オバマ大統領、映画『リンカーン』を観て感動。学んだことを熱く語る。

オバマ大統領、映画『リンカーン』を観て感動。学んだことを熱く語る。

ちょっと前ですが、ホワイトハウスにて、オバマ大統領がスタッフを集めて、スティーブン・スピルバーグ監督の『リンカーン』上映会を行ったそうです。

オバマが映画を観た後に、「とても感動した」というコメントは伝わっていたのですが、タイム誌で今年の人に選ばれたオバマがその中で、映画『リンカーン』についてもう少し詳しく語っています。
http://www.time.com/time/

「まず、ダニエル・デイ=ルイスが僕の隣に座って観ていたんだ。いや真後ろだったかもしれないなあ(笑)。だから、映画を観終わった後もまるでリンカーン大統領と話しているような気分だったんだよね。とにかく彼はリンカーンになりきっていたし、演技も最高だったからね。それで、これは有名な話だけど、リンカーンは僕が一番好きな大統領だから、ある特定の期間において彼が直面していた任務や挑戦というものをあれだけ彼の内情に迫った形で観ることができて、本当にパワフルな体験だったし、感動したよ。

ただし、大統領になった人は、自分とリンカーンを比べないほうがいいと思うんだ(笑)。彼の才能と、彼がどれだけ大事な仕事をどれくらいのスケールで成し遂げたかというのは、どの大統領とも比べものにならないからね。

だけど、彼の偉業の中には当然学ぶべきことはたくさんある。

とりわけ映画の『リンカーン』を観て学んだことは、非常に高い理想と深いモラルを追求したかったら、嫌な仕事も自ら引き受けてやらなくてはいけないということ。交換条件も飲まなくてはいけないかもしれないし、妥協も必要になってくる。彼が人間として大統領として何が素晴らしかったかと言うと、僕らの生きている世界というのは、あの当時も、今も普遍的に変わらないと思うんだけど、それは、非常に混乱していて困難な時代であるということ。そういう中で彼は、自分の持っているアイディアのバランスを取るのが非常に上手かったんだよね。なぜなら僕らは絶対に完璧な答えは見付けられないわけだからね。だから、そんな中で、いかに正しい方向へ進むのかが大事になってくるんだ。

それで、アメリカの大統領の持つ権限というのは、多くの場合過大評価されていることが多いように思うんだけど、少なくとも、僕らは、方向性を決める権利というのは持っていると思う。それから、大統領として気付くのは、自分が就任中に約束された地に辿り着くことはないということ。つまり、今自分の植えた種が実になるのは、何年も後になってからなんだ。

だから将来的な見通しを持てる能力が大事だし、その上で、今目の前の政治的な決断をしてくことがどれだけ大事なのかを学んだと思う。そして、それは僕の今の仕事にもまったく当てはまることなんだよね」。

『リンカーン』はアカデミー賞最有力候補の1本です。
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