アーティスト

    ザ・ビーチ・ボーイズの50周年記念最新ライブを観た

    • ザ・ビーチ・ボーイズの50周年記念最新ライブを観た
    • ザ・ビーチ・ボーイズの50周年記念最新ライブを観た
    • ザ・ビーチ・ボーイズの50周年記念最新ライブを観た

    ザ・ビーチ・ボーイズが1996年以来初めてブライアン・ウィルソンとリユニオンし、現在結成50周年記念の全米ツアーを行っている。ニューヨークは5月8、9日にビーコン・シアターで行われ初日の8日を観て来たのだけど、これが最高だった。

    なんと演奏されたのは44曲。しかも全部アメリカントップ40に入り続けたヒット曲ばかりで、それを場合によっては3曲連続で演奏したりもするパワフルさ。ライブは約2時間半、間に20分の休憩の入る2部構成になっていたのだけど、とにかく、次から次へと本当の傑作ポップ・ソングが天から降り注ぎ、それを思う存分浴び続けているようなそんな至極のひと時だった。

    心配だったのは、ブライアン・ウィルソンの容態で、出て来た瞬間も足が悪く、個人的にはそれは非常にショックな光景だった。ステージにはサーフボードが並べられ、スクリーンには、海辺で陽を浴びるビキニの健康的な女の子が映し出されたりするのだけど、ブライアンは、それとは裏腹に、ライブのほとんどは真っ白いグランドピアノに座り、何となく意識ももうろうとしている感じに見えた。それが気になって仕方ないこともあったのだけど、でも、最終的には、その彼が産み落とした曲の圧倒的な強靭さと、驚異的なアレンジによる説得力に、感動し続けるばかりだったのだ。

    メンバーは、ブライアンの他に、マイク・ラヴ、アル・ジャーディン、ブルース・ジョンストン、デイヴィット・マークス。しかし、その他に、約10人のサポート・メンバーがいて、もちろんアルバムほど気の狂ったようなアレンジを再現することはできないまでも、人間の耳でライブで聴き取れる範囲においては最強とも言えるサウンドと、凄まじいハーモニーの連続なのである。

    昨今、パンダベアから、グリズリー・ベアに、フリート・フォクシーズなど、ブルックリン・サウンド、アメリカ・インディの最先端に圧倒的な影響を与えてきたバンドなだけに、ヒップスターもいるのかと思いきや、観客は年季の入った当時からのファンばかり。しかし、もうそれを懐かしむモードというのは全然なくて、体が磁石で自動的に引きつきられるかのがごとく全員がさっそく総立ちで踊り始めるのである。もう床が揺れまくって壊れるじゃないかと思ったくらいだった。

    私が最も感動した瞬間は、ブライアン・ウィルソンのヴォーカルによる”I Just Wasn't Made For These Times”。「僕は時々悲しい時がある」と、歌う姿は、もう声がしっかりと出てないとかそんなことはまったく超越してしまって、天才が目の前で天から授かった声を響かせていることにはなんら代わりがないわけで、しかもそこで歌われているのは、この燦々とした雰囲気とは真逆の天才の孤独である。こんな心が張り裂けそうな瞬間と言ったらなかった。チケットがどんなに高くても(私は幸いレーベルの方に用意していただいたのですが)、この瞬間のためだけにでも、お金を払う価値はあると思ったくらいだった。それは、私たちが最も天国に近づいたとでもいうようなそんな神がかった瞬間だったから。観客は時に大合唱で、または大歓声で、または踊りまくりという、2時間半を堪能しまくっていた。

    まだまだ書きたいことはあるのですが、詳しくはこれから発売のロッキング・オンのコレポンのページで書かせていただきますので!

    しかし、今終わってみれば、これから続く長いツアー。ブライアンの体は大丈夫なんだろうかと再び心配になってしまうけど、なんと、8月に来日公演があるようです!日本の皆さん、絶対にお見逃しなく!!!!
    http://www.emimusic.jp/intl/beachboys/

    セットリスト
    1. Do It Again
    2. Catch a Wave
    3. Hawaii
    4. Don't Back Down
    5. Surfin' Safari
    6. Surfer Girl
    7. Please Let Me Wonder
    8. You're So Good to Me
    9. Wendy
    10. Then I Kissed Her
    11. The Little Girl I Once knew
    12. Why Do Fools Fall in Love
    13. When I Grow Up (to Be a Man)
    14. Cotton Fields
    15. Disney Girls
    16. Don't Worry Baby
    17. Little Honda
    18. Be True to Your School
    19. Little Deuce Coupe
    20. 409
    21. Shut Down
    22. I Get Around

    Intermission
    23. California Dreamin'
    24. Sloop John B
    25. Wouldn't It Be Nice
    26. Forever
    27. Sail on, Sailor
    28. Heroes and Villains
    29. In My Room
    30. All This Is That
    31. This Whole World
    32. I Just Wasn't Made For There Times
    33. God Only Knows
    34. That's Why God Made the Radio
    35. California Girls
    36. All Summer Long
    37. Help Me, Rhonda
    38. Rock and Roll Music
    39. Do You Wanna Dance?
    40. Barbara Ann
    41. Surfin' USA

    encore
    42. Kokomo
    43. Good Vibrations
    44. Fun, Fun, Fun
    中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
    公式SNSアカウントをフォローする

    人気記事

    最新ブログ

    フォローする
    音楽WEBメディア rockin’on.com
    邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
    洋楽誌 rockin’on