ボブ・ディランをティモシー・シャラメが演じ、監督・脚本はジョニー・キャッシュの伝記映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』のジェームス・マンゴールドで製作されることになっていたディラン公認の伝記映画。最高に楽しみにしていたのだが、本来2020年に撮影されるはずが、ロックダウンが始まってしまい、延期になっていた。当時監督は、「小さいライブハウスで、ライブシーンなどを撮影するのに、人を入れないで撮影するというのはあり得ないから」と言っていた。
その後、ティモシーは『DUNE:Part Two』から、『Wonka』など大作の撮影が再開し、監督は監督で『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』から『スター・ウォーズ』シリーズに、DCの『SWANP THING』の監督をするとまで発表されたので、もうこの企画はなくなってしまったのでは、と心配していたところへ朗報。『スター・ウォーズ』のイベントの時に、監督がボブ・ディラン映画を8月から撮影すると語ったのだ。
その他、この映画に関して監督が語っていたこと。
●物語の何が面白いと思ったか?
●撮影開始は?「アメリカンカルチャーにおいても最高の時期であり、物語としても、19歳の若いボブ・ディランが、ポケットに$2だけ入れてニューヨークに来て、そこから3年以内に、世界的な大スターにまでなるというのは….。最初はニューヨークのフォークミュージックシーンに受け入れられ、そこから彼自身が牽引するほどのスターにまで昇り詰めるなんて、信じられない話だからね。本当に面白い実話だと思うし、アメリカのシーンにおいても、興味深い時だと思う。だからボブ・ディラン以外にも、ウディ・ガスリーから、ピート・シーガーから、ジョーン・バエズまで、全員がこの映画に登場するんだ」
●ティモシーは自分で歌うのか?「今年の8月になる予定だ」
短いが、最高の情報が詰まっている。ティモシーが自分で歌うのか!「もちろん」
ティモシーは、2020年と、また今年になってから、再びアコギを抱えてギターレッスンに出かける様子が目撃されている。
https://www.vogue.co.uk/news/article/timothee-chalamet-gibson-guitar?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=onsite-share&utm_brand=vogue-uk&utm_social-type=earned
また彼は芸術学校に通っていたし、ピアノも弾ける。
去年の暮れにVareity にこの映画について訊かれた時こう答えていた。
さらにGQでは、ディランの役作りのために、NYのウッドストックに家を借りたとまで言っていて、「ディランを演じるための役作りはずっと続けているんだ。それ自体が最高の贈り物みたいなものだからね。だってあの世界に飛び込んでみるってだけで、最高の経験だから。結局作るのか作らないのかまだ分からないけど。でも、みんなをガッカリさせたくないから、はっきりとは言えないけど、今撮影開始に向けて、風はすごくすごく良い方向に吹いているんだ」
ディランが住んでいたNYの家にも行き、
ディランの自伝『Chronicles: Volume One』を読み、『Inside Llewyn Davis』の監督をしたジョエル・コーエンに会って1960年代のフォークシーンについて訊いたりしたそうだ。
映画は、『Going Electric』という伝記本が元になっている。
今年1月のジャン・ポール・ゴルチエのショーに来たティモシーがちょっとボブ・ディランぽいと思ったのだけど、その時に話がまとまり出していたのかもしれない。
ミュージシャンの伝記映画と言えば、クイーンのフレディ・マーキュリー役でオスカーを受賞したラミ・マレックから、今年のオスカーにノミネートされた『エルヴィス』のオースティン・バトラー、ジョニー・キャッシュを演じたホアキン・フェニックスもオスカーにノミネートされたし、ホアキンと同じ映画で、ジューン・カーター・キャッシュを演じたリース・ウィザースプーンはオスカーを受賞した。非常に難しい挑戦ではあるが、ミュージシャンの人生はドラマが多いので、オスカーにノミネートされやすいジャンルでもある。
今作では、ディラン公認であるため、ディランの曲も全曲使用できる。現在も様々なミュージシャン伝記映画が作られているが、中でもその他、注目の作品はエイミー・ワインハウスの伝記映画『Back to Black』だ。エイミーを演じるのはマリサ・アベラ で、今年1月に撮影が開始した。
ティモシーは、今年公開される『Wonka』でも歌を披露している。
またディランは最近セリーヌの広告に登場。デザイナーのエディ・スリマンが撮影するミュージシャンシリーズなのだが、ギターを持っていて驚いた。しかもエレキもアコギも。しっかりセリーヌも着てるし。カッコよく撮られることをちゃんと意識している?!
ニール・ヤングが自伝の中で、ディランの服の着こなしはいつもシャープで、俺は、みんなから「いつも心地良さそう」と言われていた、と書いていたのを思わず思い出してしまった。
ディランは『ソングの哲学』という本も出版したが、その翻訳本も出ている。ディランが好きな曲について語っているのだけど、面白いのでぜひ読んでみて。私は先に語られている曲のプレイリストを作ってから読み始めた。またオーディオ版もあって、そちらでは、ディラン他、何人かで順番に読んでいくので、これもお勧めだ。
日本公演については、こちら。
https://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/info/551223
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