィフトが監督として『All Too Well』で、ケンドリック・ラマーが『We Cry Together』でノミネーションを狙っていた部門だ。残念ながら2人ともショートリストの段階で外れてしまった。


日本での放送は以下の通り。
https://www.wowow.co.jp/extra/academy/

こちらに全てのカテゴリーの候補作、候補者と、Rotten Tomatoes の点数が書かれた表がある。プリントアウトして予想してみては。
https://editorial.rottentomatoes.com/article/oscar-ballot-2023-printable-academy-awards-ballot-for-your-oscar-pool/



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